技能実習・特定技能、外国人材受け入れの費用を徹底解説!

送り出し機関 費用

近年、国内における人手不足の深刻化に伴い、外国人材の受け入れを検討する企業が増えています。

特に「技能実習制度」と「特定技能制度」は、多くの企業が外国人材を採用する際に活用している制度です。

しかし、これらの制度を利用する際に、送り出し機関への費用や、その他の費用について「何に、どのくらいかかるのか?」という疑問を抱えている人事担当者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、外国人材の受け入れを検討している人事担当者の皆様に向けて、送り出し機関に支払う費用を中心に、技能実習生と特定技能外国人の受け入れにかかる費用の全てを網羅的に解説します

透明性の高い費用解説を通じて、貴社の外国人材採用がスムーズに進むよう、事前に知っておくべきポイントを詳しくご紹介します。

目次

技能実習制度とは?費用内訳と相場

費用の計算をしている様子

技能実習制度は、日本で培われた技能、技術または知識を開発途上地域等へ移転し、その経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的とした制度です

外国人は「技能実習生」として日本に入国し、最長5年間、企業で実習を行います。

技能実習制度の費用項目一覧

技能実習生を受け入れる際に発生する費用は、大きく分けて「送り出し機関への費用」「監理団体への費用」「日本での生活・業務に関する費用」の3つに分類されます。

送り出し機関への費用

送り出し機関とは、技能実習生の募集、選抜、日本語教育、事前講習などを行う海外の機関です

送り出し機関への費用は、技能実習生が日本に入国するまでに発生する様々な費用が含まれます。

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項目概要
紹介手数料技能実習生を企業に紹介する際に支払う手数料です。
国籍や送り出し機関によって異なりますが、一般的に20万円〜40万円程度が相場とされています。
日本語教育費技能実習生が日本語を学ぶための費用です。
現地での日本語教育の期間やレベルによって異なります。
事前講習費日本での生活や業務に関する知識、日本の文化などを学ぶための講習費用です。
渡航費技能実習生の日本への航空券代です。
ビザ申請費用技能実習の在留資格(ビザ)を申請するための費用です。
健康診断費技能実習生が日本への入国前に受ける健康診断の費用です。
その他諸経費パスポート取得費用、現地の交通費、宿泊費などが含まれるケースもあります。

ベトナムの送り出し機関を例にとると、上記の費用を合計して送り出し機関へ支払う金額は、技能実習生1人あたり30万円〜50万円程度が一般的です。

ただし、送り出し機関によっては、紹介手数料にこれらの費用が全て含まれている場合や、別途請求される場合があるため、事前に確認することが重要です。

監理団体への費用

監理団体とは、技能実習制度の適正な実施を支援し、技能実習生と受け入れ企業の双方をサポートする非営利団体です。

企業は技能実習生を受け入れる際、必ず監理団体に加入し、監理団体を通して技能実習を行います

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項目概要
入会金監理団体への加入時に支払う初期費用です。
5万円〜10万円程度が相場です。
年会費監理団体に所属している間、毎年支払う費用です。
監理費技能実習生の受け入れ期間中に、監理団体が実施する定期的な訪問指導や相談対応、書類作成支援などに対する費用です。
技能実習生1人あたり月額3万円〜5万円程度が一般的です。
実習計画認定申請費用技能実習計画の申請を監理団体が代行する場合に発生する費用です。
日本での生活・業務に関する費用

日本に入国した技能実習生には、日本人従業員と同様に、適切な生活環境と労働条件を提供する必要があります

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項目概要
給与日本人と同等以上の給与を支払うことが原則です。
最低賃金以上の給与を支払うことが義務付けられています。
住居費技能実習生の住居を企業が用意し、家賃を負担するか、給与から差し引くケースが多いです。
家賃相場は地域によって大きく異なりますが、1人あたり月額2万円〜5万円程度を見込む必要があります。
水道光熱費住居の水道光熱費も企業が負担するか、給与から差し引くケースが多いです。
社会保険料健康保険、厚生年金、雇用保険などに加入させる必要があり、企業負担分が発生します。
通勤交通費業務に必要な交通費を支払う必要があります。
日本語教育費日本語能力向上のための追加教育を行う場合の費用です。
生活支援費初期生活支援として、生活用品の購入費などを支給する企業もあります。
一時帰国費用実習期間中に一時的に母国に帰国する場合の渡航費です。
これは企業が負担するか、技能実習生が負担するかは契約内容によります。

特定技能制度とは?費用内訳と相場

費用の計算をするための計算機

特定技能制度は、国内の人手不足が深刻な12分野(2024年5月時点)において、即戦力となる外国人材を受け入れるための在留資格です

特定技能1号と特定技能2号があり、それぞれ在留期間や条件が異なります。

特定技能制度の費用項目一覧

特定技能外国人を受け入れる際に発生する費用は、主に「登録支援機関への費用」「日本での生活・業務に関する費用」の2つに分類されます。

技能実習制度とは異なり、送り出し機関への費用は基本的に発生しません。

登録支援機関への費用

特定技能外国人は、日本語能力と特定技能分野の知識・技能を測る試験に合格する必要があります。

また、受け入れ企業は、特定技能外国人に対して「支援計画」を策定し、その計画に基づいて様々な支援を行うことが義務付けられています。

この支援を自社で行うことが困難な企業は、「登録支援機関」に委託することが可能です

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項目概要
支援委託費登録支援機関に支援業務を委託する場合に支払う費用です。
外国人1人あたり月額2万円〜4万円程度が相場です。
この費用には、外国人の生活相談、日本語学習支援、入国時や帰国時の送迎、住居探し支援などが含まれます。
紹介手数料登録支援機関によっては、特定技能外国人の紹介サービスを提供しており、その際に紹介手数料が発生するケースもあります。
これは、外国人材紹介会社を利用するのと同様の考え方です。
日本での生活・業務に関する費用

特定技能外国人も、日本人従業員と同様に、適切な生活環境と労働条件を提供する必要があります

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項目概要
給与日本人と同等以上の給与を支払うことが原則です。
住居費技能実習生と同様に、企業が住居を用意するか、給与から差し引くケースが多いです。
水道光熱費技能実習生と同様です。
社会保険料
通勤交通費
その他必要に応じて、日本語教育費や生活支援費などを考慮することもあります。

技能実習と特定技能の費用の違いを比較

費用の比較と計算機

技能実習と特定技能、どちらを選ぶべきか?

技能実習と特定技能は、外国人材を受け入れるための制度として、それぞれ異なる目的と特徴を持っています。

そのため、貴社の目的やニーズに合わせて適切な制度を選択することが重要です

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項目技能実習制度特定技能制度
目的日本の技能・技術を開発途上国へ移転人手不足分野における即戦力外国人材の確保
在留期間最長5年間1号:最長5年間
2号:期間の更新が可能
対象職種幅広い職種(70以上)特定12分野(建設、介護、農業など)
経験・能力原則として実務経験不要(日本で技能を学ぶ)特定分野での実務経験または試験合格が必須
監理・支援監理団体による監理が必須登録支援機関による支援が必須(自社支援も可)
送り出し機関関与するケースが多い(費用発生)原則として関与しない(費用発生しない)
費用の特徴送り出し機関への費用が発生登録支援機関への費用が発生
技能実習制度と特定技能制度

技能実習制度は、外国人材に技能を習得させ、将来的に母国に貢献してもらいたいという社会貢献的な側面が強い制度です。

一方で、特定技能制度は、日本の産業分野における人手不足を解消するための即戦力人材確保に特化した制度と言えます。

技能実習と特定技能、費用を抑えるポイントと注意点

住居サポートで鍵を受け取る外国人

費用を安く抑える方法

外国人材の受け入れにかかる費用は決して安くありません。

しかし、いくつかのポイントを押さえることで、費用を抑えることが可能です。

ポイント
複数の送り出し機関・監理団体・登録支援機関を比較検討する

送り出し機関や監理団体、登録支援機関によって、提示する費用やサービス内容が大きく異なります。

必ず複数の機関から見積もりを取り、比較検討しましょう

無料で相談できる機関も多いため、積極的に利用することをおすすめします。

自社で対応可能な支援業務は自社で行う

特定技能制度において、登録支援機関への支援業務委託は必須ではありません。

もし貴社内で外国人の生活支援や日本語教育などが可能であれば、自社で行うことで費用を削減できます

ただし、支援計画の策定や入管への書類提出など、専門知識が必要な業務もあるため、事前に確認が必要です。

助成金・補助金の活用

外国人材の受け入れに対して、国や地方自治体が助成金や補助金を提供しているケースがあります

例えば、ハローワークの外国人材採用に関する助成金や、特定技能外国人の支援に関する補助金などです。

これらの制度を積極的に活用することで、費用負担を軽減できます。

入国後の日本語教育は、企業内での学習やオンライン教材などを活用する

高額な外部の日本語学校に委託するのではなく、企業内で日本人従業員が教える、オンライン教材やアプリを利用する、地域の国際交流団体と連携するなど、費用を抑えつつ日本語学習を支援する方法を検討しましょう

住居の確保方法を工夫する

社員寮や社宅を利用することで、高額な賃貸物件を借りるよりも費用を抑えられるケースがあります

また、中古家電の利用や共同生活を推奨するなど、生活費全体を抑える工夫も重要です。

注意点とトラブル回避のポイント

契約書への署名

外国人材の受け入れは、企業にとって大きなメリットをもたらす一方で、いくつかの注意点やトラブルのリスクも存在します。

注意点
契約内容をしっかりと確認する

送り出し機関、監理団体、登録支援機関との契約書は、費用の内訳だけでなく、サービス内容、トラブル時の対応、契約解除の条件などを細部まで確認し、疑問点があれば事前に全て解消しておきましょう

特に、追加費用が発生しないか、不明瞭な項目はないかを確認することが重要です。

不透明な費用の請求には注意する

「保証金」や「違約金」など、法令で禁止されている費用を請求する送り出し機関や機関も存在します。

不審な費用を請求された場合は、すぐに監理団体や行政書士、外国人材支援団体などに相談しましょう

技能実習生からの費用の徴収は原則禁止

技能実習制度では、技能実習生本人から費用を徴収することは原則禁止されています

企業が送り出し機関や監理団体に支払う費用は、企業が全額負担する必要があります。

情報収集と相談の重要性

外国人材の受け入れに関する制度や費用は、複雑で変更されることもあります。

常に最新の情報を収集し、分からないことや不安なことがあれば、監理団体、登録支援機関、行政書士、入管庁などに気軽に相談しましょう

外国人材の文化や習慣への配慮

外国人材が日本での生活にスムーズに適応できるよう、文化や習慣の違いを理解し、配慮することが重要です

日本語学習の支援はもちろん、生活面での相談にも親身に対応することで、外国人材の定着率向上にもつながります。

成功事例と、より良い外国人材採用のために

定期的な面談をしている企業例

事例から学ぶ外国人材受け入れ成功の鍵

実際に外国人材を受け入れ、成功している企業はどのような点に力を入れているのでしょうか。

いくつかの事例から、成功の鍵を紐解きます。

事例1:丁寧な事前準備と充実した生活支援で定着率アップ(製造業A社)

製造業のA社では、技能実習生の受け入れを決定後、送り出し機関と密に連携し、日本語教育や日本の生活習慣に関する事前講習を徹底しました。

入国後は、担当の日本人社員が生活面でのサポートをきめ細かく行い、定期的な面談で不安を取り除きました。

その結果、技能実習生の定着率が非常に高く、業務習熟度も早期に向上し、生産性アップに貢献しています。

事例2:特定技能人材のキャリアパスを明確化しモチベーション向上(介護業B法人)

介護業のB法人では、特定技能外国人の受け入れに際し、登録支援機関と協力して、特定技能1号から2号への移行、さらには介護福祉士の取得まで見据えたキャリアパスを外国人材に提示しました。

これにより、外国人材は長期的な視点を持って業務に臨み、モチベーション高く業務に取り組むことで、質の高い介護サービス提供につながっています。

これらの事例から分かるように、外国人材の受け入れにおいて、費用面だけでなく、事前準備、生活支援、キャリアパスの提示といった日本側の受け入れ体制を整えることが、成功の大きなポイントとなります

まとめ:人事担当者が外国人材採用で押さえるべきポイント

費用を算出するための資料と計算機

本記事では、技能実習制度と特定技能制度における送り出し機関やその他費用について詳しく解説しました。

最後に、人事担当者が外国人材採用を成功させるために押さえるべきポイントをまとめます。

押さえるべきポイント
目的を明確にする

「なぜ外国人材を受け入れるのか」「どのような人材が必要なのか」を明確にし、技能実習か特定技能か、どちらの制度が自社のニーズに合致しているかを事前に検討しましょう。

費用を正確に把握する

送り出し機関、監理団体、登録支援機関からの見積もりを複数比較し、それぞれの費用内訳、サービス内容を正確に把握することが重要です。

不透明な費用がないか、必ず確認しましょう。

信頼できるパートナーを選ぶ

送り出し機関や監理団体、登録支援機関は、外国人材採用において非常に重要なパートナーです。

実績や評判、企業とのコミュニケーションの取りやすさなどを考慮し、信頼できる機関を選びましょう。

受け入れ体制を整備する

外国人材が日本で安心して生活し、業務に集中できるよう、住居の確保、生活支援、日本語教育、社内での日本人従業員とのコミュニケーション円滑化など、多岐にわたる支援体制を整えることが成功の鍵です。

法令遵守を徹底する

技能実習制度、特定技能制度は、複雑な法令に基づいて実施されています。

不法就労や賃金未払いなど、法令違反にならないよう、常に最新の情報を確認し、適切な手続きを行うことが必須です。

長期的な視点を持つ

外国人材採用は、一時的な人手不足解消だけでなく、企業のグローバル化や多様な人材の活用という長期的な視点を持つことが重要です。

外国人材の能力を最大限に引き出し、企業の成長に繋げていくことを目指しましょう。

外国人材の受け入れは、貴社に新たな活力と可能性をもたらします。

本記事が、貴社における外国人材採用の一助となれば幸いです。

ご不明な点があれば、いつでもお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

三木 雅史(Masafumi Miki) 株式会社E-MAN会長
1973年兵庫県生まれ / 慶応義塾大学法学部法学科卒
・25歳で起業 / デジタルガレージ / 電通の孫請でシステム開発
・web通販事業を手掛ける
・2006年にオンライン英会話を日本で初めて事業化
・2019年外国人の日本語教育を簡単、安価にするため
 日本語eラーニングシステムを開発、1万人超の外国人が日々学習中

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