建設業が直面する深刻な人手不足は、事業継続を左右する喫緊の課題です。こうした状況に対応するために注目されているのが、一定の専門性・技能を持つ外国人を即戦力として受け入れる制度が特定技能制度です。
当記事では特定技能フィリピン人材の採用を検討している企業担当者向けに、特定技能制度の概要から求められる技能の評価基準、そして特に複雑とされるフィリピン政府独自の厳格な送出し手続き(DMWおよびMWO関連)等について解説します。
特定技能フィリピン人の採用を成功させるために、ぜひ参考になさってください。
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建設分野における特定技能制度の概要

特定技能制度は、国内で人材確保が難しい産業分野に対し、一定の技能を有する外国人を即戦力として受け入れるために設けられた在留制度です。
従来の技能実習制度が「技術移転」を主目的とするのに対し、特定技能は労働力の確保を主眼に置く点で性格が異なります。企業にとっては、現場の即戦力化と中長期的な人材戦略の両面で有用な制度と言えます。
建設分野は、業種横断的な基盤を支える重要産業でありながら人手不足が顕著です。ここで特定技能を活用すれば、短期的な工数補填に留まらず、計画的な技能者確保や現場管理層の育成へとつなげられます。
とはいえ、採用に際しては試験合格や在留要件、業務区分の確認といった手続きが不可欠ですので、事前準備を徹底してください。
1号と2号の位置づけ
特定技能制度には要件や在留資格などが異なる、1号と2号という在留資格があります。
現場で「相当程度の知識又は経験」を要する作業に従事するための在留資格です。在留期間の上限は5年で、即戦力確保を目的とします。
より熟練した技能と指導・管理能力を期待される上級の在留資格です。更新により在留期間の上限がなく、家族の帯同が可能となるため、長期的な人材確保が可能です。
両者は業務区分の範囲自体は共通する部分もありますが、求められる技能水準と従事の役割に違いがあります。
建設分野の業務区分
建設分野では、代表的に以下の3つの区分に整理されています。各区分に対して、特定技能者が従事可能な具体的作業が定められています。
土木区分 | 掘削・盛土、杭打ち、基礎工事など。 |
建築区分 | 型枠、鉄筋、内装仕上げ、足場組立てなど。 |
ライフライン・設備区分 | 配管、電気通信、設備据付け等。 |
各業務については、区分ごとに定められた職務内容(Job Description)を確認のうえ、必要な技能試験や資格を満たすことが前提です。
比較表
項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
---|---|---|
在留資格の目的 | 現場での即戦力確保 | 熟練技能者の長期受入れ・指導 |
在留期間 | 通算で上限あり(原則5年) | 在留期間の上限なし(更新可) |
技能要件 | 建設分野特定技能1号評価試験の合格または各職種に対応する技能検定3級(例:型枠施工、鉄筋施工、配管、内装仕上げ 等)の合格 | 建設分野特定技能2号評価試験または技能検定1級等の合格 |
日本語要件 | JLPT N4相当またはJFT-Basic等 | 実務管理に耐える言語運用能力が望ましい |
家族帯同 | 原則不可 | 帯同可(条件あり) |
代表的業務 | 型枠、鉄筋、配管、内装等の現場作業 | 班長・指導者・工程管理等の業務遂行 |
技能実習2号を良好に修了した者は、特定技能1号へ移行する際に技能評価試験や日本語試験の免除対象となる場合があります。ただし、分野や個別の要件に例外があるため、該当者ごとに制度要件を精査してください。

特定技能人材採用のために企業が満たすべき要件

建設分野で特定技能外国人を受け入れる企業には、国土交通省が定める厳格で多層的な要件の遵守が求められます。これは、適正な就労環境の確保と技能者のキャリア形成の透明性を担保する目的です。企業担当者は、複雑な手続きを正確に理解し、計画的に実施する必要があります。
建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録
特定技能外国人を受け入れる建設業者は、企業と外国人双方でCCUSへの登録が義務です。CCUSは、技能者の就業履歴や資格、社会保険加入状況などをデータ化し、技能や経験を客観的に可視化するシステムです。
企業側はまず事業者IDを取得し、申請はオンラインまたは認定登録機関を通じて行えます。外国人側も技能者IDを取得しますが、海外在住者の場合は入国前に間に合わないこともあります。その場合、勤務開始後にIDを発行し、後から受入報告で修正することが認められています。CCUS登録は、外国人材の経験や技能を証明する基盤であり、キャリアアップを具体化する重要な要素です。
特定技能外国人受入事業実施法人(JAC)への加入
建設分野の受入企業は、特定技能外国人受入事業実施法人であるJACへの加入が義務です。加入区分は正会員または賛助会員のいずれでも要件を満たせます。JAC加入により、受入企業は行動規範の遵守や、技能・労働環境に関する指導・監査を受け入れる体制を整備できます。
国土交通省への受入計画の認定申請
雇用契約を締結した企業は、入管での在留資格申請前に「建設特定技能受入計画書」を国土交通省に提出し、認定を受ける必要があります。申請は外国人労務管理システムを通じたオンライン手続きで行い、多岐にわたる書類を事前にデジタル化して準備する必要があります。
さらに、外国人材受入前に日本人労働者の確保に努めていたことを示すため、直近1年以内のハローワーク等での求人票の写し提出も義務です。多数の書類準備や手続きの複雑さから、専門家への相談や連携が不可欠です。
日本人と同等報酬・雇用環境の整備
受入企業は、同等の技能を持つ日本人と同等額以上の報酬を安定的に支払うことが義務です。原則として月給制で支払われ、技能習熟度に応じた昇給方針を設定し、確実に実施することも重要です。
また、雇用契約締結前には、賃金などの重要事項を外国人が十分に理解できる母国語等で書面にて説明し、その写しを申請時に提出します。これらの要件は、制度が適正に運用され、外国人労働者の権利が守られるための基本方針です。

特定技能建設分野の評価試験と外国人に求められる技能・日本語能力水準

特定技能として建設分野で就労させるには、所定の技能要件と日本語要件を満たすことが必須です。これらの要件は、現場で安全かつ円滑に作業を行ってもらうための最低ラインと考えてください。
技能評価試験の概要と免除要件
建設分野の技能水準は職種ごとに定められ、それを測る「特定技能評価試験」が設けられています。試験運営や申込方法、日程は一般社団法人 建設技能人材機構(JAC)などの窓口を通じて案内され、CBT方式で実施されるケースが多いです。試験は土木・建築・ライフライン・設備など区分ごとに用意されているため、採用計画時に最新のスケジュールを確認してください。
技能実習2号を良好に修了している者については、一定の条件の下で技能評価試験および日本語試験の免除が認められます。ただし、免除の適用には「技能実習の職種と特定技能で従事する業務(区分)が関連していること」などの要件があるため、採用側は実習記録や職種の整合性を必ず確認してください。
日本語能力の基準と企業による教育支援
特定技能1号の日本語要件としては、JLPT(日本語能力試験)のN4相当、または国際交流基金が実施するJFT-Basicで所定の判定を満たすことが求められます。
とはいえ、日本語テストに合格したからといって、それだけで現場対応力を判断するのは十分ではありません。採用時には、安全指示を理解できるか、日常的な業務会話が可能かといった点を見極めることが望ましいでしょう。
企業が実務で押さえておくべきポイント
- 受験・免除の照合
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候補者が技能実習2号修了者で免除を主張する場合は、技能実習の職種と予定業務の一致を示す書類を必ず確認・保管してください。
- 日本語力の実践的確認
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JFT-BasicやJLPTの合格証を確認するだけでなく、面接や簡単な現場シミュレーションを通じて、安全指示や基本会話が理解できるかを確認することが重要です。
- 試験スケジュールの把握
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海外採用を行う場合、試験日程や会場は運営機関が随時更新します。来日前に合格を要件とする場合は、受験計画を事前に調整してください。
- 教育・研修の継続投資
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特定技能1号の合格はスタートラインです。入社後も日本語教育や安全研修、技能向上プログラムを継続的に実施することで、定着率や現場の安全性を高められます。
人材確保計画の実施と企業へのサポート体制

特定技能受入れ企業は、1号特定技能外国人が安定して就労できるよう、受入れ前から受入れ後まで一貫した支援体制を整備する義務があります。
それには入国前のオリエンテーションから日常生活支援、公的手続きの同行、苦情対応までを包含します。特に建設分野では、受入れ後講習や巡回指導など分野特有の対応が求められるため、支援計画にこれらを明記しておく必要があります。
自社で支援を行うか、登録支援機関に委託するかを選択できますが、どちらを選ぶにせよ「いつ」「誰が」「何を」行うかを明確にしておくことが重要です。
採用・在留資格申請前に確認すべきこと
以下は、採用担当者が在留資格申請前に必ず確認・準備すべき項目です。採用と申請を同列で扱わないよう注意してください。
支援計画の作成有無と内容確認 | 入国前支援、住居手配、生活オリエンテーション、入国関係手続きの担当者を明確化する。 |
登録支援機関の利用可否 | 外部委託する場合は登録番号や過去実績を確認する。 |
受験・免除の照合 | 技能実習2号からの移行等で免除を主張する候補者については、実習職種と予定業務の整合性を確認し、証拠書類を保管する。 |
日本語力の実務確認 | JFT-BasicやJLPTの合格は必須条件ですが、面接や現場シミュレーションで安全指示の理解度や業務会話力を確認する運用を設ける。 |
書類管理の体制 | 雇用契約、支援計画、在留資格関連書類(COE等)、受入報告の保管方法を定める。 |
作業は採用決定前〜在留資格申請時までに完了させること。手続きが分断されると、COEやビザ手続きで遅延が発生しやすくなります。
受け入れ後に実施すべきこと
受入れ後は「支援計画を運用する」段階に入ります。書面で策定した1号特定技能外国人支援計画を、義務的支援10項目を含む実行手順に落とし込み、定期的な記録・報告を行うことが求められます。形式的な履行ではなく、現場運用と定着支援を両立させることが重要です。
受入れ後講習の実施 | 入職後概ね数か月以内に実施し、安全教育や現場ルール、労働条件の再確認を行う。 |
住居・生活支援の運用 | 契約支援、生活用品の案内、通勤手段の整備などを定期的に点検する。 |
日本語・技能研修 | 現場で必要な日本語表現(安全指示、緊急対応等)を中心に継続的に実施する。 |
苦情・相談窓口の運用 | 労働条件や人間関係の相談に対応する体制を整え、記録簿を保持する。 |
巡回指導等への協力 | 国や適正就労管理機関による巡回時には必要書類の提示や現場説明を行い、指摘事項は速やかに是正する。 |
CCUS 等の登録運用 | 建設分野では技能履歴や資格の記録が重要です。CCUSの登録・更新を運用プロセスに組み込んでください。 |
- 事前ガイダンス:日本での就労や生活に関する基本的な情報提供
- 出入国時の送迎:入国時の空港からの移動や帰国時の送迎
- 住居確保・生活に必要な契約支援:住居の手配や生活に必要な契約手続きの支援
- 生活オリエンテーション:日本での生活ルールやマナー、緊急時の対応方法などの情報提供
- 公的手続等への同行:役所での手続きや各種申請への同行支援
- 日本語学習の機会の提供:業務に必要な日本語の学習機会の提供
- 相談・苦情への対応:問題や不安に対する相談窓口の設置と対応
- 日本人との交流促進:日本人社員との交流の場を提供し、文化理解を促進
- 転職支援(人員整理等の場合):人員整理などの場合の転職先の紹介や支援
- 定期的な面談・行政機関への通報:定期的な面談を通じて状況確認と必要な通報の実施
これらの支援項目の実施は、受入企業に課された義務です。登録支援機関に委託することも可能ですが、所属機関としての管理責任は残る点には留意してください。
これらの支援内容を単なる「義務」と捉えるのではなく、外国人材の生活を支える重要な支援策として実施することが、長期定着に直結するでしょう。
登録支援機関の選定ポイント
外部委託を選ぶ場合は、次のチェック項目を最低限確認してください。
建設分野での受入実績 | 業界特有の安全教育や技能要件に精通しているかを確認する。 |
CCUS・国土交通省手続きの知見 | 受入計画の申請や登録運用を支援できる体制があるかを確認する。 |
在留資格申請サポートの提供有無 | COE申請や在留資格変更、更新などの手続き支援が可能かを確認する。 |
受入後の日本語研修・生活支援提供 | 定着支援に必要な教育プログラムを実施しているかを確認する。 |
報告・記録の代行およびフォーマット | 巡回指導や内部監査で利用できる報告様式が整っているかを確認する。 |
料金体系の明確さ | 初期費用・月額費用・更新費用など、長期運用コストを明示しているかを確認する。 |
フィリピン人材対応の経験 | MWO/DMWや送り出し機関との連携実績があるかを確認する。 |
このチェックリストを参考に、複数候補を比較してから契約先を決定してください。なお、委託しても受入企業の説明責任や監督責任は残ります。委託範囲と報告フローは契約書で明確にしましょう。
参考:1号特定技能外国人支援・登録支援機関について | 出入国在留管理庁
特定技能人材の獲得ルートと採用フロー

特定技能人材の採用は国内在留者を採るのか、海外から新たに呼び寄せるのかで、採用ルートや必要手続きが大きく変わります。戦略的な人材確保には、各ルートの特徴と手順を正しく把握することが重要です。
採用ルート
企業は主に二つの大きな獲得ルートを選べます。各ルートごとに、スピード・コスト・候補者の日本語能力や現場経験といった判断材料が異なります。
- 試験合格者ルート
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現地で建設分野の特定技能評価試験と日本語試験に合格した候補者を採用するルートです。来日前に技能・日本語の基準を満たしているため、入国後の即戦力化が比較的早いでしょう。
- 元技能実習生ルート
-
過去に日本で技能実習を修了し、帰国後に再度採用するケースです。送り出し機関や現地窓口を通じた調整が必要になります。
- 技能実習2号修了者からの移行
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日本国内に在留中の技能実習2号修了者が在留資格変更により特定技能へ移行する方法です。良好に修了している場合は、日本語試験や技能試験の免除が適用されることがありますが、免除の適用は実習の職種と従事予定業務の関連性により異なります。
- 在留中の試験合格者ルート
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国内在留の外国人(例:留学生や既存の就労者)が建設分野の特定技能評価試験に合格後、在留資格の変更を行って採用するルートです。
採用フロー
以下は、受入れ企業が実務で進める主な流れです。各ステップで必要な資料や実務上の注意点を併記しています。
必要となる職種を特定し(例:型枠施工、鉄筋施工、配管、内装仕上げ、施工管理など)、目標人数、受入時期、育成計画をあらかじめ設計する。
生活オリエンテーションや住居手配、通勤手段の準備を検討する。自社で実施困難な支援は登録支援機関へ委託することを想定してください。
- 海外採用:認定送り出し機関や現地試験合格者を通じて選定し、オンライン面接や現地面接を実施する。
- 国内採用:人材紹介会社、技能実習機関、専門学校等から候補者を募ることもできる。
- 面接では実務上の細かい勤務条件や安全教育の理解度を確認することが重要です。
- 雇用契約書(日本語+母国語での重要事項説明書)を作成し、候補者へ文書で説明・同意を得る。
- 在留資格申請に必要な書類(雇用契約書、受入計画書、CCUS登録情報、JAC加入証明、賃金台帳、ハローワーク求人票等)を揃える。
- 海外採用:まず在留資格認定証明書(COE)を申請・取得し、その後に査証(ビザ)申請・入国手続きへ進む。
- 国内採用:在留資格変更許可申請を行い、許可後に業務へ従事させる。
- CCUSへの技能者ID登録(海外来日者は原則短期間内に登録)。
- 受入報告の提出や、安全衛生教育、業務別オリエンテーションを実施する。
- 長期的な技能評価と昇給・キャリアアップ支援を運用する。
- 社内準備(書類・登録)〜JAC加入:0〜2か月。
- 候補者選定〜雇用契約:1〜2か月(海外は選考と試験日程に依存)。
- 受入計画申請〜計画認定:1〜2か月(状況により前後)。
- COE取得〜来日:1〜2か月(国・在外公館の処理状況に依存)。
合計で概ね3〜6か月を見込むのが実務上の目安です。余裕を持ったスケジュール設計を推奨します。
- スピード重視
- 国内在留者の移行ルートが早い傾向です。
- コスト重視
- 既に在留している人材を活用する方が渡航費用等を抑えられます。
- 即戦力重視
- 海外で評価試験合格者を選ぶと来日後すぐに実務に入れる可能性が高いです。
- 長期定着重視
- 技能実習からの移行者は日本での生活経験があるため定着率が高まる傾向があります。
参考:建設特定技能受入計画について | 建設産業 | 国土交通省 関東地方整備局


なぜフィリピン人?国民性から見えてくる建設業への適応性

日本の建設業界において、多くのフィリピン人材が活躍しています。フィリピン人材が日本の建設業界で特に高い評価を受ける背景には、彼らが持つ独特の国民性と文化的な強みが深く関わっています。
家族を支えるという意識の高さからくる勤勉さ
フィリピンでは、海外で働く労働者(OFW)が家族を経済的に支えるという文化が根付いています。この文化的背景は、特定技能外国人としての就労に対する高いモチベーションと、真摯で勤勉な働きぶりという形で現れるのです。
彼らは「一生懸命に仕事を覚えて役に立とう」という前のめりな姿勢を持つことが多く、現場に活力を与える存在として評価されています。
高いコミュニケーション能力
フィリピンでは複数言語を操るのが普通であるため、多言語の順応も得意とされています。実際に日本で働くフィリピン人も、日本語を習得するのが早い傾向にあるようです。
建設現場においてはやはり日本語が中心になるため、彼らの高い言語習得力とコミュニケーション力は即戦力人材として見た場合に大きなメリットとなるでしょう。ただし業務用語や現場特有の指示は別途教育が必要になります。
チームへの適応性
一般的に大家族で育つ文化的背景から、フィリピン人は家族志向と共同体性を重視します。目上の人への敬意や協調性が自然と身についているため、職場のチームワークにも寄与します。
また自分の我を強く主張するよりも指示に従って動く傾向があり、現場の指揮命令系統にフィットしやすいでしょう。とはいえ、指示と説明の丁寧さが欠けると誤解を生むため、マネジメント側のコミュニケーション設計は重要です。
日本文化への親近感
フィリピンでは日本への関心や親しみを持つ人も多いため、職場定着や日本での生活にも馴染みやすいようです。とはいえ、文化差異による小さな齟齬は起きるため、相互理解を深めるための研修や交流の場を設けると効果的です。
フィリピン人は家族を支える意識の高さによる勤勉さ、高いコミュニケーション能力、チームへの適応性、日本文化への親近感など、建設現場で即戦力として活躍できる特徴を持っています。
これらの特性を理解し、適切な研修や支援体制を整えることで、人手不足に悩む建設業者にとって安定的かつ効率的な人材確保につながるでしょう。
現場の声から学ぶ!フィリピン人採用のメリットと成功の教訓

では、ここからはより具体的に、実際に建設現場でフィリピン人材を採用している企業の事例から、フィリピン人材の強みと、採用を成功させるために学べる教訓を掘り下げていきましょう。
有限会社カミヤマの事例(鉄筋工事業)
埼玉県で鉄筋工事業を営む有限会社カミヤマ(従業員数6名)は、2014年からフィリピン人材の受入れを開始しました。現在は特定技能外国人2名を含む3名のフィリピン人が所属しています。
代表者によると、人手不足の解消以前から海外の優秀な人材に関心を持ち、受入れを決断したことが、結果的に優秀な人材との出会いにつながったとのことです。現場からは、「本当に優秀で努力家であり、日本の建設作業が厳しい中でもよくついてきてくれる」といった高い評価が寄せられています。
同社では彼らへの初期の生活支援として、社宅一軒家、生活用品一式、Wi-Fi環境、現場への送迎車を提供しており、生活環境の整備が定着に寄与しています。
給与体系についても、特定技能人材には月額約27万円を基本給とし、年に一度の昇給や職能手当、資格手当を設定することで、日本人と同等額以上の報酬を安定的に確保する方針を具体的に実行しています。
企業が学べる教訓
フィリピン人材の採用を成功させるためには、受入れ企業は以下の点を実施することが重要です。
- 生活環境の整備が定着に直結
- フィリピン人材の初期生活をサポートする社宅提供や生活用品の準備、現場送迎など、日常生活の不安を軽減する施策は、現場定着率を高める上で重要です。
- 安定した給与体系と公正な報酬の確保
- 月額基本給に加え、昇給制度や職能・資格手当を整備することで、日本人と同等額以上の報酬を保障。給与の透明性はモチベーション維持と適正就労の基盤となります。
- 現場での評価とフィードバックの重要性
- 現場から評価されていることを認識し、適切なフィードバックや感謝の意を示すことで、技能者の意欲をさらに高めることができます。
- 生活・業務サポートを総合的に提供
- Wi-Fi環境や送迎など業務以外の支援も含めて、生活・仕事双方のサポート体制を整えることが、高い定着率と安定的な技能確保につながるという教訓です。
カミヤマ社の事例からは、フィリピン人材の定着・活躍には、生活面と給与面の両方での安定的サポート、現場での適切な評価が不可欠であることが分かります。
これらを実践することで、人手不足の建設現場でも安心して外国人材を受け入れ、業務の効率化を図ることができます。
参考:日本に魅力を感じて働こうと来日する彼らの受け皿になりたい|受入企業の先進事例|建設技能人材機構【JAC】
フィリピン人材受入れに必要なDMWと送り出し機関

特定技能フィリピン人材の採用には、日本側の要件・手続きだけではなく、フィリピン政府側の組織(DMW/旧POEA)と、現地の送り出し機関についての理解が不可欠です。
DMWと送り出しルールの要点
フィリピンは国民の多くが海外で働いているという現状があり、労働者を保護するため、DMW(海外労働者省)という行政機関が海外への送出を厳格に管理・監督しています。そのDMWの窓口として各国に設置されているのが、MWO(移住労働者事務所)です。MWOは企業が作成した雇用契約や求人票がフィリピンの労働基準に合致しているかを認証(Verification)します。MWOの認証を経ることで、フィリピン政府から正式に採用計画が承認されます。
フィリピンではエージェントを介さない企業による直接雇用は原則禁止されており、DMW認定の送り出し機関を通じた手続きが必要となります。
そのため日本の企業がフィリピンから特定技能人材を直接雇用しようとする場合、まずはDMW認定の送り出し機関と人材募集・雇用に関する取り決めを締結し、その上でMWOへの申請手続きを行い、認証を得る必要があります。
またDMWは不当な手数料徴収を禁じる通達を出しており、紹介料や手数料の取り扱いには法的なルールが適用されます。とはいえ、実務上は運用に差が出ており、企業側が想定外の費用負担や説明不足に直面するケースが散見されます。企業側は契約時に費用負担の明細を契約書で明確化してください。
送り出し機関選定の重要性
フィリピン人採用における最大の実務リスクの一つは、送り出し機関の選択です。なぜなら、一部には不当な費用請求や書類偽造、質の低い日本語教育といった悪質な運営を行う機関が存在するからです。
そうした事案は、労働者本人に深刻な被害をもたらすだけでなく、受け入れ企業にも失踪・不法就労・労務トラブルといった重大な負担を引き起こします。
したがって、送り出し機関の選定は「人が来るかどうか」だけで判断してはいけません。倫理性・透明性・法令順守を含めた総合的な適性評価が不可欠です。
採用ステップ
DMWに認定された現地の送り出し機関を通じて契約を締結します。
送り出し機関を通じて、求人票(Job Order)および雇用契約案をMWOに提出し、フィリピン側の基準に沿うか確認を受けます。必要があれば契約内容の修正や追加書類の提出を求められます。
MWOの認証で必要条件が満たされたことを確認したうえで、候補者と正式な雇用契約を最終確定(署名)します。実務上はこの確定をもって日本側の在留手続きを進めるのが安全です。
日本側での在留資格申請に必要な書類を揃え、出入国在留管理庁に申請します。COE の有効期限に注意し、フィリピン側手続きを完了させた上で申請することが望ましいです。
OECはフィリピン出国時に提示が求められる証明書です。これを取得することで、合法的に出国・入国が可能となります。日本在住者でも、場合によっては OEC 取得が必要になることがあります。
日本在住のフィリピン人材を雇用する場合の注意点
すでに日本国内に在留しているフィリピン人材を特定技能として雇用する場合でも、フィリピン政府の規定に基づき、MWOによる認証手続きが原則として必要となります。
これは、たとえ日本国内で在留資格の変更を行うケースでも、フィリピン政府の視点からは「海外就労扱い」となるためです。MWOを通じた認証手続きとOECの取得を怠り、外国人が一時的にフィリピンへ帰国した場合、出国時にOECの提示を求められて提示できなければ、日本への再入国が不可能になるという深刻な事態が発生する可能性があります。
受入れ企業は、この重大なリスクを理解し、日本在住者であっても、DMW認定の人材紹介会社を経由した認証手続きを確実に行う必要があります。
参考:DMW

送り出しカフェの活用

DMWへの申請、送り出し機関の選定などの手続きが必要なフィリピン人材の採用を成功させるには、専門のサポート機関を利用するのが最も効率的かつ効果的です。
送り出しカフェは、フィリピン人労働者の採用を検討している日本企業を対象に、フィリピン現地の送り出し機関の紹介・仲介を行っています。
フィリピン政府のライセンスを持つ正規の送り出し機関と提携しており、年間2,000人を海外に送り出す実績を有するパートナーなど、実績豊富な機関と連携しているのが大きな特徴です。
送り出しカフェ活用のメリット
- 信頼性のある送り出し機関の紹介
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フィリピン政府公認のライセンスを持つ送り出し機関と提携しているため、違法・不透明な業者を避けられる。
- 人材の母集団が大きい
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提携大学・職業訓練校から約7,000人規模の候補者がいるため、必要な職種に合った人材を探しやすい。
- 特定技能16分野に対応
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介護・外食・建設など幅広い業種の求人に対応できる。
- 安心の日本語対応
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日本人スタッフが窓口となるため、言語や文化の違いによる誤解・トラブルを減らせる。
- 採用から入国後までワンストップ支援
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求人票作成、面接調整、ビザ・MWO申請、入国後の定着支援までトータルサポート。
- 手続きの負担軽減
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フィリピン側で必要な複雑な申請書類や手続きを代行・支援してくれる。
- 日本語教育サポート
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採用前から就労後まで継続的に日本語教育を行う体制があり、現場でのミスや離職リスクを軽減できる。
- 費用や採用リスクの低減
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信頼性の低い送り出し機関を選んで失敗するリスクを減らし、スムーズな採用につながる。
送り出しカフェを活用することによって、DMWのルール確認、信頼できる送り出し機関の選定、明確な契約とスケジュール管理などを円滑に行うことができるでしょう。
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まとめ:建設業における特定技能フィリピン人採用を成功させるために

建設業界の深刻な人手不足解消のため、特定技能制度を通じたフィリピン人材の採用は、貴社の未来を支える戦略的な一手となるでしょう。
優秀なフィリピン人材を安定的に受け入れるには、制度の全体像を深く理解し、現地の送り出し機関や日本国内の登録支援機関と良好な関係を築き、適正な運用を継続的に行う必要があるのです。そのため、採用を成功させるためには、専門機関によるサポートが不可欠と言ってもいいでしょう。
私たち送り出しカフェは、信頼できる送り出し機関の紹介からビザ申請・入国手続き、日本語教育に至るまで、企業向けに一貫したサポートを提供しています。
フィリピン人材の採用を検討しているのであれば、まずは一度、お気軽にお問い合わせください。
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