外国人雇用を検討する企業の人事担当者にとって、適切な知識の習得は成功の鍵となります。日本国内での労働力不足が深刻化する中、外国人材の活用は重要な選択肢の一つです。しかし、在留資格の確認や雇用契約の締結、各種手続きなど、日本人採用とは異なる注意点が数多く存在します。
本記事では、外国人雇用における基礎知識から実務的な管理方法まで、体系的に紹介していきます。採用前に理解すべき制度や法規、雇用後の適切な管理体制の構築方法など、人事担当者が知るべき重要なルールとポイントを分かりやすく整理しました。
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外国人雇用の基礎知識と制度概要

外国人雇用とは、日本国籍を持たない人材を企業が雇用することを指します。適切な在留資格を持つ外国人のみが日本で仕事に従事することが可能であり、企業は雇用前に必ず在留カードの確認を行います。出入国在留管理庁が定める制度に基づき、外国人労働者の受け入れが行われています。それぞれの企業が適切に対応することで、スムーズな雇用を実現できるでしょう。
参考:厚生労働省 外国人の雇用
外国人雇用とは|定義と現状
外国人雇用の対象となるのは、就労可能な在留資格を持つ外国人です。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 定義 | 日本国籍を持たない者を労働者として雇用すること | 在留資格による就労制限あり |
| 現状の雇用者数 | 約230万人超(2024年10月時点) | 年々増え続けている |
| 主な国籍 | ベトナム、中国、フィリピン、ネパール等 | アジア圏が約8割 |
| 業界別分布 | 製造業、サービス業、建設業、介護分野 | 人手不足業界に集中 |
厚生労働省の統計によると、外国人労働者数は10年間で約3倍に増加しました。詳細は同省のサイトでご覧いただけます。
在留資格の種類と特徴
在留資格は就労の可否や活動範囲を定める重要な要件となります。際立って重要なのは、業務内容との適合性です。
| 在留資格 | 就労可否 | 主な職種・活動内容 |
|---|---|---|
| 技術・人文知識・国際業務 | 可能 | エンジニア、通訳、貿易業務等の専門職 |
| 特定技能 | 可能 | 16分野の特定産業(介護、建設、農業等) |
| 技能実習 | 可能(制限あり) | 技能移転を目的とした実習 |
| 留学 | 資格外活動許可で可能 | 週28時間以内のアルバイト |
| 永住者・定住者 | 制限なし | あらゆる職種で働くことが可能 |
| 就労ビザ(一般的呼称) | 各種就労資格の総称 | 正式名称は各在留資格名を使用 |
| 高度専門職 | 可能 | 研究者、技術者等の高度人材 |
各在留資格には在留期限があり、更新手続きが必要となる点に注意が必要です。次の更新時期を見逃さないことが大切です。
外国人雇用の関連法規
外国人雇用に関わる主要な法律と制度を理解することが重要です。関連資料のダウンロードも可能です。
| 法規名 | 管轄 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 出入国管理及び難民認定法 | 法務省 | 在留資格の種類、入国・在留管理 |
| 労働基準法 | 厚生労働省 | 労働条件の最低基準(国籍による差別禁止) |
| 雇用対策法 | 厚生労働省 | 外国人雇用状況の届出義務 |
| 技能実習法 | 法務省・厚生労働省 | 技能実習制度の適正な実施 |
これらの法律に違反した場合、罰則が科される可能性があります。特に不法就労助長罪は3年以下の懲役または300万円以下の罰金です。他にも罰則が設けられています。
雇用可能な外国人の分類
企業が雇用できる外国人は、在留資格により以下のように分類されます。各種資格の一覧を確認することが重要です。
| 分類 | 在留資格例 | 雇用時の注意点 |
|---|---|---|
| 就労資格保持者 | 技術・人文知識・国際業務、特定技能等 | 資格の範囲内での業務のみ可能 |
| 身分系資格保持者 | 永住者、日本人の配偶者等、定住者 | 就労制限なし |
| 特定活動資格者 | ワーキングホリデー、EPA看護師等 | 指定された活動範囲で就労可能 |
| 資格外活動許可者 | 留学生、家族滞在 | 許可範囲内(週28時間以内)で就労可能 |
採用前に必ず在留カードで資格と期限を確認し、業務内容との適合性を確認することが大切です。政府が認めた範囲内での雇用が必須です。求人掲載時にも在留資格要件を明記する必要があります。


外国人採用のメリットとデメリット

外国人採用には人材不足の解消や国際化への対応など多くのメリットがある一方、言語や文化の違いによる課題も存在します。企業は自社の状況を踏まえ、メリットとデメリットを十分に考える必要があります。適切な準備と体制整備により、デメリットを最小限に抑えることが可能です。経験豊富な企業の事例も参考にしながら、採用戦略を立てることが重要となります。
外国人採用の5つのメリット
外国人を採用することで企業が得られる主な利用価値を整理しました。
| メリット | 具体的な効果 | 期待される成果 |
|---|---|---|
| 人材不足の解消 | 特に製造業、介護、建設分野での労働力確保 | 事業継続性の向上 |
| 多様な視点の獲得 | 新しいアイデアや異なる価値観の導入 | イノベーションの促進 |
| 海外展開への足がかり | 母国語での対応、現地文化の理解 | グローバル化の推進 |
| 若手人材の確保 | 20-30代の優秀な人材採用 | 組織の活性化 |
| 職場の国際化 | 日本人社員の語学力・異文化理解力向上 | 組織力の強化 |
これらのメリットを最大限に活用するには、受け入れる体制の整備が不可欠です。よい環境づくりが成功へとつながり、企業の持続的な成長に役立ちます。
外国人採用のデメリットと課題
外国人採用において企業が直面する可能性のある課題について説明します。ケースによって対応方法が異なります。
| デメリット | 発生要因 | 対策例 |
|---|---|---|
| コミュニケーションの困難 | 日本語能力の不足、言語の壁 | 日本語研修の実施翻訳ツールの活用 |
| 文化・習慣の違い | 宗教、食事、労働観の相違 | 異文化理解研修配慮した環境整備 |
| 採用・管理コストの増加 | ビザ申請、通訳、研修費用 | 助成金の活用効率的な管理システム |
| 離職リスク | 期待とのギャップ、帰国願望 | 定期面接キャリアパスの明確化 |
| 手続きの複雑さ | 在留資格関連の煩雑な手続き | 専門家への依頼社内体制の構築 |
事前の準備と継続的なサポート体制により、これらの課題は改善可能です。人材の減少を防ぐ対策が重要となります。
業界別の採用効果と特徴
業界により外国人採用の効果や求められる人材像が異なります。各業界の代表的な特徴を把握することが大切です。
| 業界 | 主な在留資格 | 採用効果 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 製造業 | 技能実習、特定技能 | 安定的な労働力確保 | 安全教育の徹底が必要 |
| IT業界 | 技術・人文知識・国際業務 | 高い技術力の獲得 | 給与水準の検討が重要 |
| 介護業界 | 特定技能、EPA、技能実習 | 慢性的な人手不足の解消 | 日本語能力の向上支援 |
| 飲食・宿泊業 | 特定技能、留学生アルバイト | 多言語対応力の強化 | シフト管理の工夫が必要 |
| 建設業 | 特定技能、技能実習 | 若手労働力の確保 | 技能レベルの確認が重要 |
各業界の特性を理解し、適切な在留資格での採用を進めることが成功の鍵となります。無料の相談窓口も活用できます。
外国人採用手続きの詳細と注意点

外国人採用の手続きは日本人採用と異なり、在留資格の確認から雇用契約締結、各種届出まで特有のプロセスが存在します。法令違反を防ぐためにも、各段階での確認事項を正確に理解し、適切な手順で進めることが必要です。採用担当者は関連する書類の準備と提出期限の管理を徹底することが求められます。理由として、違反時の罰則が重いことが挙げられます。
採用前の確認事項と準備
外国人採用を開始する前に、企業側で準備すべき事項があります。予定を立てて計画的に進めることが重要です。
| 確認項目 | 詳細内容 | 準備期間の目安 |
|---|---|---|
| 業務内容の整理 | 募集職種と在留資格の適合性確認 | 1-2週間 |
| 雇用条件の設定 | 給与、労働時間、福利厚生の決定 | 1週間 |
| 受入体制の構築 | 住居、生活支援、教育体制の整備 | 1-2ヶ月 |
| 社内規程の見直し | 就業規則の多言語化、宗教配慮 | 2-3週間 |
| 必要書類の準備 | 会社概要、登記簿謄本等 | 1週間 |
特に在留資格と業務内容の適合性は、出入国在留管理庁の審査において重要な判断基準となります。登録済みの支援機関への相談も可能です。準備に時間がかかりますが、確実に進めることが大切です。
在留資格確認の方法と注意点
在留カードの確認は不法就労を防ぐ最も重要なステップです。安心して雇用するための必須事項となります。
- 在留カードの有効性(偽造でないか)
- 在留資格の種類
- 在留期限
- 就労制限の有無
- 資格外活動許可の有無(留学生等の場合)
出入国在留管理庁のウェブサイトで在留カード番号の有効性を確認できます。偽造カードによる不法就労は企業にも罰則が科されるため、慎重な確認が必要となります。在留カード以外の書類として、雇用契約書や卒業証明書の確認も重要です。限りなく正確な確認を心がけましょう。
参考:出入国在留管理庁 在留カード等読取アプリケーション サポートページ
雇用契約締結時の必須事項
外国人との雇用契約では、日本人と同じ労働条件を確保しつつ、追加の配慮が求められます。内定通知から入社まで丁寧な対応が必要です。
| 契約書記載事項 | 詳細 | 法的根拠 |
|---|---|---|
| 労働条件の明示 | 賃金、労働時間、休日、業務内容 | 労働基準法第15条 |
| 在留資格に関する条項 | 資格変更・更新への協力、資格外活動の禁止 | 入管法関連 |
| 言語対応 | 母国語または理解可能な言語での作成 | 労働条件明示の実効性確保 |
| 解雇・退職条項 | 在留資格喪失時の取扱い | 労働契約法 |
| 社会保険加入 | 健康保険、厚生年金、雇用保険への加入 | 各社会保険法 |
| 転職制限条項 | 競業避止、守秘義務等 | 民法・労働契約法 |
契約書は本人が理解できる言語で作成し、内容を十分に説明することが大切です。外国人従業員向けの説明会を実施することも効果があります。従業員が受けるべき待遇や権利を明確に示し、双方の認識を一致させることが重要です。
ハローワークへの届出手続き
外国人を雇用した際は、ハローワークへの届出が法律で義務付けられています。就職時と離職時の両方で必要となります。
| 届出区分 | 対象者 | 届出期限 | 届出方法 |
|---|---|---|---|
| 雇用時 | すべての外国人労働者 | 雇用の翌月末日まで | 電子申請または書面 |
| 離職時 | すべての外国人労働者 | 離職の翌日から10日以内 | 電子申請または書面 |
| 雇用保険被保険者 | 該当する外国人 | 資格取得・喪失届と同時 | 雇用保険手続きと併せて |
| 雇用保険対象外 | パート、アルバイト等 | 上記期限内に個別届出 | 専用様式で提出 |
届出を怠った場合、30万円以下の罰金が科される可能性があります。期限内の確実な提出が重要です。


外国人雇用管理の実務知識

外国人労働者の雇用管理では、日本人社員と同等の労働条件を確保しながら、在留資格特有の管理や文化的配慮が求められます。適切な管理体制を構築することで、外国人材の定着率向上と生産性の向上が期待できます。企業は法令遵守を基本としつつ、働きやすい環境整備に取り組むことが重要です。
労働条件と就業規則の整備
外国人労働者にも日本の労働基準法が適用され、国籍による差別は禁止されています。
| 整備項目 | 具体的内容 | 実施のポイント |
|---|---|---|
| 賃金体系 | 日本人と同一労働同一賃金の原則適用 | 最低賃金以上の設定 |
| 労働時間管理 | 法定労働時間(週40時間)の遵守 | 母国の労働慣習との違いを説明 |
| 休日・休暇制度 | 年次有給休暇、母国への一時帰国配慮 | 宗教的な休日への配慮 |
| 就業規則の多言語化 | 英語、中国語、ベトナム語等への翻訳 | 重要部分の優先的な翻訳 |
| 安全衛生教育 | 作業手順、緊急時対応の母国語説明 | 図解やイラストの活用 |
| 日本の文化教育 | ビジネスマナー、職場慣習の説明 | 入社時研修で行って効果的 |
就業規則は外国人労働者が理解できる言語で作成し、入社時に十分な説明を行うことが重要です。
社会保険と税務の取り扱い
外国人労働者も日本人と同様に社会保険への加入義務があります。
| 保険種類 | 加入条件 | 注意事項 |
|---|---|---|
| 健康保険 | 常用雇用者は強制加入 | 扶養家族の範囲確認が必要 |
| 厚生年金 | 常用雇用者は強制加入 | 社会保障協定の確認 |
| 雇用保険 | 週20時間以上勤務で加入 | 在留資格により給付制限あり |
| 労災保険 | 全労働者が対象 | パート・アルバイトも含む |
| 所得税 | 居住者・非居住者で税率が異なる | 租税条約の適用確認 |
母国との社会保障協定により、保険料の二重払いを防げる場合があります。該当国の確認が必要です。
在留期限管理と更新サポート
在留期限の管理は外国人雇用において最も重要な業務の一つです。
- 入社時に在留期限を記録
- 期限3ヶ月前にアラート設定
- 本人への更新意思確認
- 必要書類の準備支援
- 更新申請のサポート
企業が作成する書類として、在職証明書、雇用契約書、納税証明書等が必要となります。更新手続きには通常1ヶ月から3ヶ月かかるため、早めの準備が不可欠です。
文化的配慮と職場環境整備
多様な文化背景を持つ外国人が働きやすい環境づくりが定着の鍵となります。
| 配慮項目 | 具体的対応 | 期待効果 |
|---|---|---|
| 宗教への配慮 | 礼拝スペース確保、食事対応 | 精神的安定、満足度向上 |
| コミュニケーション支援 | 日本語教育、メンター制度 | 業務効率向上、人間関係改善 |
| 生活支援 | 住居探し、銀行口座開設支援 | 生活基盤の早期安定 |
| キャリア開発 | 評価制度の明確化、昇進機会提供 | モチベーション向上 |
| 相談窓口設置 | 母国語対応可能な相談体制 | トラブルの早期解決 |
日本人社員への異文化理解研修も実施し、相互理解を深めることが職場全体の活性化につながります。
外国人雇用でよくあるトラブルと対策

外国人雇用においては、在留資格の管理ミスや文化の違いによる誤解など、特有のトラブルが発生する可能性があります。これらの問題を事前に把握し、予防策を講じることで、リスクを最小限に抑えることが可能です。企業は過去の事例を参考に、自社に適した対策を構築することが求められています。
違法就労のリスクと防止策
不法就労は企業に重大な法的リスクをもたらす問題です。
| リスク要因 | 発生する問題 | 防止策 |
|---|---|---|
| 在留資格の未確認 | 不法就労助長罪 (3年以下の懲役または300万円以下の罰金) | 採用時の在留カード確認徹底 |
| 期限切れの見落とし | 違法状態での雇用継続 | 期限管理システムの導入 |
| 資格外活動 | 業務範囲逸脱による違法就労 | 業務内容と資格の適合性確認 |
| 偽造書類の見抜き失敗 | 不正な雇用関係の成立 | 出入国在留管理庁での照会実施 |
| 留学生の時間超過 | 週28時間制限違反 | 勤務時間の厳格な管理 |
在留カードの確認は目視だけでなく、出入国在留管理庁のシステムで番号照会を行うことが重要です。
コミュニケーション問題の対処法
言語や文化の違いによるコミュニケーション問題は、早期の対応で改善可能です。
- 業務指示の誤解を防ぐため、図解や実演を活用
- 報告・連絡・相談の文化を丁寧に説明
- 簡単な日本語(やさしい日本語)の使用を推進
- 翻訳アプリやツールの積極的な活用
- 定期的な面談による不安や悩みの把握
日本特有の「察する文化」は外国人には理解しにくいため、明確な指示と確認が不可欠です。相互理解を深めるための研修も効果的です。
離職防止と定着率向上の仕組み
外国人労働者の早期離職を防ぐには、体系的な支援体制が必要です。
| 離職要因 | 具体的な問題 | 対策方法 |
|---|---|---|
| 期待とのギャップ | 業務内容、労働条件の相違 | 採用時の詳細な説明体験入社 |
| 孤立感・疎外感 | 職場での人間関係構築困難 | メンター制度交流イベント開催 |
| キャリアの不透明さ | 昇進・昇格の見通し不明 | キャリアパスの明確化評価基準の説明 |
| 生活面の困難 | 住居、医療、子育て等の問題 | 生活支援サービスの提供 |
| 家族の問題 | 母国の家族との分離、呼び寄せ困難 | 家族滞在ビザのサポート一時帰国制度 |
入社後3ヶ月、6ヶ月、1年の節目での面談実施により、問題の早期発見と対応が可能となります。

まとめ|外国人雇用を成功させるポイント

外国人雇用を成功させるためには、法令遵守を基本としつつ、受け入れ体制の整備と継続的な支援が不可欠です。在留資格の適切な管理、労働条件の公正な設定、文化的配慮を含む職場環境の整備により、外国人材の能力を最大限に活用できます。本記事で解説した注意点を踏まえ、計画的な採用と雇用管理を進めることで、企業の国際競争力強化と持続的な成長が実現可能となるでしょう。人事担当者は常に最新の制度情報を把握し、外国人労働者と日本人社員が共に活躍できる職場づくりを目指すことが重要です。
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