日本の農業分野は、労働力の高齢化と若年層の新規就農者確保の困難という、深刻な課題に直面しています。この状況は、持続可能な農業経営にとって極めて不安定な要素であり、抜本的な対策が不可欠でしょう。
そこで注目されているのが、即戦力となる外国人材の受け入れを目的とした特定技能制度です。この制度は、従来の技能実習制度では難しかった、より長期的な在留期間と即戦力としての活用を可能にするものです。
特に、フィリピン共和国からの外国人材は、その高い技能と勤勉さ、そしてモチベーションの高さから、日本の農業現場で非常に期待されています。
しかし、フィリピン人特定技能外国人を安定的に受け入れるには、日本側の出入国在留管理庁が定める厳格な在留資格の手続きに加え、フィリピン政府が定める独自の海外就労者管理機関(DMW/MWO)による複雑な手続きを理解し、遵守することが必要となります。このデュアルコンプライアンス体制の理解こそが、採用を成功させるための鉄則です。
当記事は、農業分野でのフィリピン人特定技能外国人の採用を検討している企業担当者向けに、制度の概要からフィリピン側の手続き、長期的な人材確保を実現するための支援体制の構築ポイントまで、実践的な情報を提供します。
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特定技能制度の概要と農業分野における外国人材の業務範囲

国内の人手不足を背景に創設された特定技能制度は、一定の知識や経験をもつ外国人を特定の産業分野で受け入れるための在留資格制度です。
技能実習制度と異なり、特定技能は現場での即戦力を前提とし、比較的長期の雇用を見据えた運用が可能です。企業は、在留資格の区分(特定技能1号/2号)とそれぞれの要件を理解した上で採用計画を立てる必要があります。
特定技能の在留資格は、1号と2号に区分されます。
特定技能1号 | 特定の分野で相当程度の知識や経験を有する者が対象で、通算最大5年の在留が可能。 |
特定技能2号 | 熟練した技能を有する者が対象。 在留期間の上限がなく更新が可能、さらに家族(配偶者と子供)の帯同も可能になるため、永住的も視野に入れた雇用が可能。 |
農業分野 | 特定技能1号および2号共に対象。 |
農業分野で外国人が従事できる耕種農業と畜産農業の区分
特定技能制度では、それぞれの分野ごとにどういった業務に携われるかが定められています。
農業分野においては業務区分は大きく「耕種農業全般」と「畜産農業全般」に分かれます。
在留資格 | 業務区分 | 主な業務内容 | 特に可能な管理・関連業務 |
---|---|---|---|
特定技能1号 | 耕種農業 | 栽培管理、農産物の集出荷・選別等 | 関連業務(施設・機械管理など)に従事可能。ただし業務の中心は現場作業。同上、関連業務が許される範囲で。 |
畜産農業 | 飼養管理、畜産物の集出荷・選別等 | ||
特定技能2号 | 耕種農業 | 栽培管理、農産物の集出荷・選別等 | さらに 業務に関する管理業務(生産計画、作業指導、工程管理など)を担える。 |
畜産農業 | 飼養管理、畜産物の集出荷・選別等 |
特定技能外国人は、これらの主要業務に加え、関連業務として施設や機械の管理、修繕等にも従事できる点が、単純作業を中心とする技能実習との大きな違いです。この柔軟な業務への従事が可能であるという点は、人手不足の現場において、外国人材をより多角的に活用できる可能性を高めるでしょう。
ただし、特定技能(1号・2号)での農業従事は、「耕種農業」または「畜産農業」のいずれか一方に限定されます。同時に両方に従事することは原則できません。
特定技能1号から2号への移行:熟練技能者の確保へ向けたロードマップ
特定技能制度の戦略的価値は、特定技能2号への移行可能性にあります。特定技能1号で最長5年間の在留資格を得た人材は、要件を満たし、農業技能測定試験の2号試験に合格することで、特定技能2号への在留資格変更申請を行うことが可能になります。
企業としては特定技能1号での受け入れを入口に、2号取得を見据えた育成ロードマップを設計することを主な戦略とすることができるでしょう。
特定技能2号への移行には、高度な技能の証明が必要とされます。農業分野では、以下のいずれかの要件を満たした上で、「2号農業技能測定試験」に合格する必要があります。
- 農業の現場で管理者として2年以上の実務経験がある者。
- 農業の現場における3年以上の実務経験がある者。
経営者は、1号在留中に2号への移行情報を提供し、キャリアパスを可視化させることが重要です。1号在留期間(最長5年)を活用してOJTや管理業務の経験を積ませ、農業技能測定試験の2号試験合格を支援することで、企業は現場管理者や指導者として定着する人材を確保できる可能性が高まります。
多くの外国人労働者も日本での長期在留と経済的安定を求めているため、こうした明確なキャリアパスの明示は、外国人材のモチベーションを向上させ、長期就労にも直結します。
農業経営を安定させ、高度化させるためには、特定技能2号制度を単なる在留資格の更新手続きとして捉えるのではなく、長期的な人材育成戦略の核として活用することが求められるでしょう。
短期的な雇用だけに終始すると再教育コストや人材流出が発生しやすいため、企業は採用時から「定着と熟練化」を見据えた支援計画を策定することが重要です。
参考:在留資格「特定技能」について (農業分野):農林水産省


農業特定技能の技能試験と外国人の定着情報

特定技能制度を導入する際、事業者が重視すべき指標は二つあります。ひとつは現場で働ける人材が十分に供給されるか、もうひとつは採用後にどれだけ定着するかです。
ここでは、農業分野での技能テストの状況と、採用後の定着に関する実務上の示唆を整理します。
農業技能測定試験(ASAT):役割と実施状況
農業特定技能1号の在留資格を得るには、所定の技能測定試験に合格することが必要です。試験は学科と実技で構成され、現場での基本的な作業遂行能力や安全管理などの基準を満たす必要があります。
実施主体は全国農業会議所が中心となっており、各国での試験実施状況は公表資料で確認できます。
国名 | 耕種農業 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 畜産農業 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|---|---|
フィリピン | 52 | 48 | 92.3% | 4 | 4 | 100.0% |
インドネシア | 259 | 238 | 91.9% | 30 | 30 | 100.0% |
カンボジア | 212 | 139 | 65.6% | 12 | 7 | 58.3% |
ミャンマー | 96 | 72 | 75.0% | 22 | 20 | 90.9% |
日本国内 | 10 | 9 | 90.0% | 4 | 4 | 100.0% |
このデータからは、試験全体の合格率が比較的高水準であることを示しています。とはいえ、国によっても差がある点は留意してください。採用を急ぐ際は、直近の実施結果や国別の合否率を確認し、リスクを把握することが現場でのミスマッチを減らします。
参考:農業技能測定試験の実施状況等について|一般社団法人全国農業会議所
特定技能外国人の在留状況:国籍別者数の情報
特定技能制度全般において、フィリピン人は目立った存在となっています。出入国在留管理庁の令和6年6月末時点の特定技能外国人総数251,747人のうち、フィリピン人は28,234人(9.9%)と、ベトナム、インドネシアに次いで数多く活躍しています。
さらにフィリピン人は農業分野での試験合格率が高いことからも、企業にとって非常に魅力的な存在であることが分かるでしょう。
特定技能外国人材の高い定着率の情報:確保した人材を管理するポイント
人材確保を検討する企業側にとって、採用後の定着率は経営の安定性に直結する重要な指標です。ある調査データによると、特定技能外国人材の1年後の定着率について、「50-69%」が最も多い結果となっています。一方で、「90%以上」を達成している受入れ先も約1割存在し、「70-89%」が約2割と、非常に高い定着率を実現している企業も少なくありません。
定着率に大きなばらつきがある点は、制度そのものに問題があるわけではなく、受入れ機関側の支援体制の差が定着に直結していることを示唆しています。
定着率90%以上を実現する企業は、後述する10種の支援業務を単なる義務としてではなく、人材育成と生活環境整備の観点から丁寧に行っていると推測されます。
適切な支援環境は外国人材に安心感を醸成し、長期就労への意欲を高めるため、結果として労働力の安定化と生産性の向上に繋がるのです。
現場で有効な定着施策 | |
---|---|
支援体制の見える化 | 事前ガイダンス、入国直後の生活オリエンテーション、日本語学習支援などを計画的に実行すること。 |
定期的な面談・相談窓口の設置 | 3か月に1回以上の定期面談を通じて早期の不満を把握する。 |
キャリアパスの提示 | 1号から2号(或いはその他の在留資格)へ移行するための要件や支援方針を明示する。 |
受け入れ環境の整備 | 住居・労働条件の整備や地域交流の機会提供で安心感を高める。 |
登録支援機関の活用 | 支援業務をプロに委託し、企業は本業に集中する形を検討する。 |
農業分野における特定技能試験の合格者は一定数供給されており、試験の合格率自体は高めです。とはいえ、採用の「質」と「長期的な定着」を両立させるためには、単なる採用活動だけでは足りません。試験データや国別合格率を確認した上で、入社後の支援計画を具体化しましょう。結果として、定着率の向上が労働力の安定化と生産性向上に直結します。

受入れ機関の支援義務:登録支援機関への委託と実務ポイント

特定技能1号を受け入れる企業は、外国人材が日本で安定した生活を送るために必要な支援を実施する義務があります。支援は入国前の手配から出国までをカバーし、法令順守が前提となります。
受入れ機関(企業)は、義務付けられた支援業務を必ずしも自社で全て行わなくてもよく、出入国在留管理庁に登録された専門機関である登録支援機関(RSO)に支援計画の作成支援から支援業務の全てを委託することが可能です。
登録支援機関は、外国人が理解できる言語で支援を行う体制を有しており、業務を委託することで、企業の負担を大幅に軽減し、本業である農業業務に集中しつつ、法令遵守を徹底することが可能となります。
定着率の高い企業は、この支援業務を戦略的に利用し、外国人材が安心して働ける環境づくりを行っているのです。
支援10項目
以下は支援項目・具体例・主な実施主体の一覧です。委託する場合は、どの項目を支援機関に任せ、どれを社内で維持するかを明示してください。
支援項目 | 具体例(実務) | 主な実施主体(原則) | |
---|---|---|---|
1 | 事前ガイダンス(入国前) | 労働条件、居住環境、契約内容、赴任手続きの説明 | 受入れ機関/RSO |
2 | 出入国時の送迎 | 空港から住居までの送迎手配、到着時の初回案内 | 受入れ機関/RSO |
3 | 住居確保 | 住居手配、契約支援、保証人対応の手配 | 受入れ機関(RSO支援可) |
4 | 生活オリエンテーション | 公共交通、ゴミ出し、医療機関、緊急連絡先の説明 | 受入れ機関/RSO |
5 | 公的手続き同行支援 | 役所手続き、在留カード・マイナンバー案内、銀行口座開設同行 | 受入れ機関(RSO支援可) |
6 | 日本語学習機会の提供 | 日本語学習の時間確保、学習機関の紹介、教材提供 | 受入れ機関/RSO |
7 | 相談・苦情対応 | 母語での相談窓口設置、対応フローの明確化 | 受入れ機関(RSO委託可) |
8 | 日本人との交流促進 | 地域交流イベント、職場交流会やメンター制度 | 受入れ機関 |
9 | 転職支援 | 雇用解除時の次の就職先紹介、再就職サポート | 受入れ機関(RSO支援可) |
10 | 定期面談・行政通報 | 3か月に1回以上の面談・記録保存。不正・違反時は所轄へ報告 | 受入れ機関(記録・対応責任) |
- 補足
- 「主な実施主体」はあくまで原則です。企業が全項目を自社実施しても構いませんし、全部を支援機関に委託しても差し支えありません。
- ただし、委託しても最終的な責任は受入れ機関に残るため、委託契約で業務範囲・報告方法・記録保存方法を明確にすることが必須です。
- 定期面談は記録(議事録・改善計画等)を残し、面談で判明した労働条件や安全上の問題は速やかに是正してください。
支援は「義務」ではありますが、戦略的に設計すれば「定着率向上」という投資回収が見込めます。上でも述べたように、外国人材の活躍と長期定着を実現させている企業は、この支援項目に力を入れていることが明らかになっています。
登録支援機関を上手に活用しながら、外国人材が活躍できる環境づくりに力を入れてください。
参考:1号特定技能外国人支援・登録支援機関について | 出入国在留管理庁
農業分野における「派遣」の可否と条件

特定技能制度では、企業と特定技能外国人の直接雇用が原則であり、一般的な派遣形態での就業は認められていません。
しかし、農業分野では季節性や作業地の移動といった産業特性を考慮し、例外的な運用として労働者の派遣が認められています。この運用は農林水産省と法務省のガイドラインに基づき、厳格な条件の下で実施されます。
労働者派遣形態が認められるケース
農業分野で派遣に近い就労が認められるのは、以下のような法人・団体が雇用主となる場合に限られます。
- 農業者(農家・農業法人)
- 農業者等を構成員とする団体(例:農業協同組合(JA)、酪農ヘルパー利用組合、コントラクター組織など)
特定技能外国人は、これら団体によって雇用され、主に耕種農業全般または畜産農業全般の業務に従事します。作業を行う個々の農家は派遣先事業者として位置づけられます。
労働者派遣形態を運用するための厳格な条件
特定技能外国人を労働者派遣形態で雇用する場合、受入れ機関(派遣元)と派遣先事業者(個々の農家など)は、以下の厳格な条件を遵守しなければなりません。
- 1. 雇用主の同一性維持
-
特定技能外国人との雇用契約を結んでいる受入れ機関(農業者団体など)が、在留期間を通じて雇用主であり続けることが絶対条件です。指揮命令権は派遣先(農家)に移りますが、法的な雇用責任と支援義務は派遣元に帰属します。
- 2. 支援体制の継続性
-
勤務地が変わる場合であっても、受入れ機関(派遣元)または委託を受けた登録支援機関は、外国人に対する支援計画の履行を途切れさせてはなりません 。特に、支援責任者等による外国人本人およびその上司(派遣先の管理者)との定期的面談を含む10項目の支援すべてが、派遣先事業所においても確実に提供される体制が必須です 。
- 3. 労働条件の均等
-
派遣先や従事する業務内容によって、報酬、労働時間、その他の労働条件に不当な差異を設けてはなりません。日本人と同等以上の報酬を保証する「報酬平等原則」が厳守される必要があります。
- 4. 関連業務の従事制限
-
労働者派遣形態で働く場合も、特定技能外国人は、主たる業務(耕種農業全般または畜産農業全般)に付随的に行う関連業務(例:農畜産物の製造・加工、運搬、販売の作業、冬場の除雪作業など) に従事できますが、関連業務にのみ従事することは認められません。主たる業務が常時含まれていることが不可欠です。
- 5. 事前相談ならびに届出
-
所轄の出入国在留管理局へ事前相談し、必要書類・承認を得てから運用すること。無断で配置を変えると在留資格逸脱となる恐れがあります。
- 注意点
- 農業者団体等による雇用に限られるため、一般的な営利目的の人材派遣会社が特定技能外国人を派遣することは、職業安定法上の「労働者供給事業」に該当し、制度違反になります。
- 雇用主ではない第三者企業が管理や指揮命令を独占する「偽装請負」や「名義貸し」は、受入れ許可の取消や刑事罰など重大なリスクを伴います。
- 派遣形態を利用する場合でも、受入れ企業(派遣元)が労働者に対する責任と支援義務を直接負い続ける必要があります。
運用は変更されることがあるため、必ず事前に確認・相談なさってください。
参考:特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領|法務省・農林水産省
事例から学ぶ!農業分野の特定技能外国人のメリットと活用方法

特定技能外国人は即戦力になり得ます。とはいえ、採用だけで終わらせず、生活支援や教育で「戦力化」する必要があることは、ここまで説明してきた通りです。
ここでは実際の事例を参考に、農業分野で特定技能外国人を採用するメリットと、彼らが活躍できるように企業が取るべき対策について考えてみましょう。
八街産直会の事例
千葉県で複数の圃場を運営する八街産直会では、特定技能外国人の雇用によって規模拡大と作業効率化を実現しました。
採用に際しては賃金や休日、生活費の試算を事前に示し、ミスマッチをできるだけ減らす工夫をしています。現場では業務開始前に簡易な日本語チェックや清掃・衛生指導を行うことで、業務への適応が早まったと報告されています。
住まいについても男女別の宿舎や通勤ルートの案内、自転車支給といった「日常の困りごと」を先回りして解消する施策を講じており、これが早期定着に効いたとのこと。
さらに昇給ルールを明確化、自動車免許取得費用を支援して免許保有をリーダー昇格の条件にするなど、処遇面の設計にも手を入れています。
結果として早期離職が減り、規模拡大につながったと担当者は語っています。
- 採用前に「賃金・休日・生活費」等の条件を具体的に示すことによってミスマッチを減らせる。
- 業務に直結する事前チェック(簡易日本語・衛生・道具の使い方)を導入すると現場適応が早まる。
- 住環境(宿舎の配置・通勤手段)の整備が定着率向上に直結する。
- 昇給ルールや資格取得支援を明示し、責任ある役割を提示することによってモチベーション向上につながっている。
山口牧場の事例
北海道で畜産を行っている山口牧場では、家族経営を基盤としながらも、特定技能者を雇用することによって業務の安定化を実現させています。
採用の基本線は「実習生からの移行」で、経験者がいるため習熟が速く、日常の業務担い手になりやすいのが強みです。
宿舎は新築で治安に配慮した立地に用意し、通勤も自転車圏内に収めるなど生活面の安心を確保しています。
現場では指示を可能な限り日本語で行い、同時に後輩指導やリーダー任命といった役割を与えることで責任感を育てています。結果として作業品質が安定し、現場の信頼がじわりと醸成されたと現場担当者は述べています。
とはいえ、最初の数週間は細かな説明を重ねる必要があり、その手間を惜しまない運用が定着の肝だとも報告されています。
- 技能実習生の経験を採用パイプラインに組み込むと教育コストが下がり、即戦力化が期待できる。
- 住環境の安心(設備・立地・通勤)の整備が定着に直結する。
- 日本語運用は段階的に強化し、業務で使う場面を学習機会にすると効果的。
- 役割と報酬を連動させることで、長期的なキャリア設計が可能になる。
この2つの事例は、特定技能の雇用が現場の安定稼働や生産性向上に直結することを示しています。両社に共通していたのは、事前研修・生活支援・処遇設計をセットで整えた点で、結果として早期定着と戦力化が進んだのです。
住環境や日本語教育などの初期投資を怠れば、期待した効果は十分に出ません。実のところ、採用は出発点に過ぎず、支援の「具体性」や「実務の丁寧さ」が成果を左右します。まずは支援計画を社内化し、住居・通勤・研修(日本語教育)を優先的に整備すると良いでしょう。
参考:特定技能外国人受入れの優良事例集|一般社団法人全国農業会議所

フィリピン人材受入れに必要なDMWと送り出し機関

フィリピン人材を採用する際は、ビザ申請にまつわる一般的な手続きだけでは不十分です。フィリピン政府側の組織(DMW/旧POEA)と、現地の送り出し機関についてしっかり理解しておかなければなりません。。
DMWと送り出しルールの要点
フィリピンは国民の約10%が海外で働いているという現状があり、労働者を保護するため、DMW(海外労働者省)という行政機関が海外への送出を厳格に管理・監督しています。
例えば、フィリピンではエージェントを介さない企業による直接雇用は原則禁止されており、DMW認定の送り出し機関を通じた手続きが必要となります。
そのため日本の企業がフィリピンから特定技能人材を直接雇用しようとする場合、まずはDMW認定の送り出し機関と人材募集・雇用に関する取り決めを締結し、その上でMWOへの申請手続きを行い、認証を得る必要があります。
またDMWは不当な手数料徴収を禁じる通達を出しており、紹介料や手数料の取り扱いには法的なルールが適用されます。とはいえ、実務上は運用に差が出ており、企業側が想定外の費用負担や説明不足に直面するケースが散見されます。
送り出し機関選定の重要性
フィリピン人採用における最大の実務リスクの一つは、送り出し機関の選択です。なぜなら、一部には不当な費用請求や書類偽造、質の低い日本語教育といった悪質な運営を行う機関が存在するからです。
そうした事案は、労働者本人に深刻な被害をもたらすだけでなく、受け入れ企業にも失踪・不法就労・労務トラブルといった重大な負担を引き起こします。
したがって、送り出し機関の選定は「人が来るかどうか」だけで判断してはいけません。倫理性・透明性・法令順守を含めた総合的な適性評価が不可欠です。
参考:DMW

送り出しカフェの活用

DMWへの申請、送り出し機関の選定など、ビザ申請以外に必要な手続きが含まれるフィリピン人材の採用を成功させるには、専門のサポート機関を利用するのが最も効率的かつ効果的です。
送り出しカフェは、フィリピン人労働者の採用を検討している日本企業を対象に、フィリピン現地の送り出し機関の紹介・仲介を行っています。
フィリピン政府のライセンスを持つ正規の送り出し機関と提携しており、年間2,000人を海外に送り出す実績を有するパートナーなど、実績豊富な機関と連携しているのが大きな特徴です。
- 信頼性のある送り出し機関の紹介
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フィリピン政府公認のライセンスを持つ送り出し機関と提携しているため、違法・不透明な業者を避けられる。
- 人材の母集団が大きい
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提携大学・職業訓練校から約7,000人規模の候補者がいるため、必要な職種に合った人材を探しやすい。
- 特定技能16分野に対応
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介護・外食・建設など幅広い業種の求人に対応できる。
- 安心の日本語対応
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日本人スタッフが窓口となるため、言語や文化の違いによる誤解・トラブルを減らせる。
- 採用から入国後までワンストップ支援
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求人票作成、面接調整、ビザ・MWO申請、入国後の定着支援までトータルサポート。
- 手続きの負担軽減
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フィリピン側で必要な複雑な申請書類や手続きを代行・支援してくれる。
- 日本語教育サポート
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採用前から就労後まで継続的に日本語教育を行う体制があり、現場でのミスや離職リスクを軽減できる。
- 費用や採用リスクの低減
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信頼性の低い送り出し機関を選んで失敗するリスクを減らし、スムーズな採用につながる。
送り出しカフェを活用することによって、DMWのルール確認、信頼できる送り出し機関の選定、明確な契約とスケジュール管理などを円滑に行うことができるでしょう。
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まとめ:農業の未来を担うフィリピン人材確保へ

特定技能制度は、農業分野の慢性的な人手不足を解消し、日本の農業経営を持続可能にするために不可欠な制度として機能しています。特に、フィリピン人特定技能人材は、高い技能測定試験の合格率が示す通り、即戦力となることが期待されています。
しかし、採用プロセスにおいては、日本の入管法に加え、労働者保護を目的としたフィリピンのDMWによる厳格な認証手続きが必要となる点を深く理解し、適切な準備を行うことが成功の鍵となります。
この二重のコンプライアンス管理が、採用を進めるうえでの最大の障壁になり得ます。したがって、成功には適切な情報収集と綿密な計画が必要です。
私たち送り出しカフェは、信頼できる送り出し機関の紹介からビザ申請・入国手続き、日本語教育に至るまで、企業向けに一貫したサポートを提供しています。
フィリピン人材の採用を検討しているのであれば、まずは一度、お気軽にご相談ください。
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