特定技能外国人の受入れを検討する際、「どこに相談すればよいか分からない」という声は少なくありません。特定技能制度は在留資格の申請手続きや届出義務、日常生活の支援など、企業が対応すべき事項が多岐にわたります。制度を正しく理解し、適切な相談窓口を活用することが、円滑な外国人材の受入れには不可欠です。
本記事では、出入国在留管理庁をはじめとする公的機関から登録支援機関まで、特定技能に関する相談先を体系的に整理し、人事担当者が状況に応じて最適な窓口を選択できるよう解説します。
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特定技能制度における相談窓口とは

特定技能制度では、企業と外国人材の双方を支援するため、複数の相談窓口が設置されています。出入国在留管理庁や地方自治体などの公的機関だけでなく、登録支援機関といった民間の支援機関も制度に組み込まれました。
各機関の役割と対応範囲を正しく理解することで、効率的な情報収集と手続きが可能になります。
特定技能制度の概要と相談の必要性
特定技能制度とは、人材確保が困難な産業分野において、一定の技能を持つ外国人を受け入れるための在留資格制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創設時期 | 2019年4月 |
| 対象分野 | 介護、建設、製造業、外食業など16分野(2024年拡大後) |
| 在留資格の種類 | 特定技能1号・2号 |
| 企業の義務 | 届出、支援計画の実施、各種書類の管理 |
制度の複雑さから、企業が独力で全ての対応を行うことは困難なため、相談窓口の活用が不可欠です。
相談窓口が設置されている背景
相談窓口が複数設置されている背景には、外国人材の適正な受入れと保護という目的があります。企業側の手続き支援だけでなく、外国人労働者が安心して働ける環境整備も重要な課題です。
| 設置目的 | 具体的な役割 |
|---|---|
| 制度の適正運用 | 在留資格や届出に関する案内・指導 |
| 企業への支援 | 手続き方法や必要書類の情報提供 |
| 外国人材の保護 | 労働条件や生活に関する相談対応 |
| トラブル防止 | 問題発生時の連絡先確保と早期解決 |
企業が相談できる内容の範囲
特定技能制度に関する相談窓口では、幅広い内容に対応しています。主な相談対象は以下のとおりです。
- 在留資格の申請・変更手続き
- 届出義務と必要書類の確認
- 雇用契約の締結方法
- 支援計画の作成・実施
- 外国人材の日常生活支援
- 日本語学習の案内
相談窓口ごとに対応範囲が異なるため、事前に確認してから問い合わせると効率的に進められます。


公的機関の相談窓口一覧

特定技能外国人の受入れに関して、国や地方自治体が設置する公的機関の相談窓口を利用できます。これらの窓口は無料で相談でき、制度に関する正確な情報を得られる点が特徴です。
在留資格の手続きから雇用管理まで、目的に応じた窓口を選択することが円滑な対応につながります。
出入国在留管理庁の相談サービス
出入国在留管理庁は、在留資格に関する手続きや届出を担当する機関です。全国の地方出入国在留管理局で相談を受け付けています。
| 窓口名 | 対応内容 |
|---|---|
| 外国人在留総合インフォメーションセンター | 在留手続き全般の案内 |
| 地方出入国在留管理局 | 申請書類の受付・審査 |
| 外国人在留支援センター(FRESC) | 多言語での総合相談 |
電話相談は平日対応が基本ですが、多言語での案内にも対応しており、外国人本人からの相談も可能です。
参考:
出入国在留管理庁 外国人在留総合インフォメーションセンター
出入国在留管理庁 外国人在留支援センター(FRESC)
ハローワーク・外国人雇用サービスセンター
ハローワークでは、外国人材の雇用に関する届出や求人についての相談を受け付けています。特に外国人雇用サービスセンターは専門的な対応が可能です。
| 機関名 | 主な業務 | 設置場所 |
|---|---|---|
| ハローワーク | 外国人雇用状況届出の受理 | 全国各地 |
| 外国人雇用サービスセンター | 専門的な雇用相談・人材紹介 | 東京・大阪・名古屋・福岡 |
| 留学生コーナー | 留学生向け就職支援 | 主要都市のハローワーク |
企業が外国人を雇用する際の届出義務についても、これらの窓口で詳しい案内を受けられます。
地方自治体の外国人支援窓口
都道府県や市区町村では、外国人住民向けの相談窓口を設置しています。生活に関する情報提供や行政手続きの案内が主な役割となっています。
- 住民登録や各種届出の案内
- 医療・福祉サービスの情報提供
- 日本語教室の紹介
- 生活全般に関する相談
自治体によって対応言語や受付時間が異なるため、事前にホームページで確認することを推奨します。
外国人技能実習機構の相談対応
外国人技能実習機構(OTIT)は、技能実習制度を管轄する機関ですが、特定技能への移行に関する相談にも対応しています。
| 相談内容 | 対応窓口 | 備考 |
|---|---|---|
| 技能実習から特定技能への移行 | 地方事務所・支所 | 全国各地に設置 |
| 母国語相談 | 母国語相談ホットライン | 11言語対応 |
| 技能実習生からの申告 | 申告受付窓口 | 祝日を除く平日対応 |
技能実習2号を修了した外国人が特定技能1号へ移行する際の手続きについて、具体的な案内を受けることが可能です。
民間支援機関と登録支援機関の特徴

特定技能制度では、公的機関に加えて民間の支援機関も重要な役割を担っています。特に登録支援機関は、企業に代わって外国人材への支援業務を実施できる制度上の位置づけです。
各機関の特徴を把握し、自社のニーズに合った支援先を選ぶことが受入れ成功の鍵となるでしょう。
登録支援機関の役割と相談対応
登録支援機関とは、出入国在留管理庁に登録された機関で、特定技能1号外国人への支援計画の実施を受託できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 登録要件 | 出入国在留管理庁への登録申請・審査通過 |
| 主な業務 | 支援計画の全部または一部の実施 届出の代行 |
| 対応範囲 | 生活オリエンテーション 日本語学習支援、相談対応 |
| 費用 | 有料(機関により異なる) |
企業が自社で支援体制を整えることが困難な場合、登録支援機関への委託を検討することが一般的です。

人材紹介会社による支援サービス
外国人材の採用においては、人材紹介会社を活用する方法もあります。特定技能分野に特化した事業者も増加しました。
- 特定技能外国人の候補者紹介
- 採用に関する各種相談対応
- 在留資格申請に関する情報提供
- 入社後のフォローアップ
紹介手数料が発生するものの、採用活動の負担を軽減できる点がメリットです。利用する際は、特定技能分野での実績を確認してから契約を進めると安心できます。

業界団体・協同組合の相談窓口
業界団体や協同組合でも、会員企業向けに特定技能制度に関する相談窓口を設けているケースがあります。
| 機関の種類 | 対応内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| 業界団体 | 分野別の制度説明 情報提供 | 業界特有の事情に詳しい |
| 事業協同組合 | 共同での外国人受入れ支援 | 中小企業向けサービスが充実 |
| 商工会議所 | セミナー開催、個別相談 | 地域密着型の支援 |
同業他社の事例を参考にできる点や、業界特有の課題に精通している点が、これらの機関を利用するメリットといえます。
相談内容別の窓口選び方

特定技能外国人の受入れに関する相談は、内容によって適切な窓口が異なります。在留資格の手続きは前述の出入国在留管理庁の窓口を活用し、労務管理や生活支援については以下の窓口を利用してください。
労務管理・雇用条件の相談先
外国人材の雇用契約や労働条件に関する相談は、労働関係の行政機関が担当しています。適切な雇用管理を行うために活用したい窓口です。
| 相談内容 | 適切な窓口 | 備考 |
|---|---|---|
| 外国人雇用状況届出 | ハローワーク | 届出義務あり |
| 労働条件・賃金 | 労働基準監督署 | 法令違反の相談も可 |
| 雇用保険・社会保険 | ハローワーク・年金事務所 | 加入手続きの案内 |
| 専門的な雇用相談 | 外国人雇用サービスセンター | 東京・大阪・名古屋・福岡 |
雇用契約書は日本語と外国人が理解できる言語の両方で作成する必要があるため、不明点は事前に確認しておくと安心です。
外国人材の生活支援に関する相談先
特定技能1号外国人には、企業または登録支援機関による日常生活上の支援が義務付けられています。生活面での相談先も把握しておくことが大切です。
| 相談内容 | 適切な窓口 |
|---|---|
| 住民登録・行政手続き | 地方自治体の外国人相談窓口 |
| 地域での交流・日本語教室 | 国際交流協会 |
| 支援計画全般の実施 | 登録支援機関 |
支援計画には住居確保や生活オリエンテーション、日本語学習機会の提供などが含まれます。自治体によっては多言語での情報提供や通訳サービスを利用できるため、受入れ前に地域の支援体制を確認しておくとスムーズに対応できます。


まとめ|特定技能外国人の相談窓口を活用するために

特定技能外国人の受入れを成功させるには、適切な相談窓口の活用が不可欠です。在留資格の手続きは出入国在留管理庁、雇用管理はハローワーク、生活支援は地方自治体や登録支援機関というように、相談内容に応じた窓口選択が効率的な対応につながります。
まずは外国人在留総合インフォメーションセンターへ問い合わせ、自社の状況に合った相談先を確認することから始めてみてください。公的機関の無料相談と民間支援機関のサービスを組み合わせることで、円滑な外国人材の受入れ体制を構築できます。

