航空業界の人手不足を解消する!特定技能フィリピン人採用ガイド

特定技能 航空

日本の航空業界は、コロナ禍からの急速な回復とそれに伴う旅客需要の増加に伴い、慢性的な人手不足という深刻な課題に直面しています。特に、空港の安全運航を支える地上支援業務(グランドハンドリング)や、厳格な安全基準が求められる航空機整備の分野で、即戦力となる専門人材の確保が急務です。

この構造的な課題に対し、日本政府が創設した特定技能制度は、質の高い外国人材を恒常的に受け入れるための強力な解決策として注目されています。

本記事では、フィリピン人採用を検討している航空関連企業の担当者様向けに、特定技能「航空」分野の制度概要、具体的な業務内容、そして法令遵守のために受け入れ企業が満たすべき要件を詳細に解説します

特定技能制度を単なる労働力補充ではなく、安全管理と技術水準を維持・向上させるための戦略的な事業投資として位置づけることが、今後の航空業界の発展に不可欠であると考えられます。

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目次

特定技能「航空」分野の概要

空港でボーディングブリッジに接続された旅客機の上空写真。航空機整備や地上支援業務、空港運営の記事に最適な画像。

日本の特定技能制度は、国内で人材確保が難しい分野に対し、即戦力となる外国人を受け入れるため、2019年4月に開始されました。

従来の技能実習制度が技術移転を主目的とするのに対し、特定技能は企業が外国人を労働力として主体的に雇用し、生産性向上と人材確保を図る制度です

高い技術水準と法令遵守が求められる航空分野

安全が最優先となる航空分野では、運用にあたってより厳格な技術要件と法令遵守が求められます。

特定技能の在留資格のうち、航空分野は他の分野と比較して、受け入れ企業側に求められる技術的要件と法令遵守(コンプライアンス)のハードルが高い点が特徴です。例えば、航空機整備業務を行う企業は、航空法に基づき国土交通省の大臣の認定を受けた整備事業場を有するか、またはそうした事業者から業務の委託を受けている事業者である必要があります。

これは、特定技能外国人材の雇用が、単に人材確保の問題ではなく、航空の安全管理体制と直結する事業リスク管理の一環であることを示唆しています。

受け入れ企業の採用担当者は、外国人を受け入れる際に、出入国在留管理庁(ISA)の在留資格要件だけでなく、国土交通省が所管する航空法関係の技術要件と指導内容を確認し、経営層や現場の安全管理部門と協力しながら計画を策定する必要があります。

特定技能1号と2号の違い

航空分野は2023年6月の閣議決定により、特定技能2号の対象となりました。1号と2号では、要件や在留条件などに違いがあります。

項目特定技能1号特定技能2号
想定技能水準相当程度の技能・経験熟練した技能
在留期間通算5年が上限上限なし(更新可能)
家族帯同原則不可一定要件で可能
支援計画作成・実施が必須作成義務なし(運用上の違いあり)
永住との関係直接の永住資格ではない長期居住可能だが、永住は別審査

特定技能1号は在留期間が通算5年に限定され、基本的に家族の帯同は認められていません。しかし、2号へ移行すると、在留期間の上限がなくなり、要件を満たすことで配偶者と子を日本に呼び寄せることも可能となります。

この家族帯同の可否は、外国人材が日本での生活に安心感を持ち、長期的なキャリアを描く上で非常に大きな要素となるでしょう。優秀な人材の定着を促進する上で重要なポイントとなります。

そのため企業は、1号で採用した人材に対し、2号への移行を見据えた計画的な技術指導とキャリアパスを提供することで、優秀な人材を長期にわたり確保し、人手不足の解消と技術の社内継承を同時に実現することが可能となります

ただし当記事では主に、特定技能1号の外国人材を採用するための方法について解説していきます。

参考:特定技能制度 | 出入国在留管理庁

航空分野の特定技能1号・区分のよる業務内容

航空機整備士が格納庫内で機体の点検作業を行う様子。特定技能フィリピン人採用や航空業界の整備業務紹介に最適な画像。

航空分野の特定技能では、「航空機整備」と「空港グランドハンドリング」の二つの業務区分が対象であり、1外国人材(1号)はそれぞれの業務区分ごとに従事します

分野区分対象業務の概要典型的な関連作業
航空機整備航空機の機体・装備品の整備業務機体整備
装備品点検・修理
表面処理
技術評価
空港グランドハンドリング地上走行支援
手荷物・貨物取扱
搭降載取扱
航空機誘導(マーシャリング)
手荷物仕分け
貨物積付け、清掃

航空機整備業務の内容

航空機整備業務は、特定技能1号の中でも特に高度な技術が求められる業務です。航空機の機体や装備品の整備、点検、修理、表面処理などを行い、安全運航を支える役割を担います

外国人材は、日本人指導者やチームリーダーの指示に従い、必要に応じて自ら判断しながら作業を行うことが求められます。受け入れ企業は、技術指導計画を作成し、定期的に技能の習熟度を確認する体制を整えてください。

機体整備航空機の構造部や装備品の点検・修理・調整を行います。
安全性を確保するため、航空法に基づく基準や手順に沿った作業が必要です。
装備品点検・修理計器、油圧・電気装置、エンジン関連部品などを検査し、必要に応じて修理・交換を行います。
正確性と慎重さが求められます。
表面処理・保守作業外板や塗装面の補修、腐食防止処理などを実施します。
作業は専門装備と手順に基づき、安全に実施される必要があります。
技術評価・記録作業作業内容の記録や点検結果の報告、整備記録の管理を行います。
品質管理や法令遵守に直結する重要な業務です。

空港グランドハンドリング業務の内容

グランドハンドリング業務はランプエリアでの安全かつ定時運航を支える業務群です。具体的には航空機の誘導や移動補助(マーシャリング、トーイング等)、手荷物や貨物の仕分け・積付け・搭降載、機体周辺の清掃などを含みます。これらは専用装備と手順に基づく作業であり、機体や設備を損傷させない慎重さが必要です。

空港での作業は、社内資格を持つ指導者やチームリーダーの監督下で実施されることが想定されています。受け入れ企業は、現場リスクを低減するための教育計画や作業手順書(SOP)を用意し、定期的に運用状況を確認してください。

航空機地上走行支援業務航空機が駐機場へ向かう際の誘導(マーシャリング)や、駐機場内でのトーイング(移動)等の作業を行う必要があります。
これらの作業には高度な技術と、機体や設備を破損させない慎重さが求められます。
手荷物・貨物取扱業務旅客の手荷物や貨物(貨物)を、空港内の施設で仕分けし、ULD(ユニットロードデバイス)等に積み付ける、または航空機から取り降ろして解体する作業です。
正確かつ迅速な作業能力が求められます。
手荷物・貨物の搭降載取扱業務仕分けされた手荷物や貨物を航空機の機体(ベリー)まで移送し、実際に積み降ろす作業です。
専用の装備や技術を利用して行う作業であり、これに係る清掃等の関連作業も業務内容に含まれます。

参考:特定技能1号の各分野の仕事内容(Job Description) | 出入国在留管理庁

受け入れ側企業が満たすべき要件

給与明細と封筒、ボールペンが机の上に置かれている写真。給与管理や外国人材の雇用手続き、労務関連の記事に適した画像。

航空分野で特定技能外国人を受け入れる事業者(受け入れ機関)は、出入国在留管理庁(ISA)および国土交通省が定める要件を満たす必要があります。

これらの遵守は在留資格の審査に直接影響するだけでなく、事業者としての信頼性や現場の安全管理にも直結します。以下を実務チェックリストとして整理してください。

報酬に関する要件

特定技能外国人を受け入れる際、報酬は日本人従業員と同等以上であることが原則です

この原則は、外国人労働者の生活安定を確保し、不当な低賃金雇用を防ぐことで、制度全体の公平性を担保するために定められています。

また、雇用契約の適正性を示すことで、企業の社会的信頼性や申請の審査通過に直結します。

比較対象外国人が従事する業務と同等の職務に従事する日本人の賃金や手当を基準とします。
提出資料在留資格申請時には、雇用契約書、賃金台帳、給与明細などを用いて、報酬が同等以上であることを証明する必要があります。
報酬に関する説明書出入国在留管理庁所定の様式に基づき、賃金体系や各種手当の扱いなどを明示します。
これにより、審査官に制度の公平性や生活安定への配慮を示すことができます。

事業者としての適格性・コンプライアンス

特定技能外国人を受け入れる企業は、過去5年以内に出入国管理法や労働関係法令に違反していないことが必要です。企業の内部管理体制の健全性や法令遵守能力を示す基礎条件となります。

管理体制外国人材の指導・管理について、計画を策定し、日本人管理者と同等以上のサポート体制を整備する必要があります。
直接雇用特定技能外国人は直接雇用が原則となります。

支援体制と支援計画

特定技能1号の採用に当たっては、ISAが定める支援項目に基づく支援計画の作成・実施が義務づけられています

支援10項目
1. 事前ガイダンス日本での就労や生活に関する基本的な情報提供
2. 出入国時の送迎入国時の空港からの移動や帰国時の送迎
3. 住居確保・生活に必要な契約支援住居の手配や生活に必要な契約手続きの支援
4. 生活オリエンテーション日本での生活ルールやマナー、緊急時の対応方法などの情報提供
5. 公的手続等への同行役所での手続きや各種申請への同行支援
6. 日本語学習の機会の提供業務に必要な日本語の学習機会の提供
7. 相談・苦情への対応問題や不安に対する相談窓口の設置と対応
8. 日本人との交流促進日本人社員との交流の場を提供し、文化理解を促進
9. 転職支援(人員整理等の場合)人員整理などの場合の転職先の紹介や支援
10. 定期的な面談・行政機関への通報定期的な面談を通じて状況確認と必要な通報の実施

上記10項目の支援内容を、登録支援機関に委託することも可能です。しかし所属機関としての管理責任は残る点には留意してください。

協議会加入・行政への協力

航空分野の受け入れ企業は、航空分野特定技能協議会への加入が義務付けられています。協議会では、特定技能外国人の受け入れ状況や就労環境の適正性を確認する会合や調査が行われます

企業は、国土交通省による調査や指導に必要な協力を行い、航空機整備やグランドハンドリングに関わる安全管理体制を適正に維持する必要があります。

書類・証明の準備(申請時チェックリスト)

在留資格認定申請や届出で典型的に求められる書類の例を一覧で示します。事前にテンプレートと証跡を整備してください。

雇用契約書職務内容・労働条件を明記
賃金台帳または給与明細賃金の実例
報酬に関する説明書ISA所定様式の有無を確認
支援計画10項目に沿った内容と実施手順
事業所の認定証明構内営業承認・認定事業場等、該当する場合
登録支援機関との委託契約支援を委託する場合
過去の法令違反に関する説明書必要時

受け入れ後の業務運用では、現場管理の徹底が求められます。社内資格を持つ指導者やチームリーダーによる監督体制を整え、教育計画や作業手順書(SOP)の運用状況を定期的に確認することが重要です

また、外国人が安全かつ効率的に業務を行えるよう、指導やフォローアップを継続的に実施する必要があります。

参考:特定技能外国人を受け入れる際のポイント|出入国在留管理庁

外国人材が満たすべき要件

赤い背景の前で青い本を持ち、読書する若者。学習支援や日本語教育、特定技能試験対策の記事に適したイメージ。

外国人が特定技能1号の在留資格を取得するためには、主に技術水準と日本語能力で求められるレベルであることを証明する必要があります。

特定技能評価試験

航空分野の特定技能評価試験は、「空港グランドハンドリング」と「航空機整備」の2種類で実施されます。どちらの分野も、技術技能の評価を行う学科試験(1時間)と実技試験(30分)が必要です。

試験構成学科(筆記)と実技(実務的な判断・操作)で構成されます。
学科は選択式や○×形式で出題されることがあり、実技は写真・図面・模擬操作などを用いることが一般的です。
※JAEAや国交省の区分別案内でサンプルを確認してください。
合格基準運用上は学科・実技それぞれに基準(例として65%)を設ける回が多く報告されていますが、区分や試験回によって異なります。
合否判定基準は最新の公表資料を必ず確認してください。
実施主体と会場日本航空技術協会(JAEA)等が試験を実施します。
国内だけでなくフィリピンなど海外会場での開催実績もあるため、採用計画には「直近のJAEA公表スケジュール」を組み込んでください。

参考:試験関係 | 出入国在留管理庁

日本語能力要件

航空分野の特定技能1号では、日本語能力試験(JLPT)N4相当、または国際交流基金のJFT-BasicでA2相当以上の合格が要件となります。これは、業務指示や安全上の指示を理解するために必要な最低ラインです。

そのため、企業には採用時に対象者が単に日本語テストをクリアしていることで良しとするのではなく、実際の日本語能力の確認、入社後の継続的な日本語学習をサポートすることが求められます。

参考:
日本語能力試験 JLPT
JFT-Basic 国際交流基金日本語基礎テスト

フィリピンにおける試験実施と戦略的優位性

特定技能人材の確保を計画する際、送り出し国の試験実施体制は極めて重要な情報となります。フィリピンは、特定技能在留外国人の総数において、ベトナム、インドネシアに次ぐ第3位を占める主要な送り出し国であり、その比率は10.1%に上ります(2024年12月末時点)。

さらに、日本航空技術協会(JAEA)等により、フィリピン国内(マニラ、ダバオ等)で航空機整備やグランドハンドリングの特定技能評価試験が定期的にかつ計画的に開催されています。この継続的な実施情報は、フィリピンが日本への航空分野人材の安定的な供給源として、行政的にも強力にサポートされている証拠です。

企業が即戦力の外国人材を確保する際、技術レベルが評価され、かつ日本語能力を満たす者が継続的に市場に供給されているフィリピンは、最も信頼性の高い採用チャネルの一つとして位置づけることが可能です

参考:特定技能制度運用状況 |出入国在留管理庁

特定技能人材採用へのステップと注意点

面接室のドアに「JOB INTERVIEW」の案内が貼られた写真。採用面接や外国人材の採用プロセス解説に適した画像。

特定技能外国人人材の採用は、通常の日本人採用とは異なり、在留資格申請や支援計画の作成など、法令に基づく複雑な手続きが伴います。

企業の採用担当者は、在留関係の要件と航空分野固有の技術・安全要件の双方を押さえたうえで、計画的に進める必要があります。

在留申請から雇用開始までの流れ

特定技能外国人を受け入れるまでの主なステップは、以下の通りです。

STEP
採用計画の策定

自社の人手不足の状況を評価し、必要な業務分野(整備かグランドハンドリングか)と人数を決定します。

STEP
人材の選定と雇用契約の締結

試験合格者に対して日本人と同等以上の待遇を明記した雇用契約の作成・締結を行います。

STEP
支援計画の作成

外国人が日本での生活や業務に集中できるよう、生活オリエンテーション等を含む支援計画を作成します。自社内での実施が困難な際は、登録支援機関に委託することが可能です。

STEP
特定技能協議会への加入

国土交通省が開催する航空分野特定技能協議会へ加入します。

STEP
在留資格認定申請

締結した雇用契約、作成した支援計画、企業の良好な条件を証明する資料を添えて、出入国在留管理庁に在留資格認定申請を行う必要があります。

STEP
在留資格取得と雇用開始

申請が許可され、外国人が在留資格を取得した後、業務を開始できます。

長期定着に向けた技術指導とキャリア支援

特定技能人材の受入れは、単なる労働力確保ではなく、長期的な人材育成・戦力化の取り組みとして位置づけることが重要です

特に航空分野では安全性・精度が求められるため、以下のポイントを意識してください。

日本語教育の継続支援

特定技能1号の日本語基準は「JLPT N4」または「JFT-Basic A2」相当ですが、航空整備や地上支援業務では、専門語彙や安全指示の理解が不可欠です。
OJT中も、専門用語や作業マニュアルの多言語対応を進め、理解度を定期的に確認する体制を整えましょう。

OJTと評価制度の整備

指導者資格を有する社員が段階的に教育を行い、習熟度を可視化する評価制度を導入します。定期面談や技術評価の結果を蓄積していくことで、教育の質を均一化し、技能向上を促進できます。

キャリアパスの明確化

航空機整備分野では、特定技能2号への移行が可能です。2号資格を取得すると在留期間の上限がなくなり、より高度な業務に従事できます。企業は「2号取得支援」や「キャリアアップ教育」を明示することで、モチベーション維持と定着率向上を図ることができます。

実務担当者が注意すべき法令・手続きポイント

  • 報酬は日本人と同等以上であることが必須。契約書や給与台帳で証明できる状態にする。
  • 所属機関は過去5年以内に重大な法令違反(入管法・労基法など)がないことが望ましい。
  • 保証金徴収・違約金設定は禁止。支援費用の負担範囲を明確にする。
  • 登録支援機関との契約では、支援項目の分担・報告体制を明示する。

よくある課題と対応策

書類不備による申請差戻し

→ 提出前にチェックリストを活用し、雇用契約書・賃金台帳・支援計画の整合性を確認。

日本語指導のみで安全指示が伝わらない

→ 多言語マニュアルや図解資料の導入で理解度を補完する。

登録支援機関との責任範囲の曖昧化

→ 委託契約書に支援範囲と報告サイクルを明示する。

特定技能外国人の採用は、在留・労務の両面で高度な管理を要しますが、特に航空業界では、安全性と技能伝承を両立させる体制づくりが求められます

手続きは法令や省庁通知の更新が頻繁なため、申請前には出入国在留管理庁および国土交通省の最新情報を確認してください。

必要に応じて、専門家(行政書士や登録支援機関)と連携することでリスクを最小限に抑えられます。

参考:航空分野における新たな外国人材の受入れ|国土交通省

戦略的労働力としてのフィリピン:採用優位性の分析

屋外で笑顔のフィリピン人家族が寄り添う写真。

航空・整備などの高度な専門業務において、戦略的な労働力の確保は企業競争力に直結します。

ここでは特にフィリピン人材の特徴に焦点を当て、教育水準や語学力、文化的特性を踏まえた採用戦略のヒントを提供します。

フィリピン人の教育水準と英語能力

フィリピン政府はSTEM(科学・技術・工学・数学)分野の強化を政策の柱に据え、理工系人材の育成を進めています。これにより基礎的な技術教育を受けた人材が多数輩出されています。

フィリピンでは英語が公用語の一つとして用いられており、教育・行政・高等教育で英語が広く使われています。そのため、英語での技術ドキュメントや国際的なやり取りをスムーズにこなせる候補者が相対的に多いです。国際サプライチェーンや多国籍チームとの連携で、コミュニケーション負荷を下げられます。

海外就労への強い意識

フィリピンは、国の政策として海外就労を強く推奨しています。海外で働く労働者は「OFW(Overseas Filipino Workers)」として尊敬の対象ともなっています。

実際に海外で働いて家族や親族を養っているフィリピン人も多く、海外就労への強い意識が職務意欲と責任感をもって業務に取り組むことに繋がっています。

日本文化への親和性と職業倫理

フィリピンの文化は家族志向と共同体性を重視します。これが職場での協調行動やホスピタリティ精神に反映されることが多く、日本企業のチームワーク文化と相性が良いケースが多いです。

また日本文化に親しみを感じているフィリピン人も多く、日本での生活にも比較的なじみやすい傾向が見られます。

航空分野の訓練環境と試験実施の実態

フィリピンには航空整備教育やAMT(Aircraft Maintenance Technician)コースを提供する教育機関があり、実務教育の受け皿が存在します。

加えて、日本の特定技能評価試験もフィリピンで開催される実績があり、現地で受験→採用というフローが現実的です。これにより採用パイプラインを現地で構築できます。

このように、フィリピン人材は教育基盤・英語力・海外就労経験・文化的親和性という複数の利点を持ち、航空分野で戦略的な労働力となり得ます

現場の声から学ぶ!航空分野で特定技能フィリピン人材を採用するメリット

空港の駐機場で航空機の地上支援作業を行うスタッフ。航空機地上走行支援や特定技能人材の業務紹介に適した画像。

航空業界における人材不足が深刻化する中、特定技能制度を活用したフィリピン人材の受け入れが注目されています。

そうした中、共同でフィリピン人採用のためのプログラムを立ち上げた、JALエンジニアリング(JALEC)とANAベースメンテナンステクニクス(ANABTC)の取り組みから、航空業界でフィリピン人材を採用するメリットについて考えてみましょう。

株式会社JALエンジニアリングとANAベースメンテナンステクニクスの事例

JALECとANABTCの両社は、「ONODERA USER RUNフィリピンアカデミー(OUR)」と連携し、航空分野の特定技能試験合格を目指す育成プログラムを共同で構築しました。

カリキュラムは両社の現場専門家が監修し、実技に加えて航空専門用語の習得を重視する内容になっています。加えて、日本語教育の学習期間を通常より2か月延長し、初期到達目標を日本語能力試験N3レベルに設定しました。

結果として、OURアカデミーから合格者10名が輩出され、JALECおよびANABTCへの採用内定がきまりました。

事前に専門教育を受けた人材は、採用後すぐに複雑な整備作業に取り組むことができ、OJT期間を大幅に短縮できました。

また、日本語教育を十分に受けたことで、作業マニュアルや安全指示の理解がスムーズになり、現場の安全管理や効率向上に直結しています。

特に、フィリピン人スタッフはチームでの協力作業や顧客対応においても、協調性やホスピタリティ精神が高く評価されています。

現場監督者は、これまで経験の少なかった外国人材が、専門知識を着実に身につけつつ、日本人スタッフと同等の安全意識で作業できることに驚きを示しています。

企業が学べる教訓

この事例からは、採用企業が教育段階から関与することで、来日後の立ち上がりを速められることが示されています。

具体的には、現場要件を事前教育に反映できるためOJT期間が短縮され、専門語彙や作業手順の理解度が高い人材を効率的に確保できる点がメリットです

また、日本語教育への追加投資により、安全指示や技術文書の理解が向上し、初期の品質ばらつきを抑える効果も期待できます。

フィリピン人材の優位性

フィリピンは若年層が多く、教育制度の充実も伴って、日本の航空産業で就労できる優秀な人材を見出すことができる。また勤勉性や家族への責任感の強さから、指導中の集中力や業務への真剣度が高く、作業の正確性にも好影響を与えている。

現地機関の活用

現地機関の協力を仰ぐことで、スムーズな採用が見込まれる。

日本語教育への戦略的投資

複雑な業務内容に対応するため、最低限のN4レベルでは不十分であり、学習期間を延長して日本語能力試験N3レベルを初期到達目標とすることで、安全装置としての役割を果たす日本語能力を確保できる。

これらの教訓は、航空業界におけるフィリピン人材の採用を成功させるための重要な指針となります。

参考:OUR初の特定技能人材「航空分野・航空機整備」10名 航空機整備大手2社に内定 年内、羽田で就業開始予定 | 株式会社ONODERA USER RUNのプレスリリース

フィリピン人材受入れに必要なDMWと送り出し機関

夕暮れのリサール公園と噴水、掲げられたフィリピン国旗の写真。フィリピン人材や海外採用、文化紹介の記事に最適な画像。

特定技能フィリピン人材の採用には、日本側の要件・手続きだけではなく、フィリピン政府側の組織(DMW/旧POEA)と、現地の送り出し機関についての理解が不可欠です。

DMWと送り出しルールの要点

フィリピンは国民の多くが海外で働いているという現状があり、労働者を保護するため、DMW(海外労働者省)という行政機関が海外への送出を厳格に管理・監督しています。

例えば、フィリピンではエージェントを介さない企業による直接雇用は原則禁止されており、DMW認定の送り出し機関を通じた手続きが必要となります。

そのため日本の企業がフィリピンから特定技能人材を直接雇用しようとする場合、まずはDMW認定の送り出し機関と人材募集・雇用に関する取り決めを締結し、その上でMWOへの申請手続きを行い、認証を得る必要があります

またDMWは不当な手数料徴収を禁じる通達を出しており、紹介料や手数料の取り扱いには法的なルールが適用されます。とはいえ、実務上は運用に差が出ており、企業側が想定外の費用負担や説明不足に直面するケースが散見されます。

送り出し機関選定の重要性

フィリピン人採用における最大の実務リスクの一つは、送り出し機関の選択です。なぜなら、一部には不当な費用請求や書類偽造、質の低い日本語教育といった悪質な運営を行う機関が存在するからです。

そうした事案は、労働者本人に深刻な被害をもたらすだけでなく、受け入れ企業にも失踪・不法就労・労務トラブルといった重大な負担を引き起こします。

したがって、送り出し機関の選定は「人が来るかどうか」だけで判断してはいけません。倫理性・透明性・法令順守を含めた総合的な適性評価が不可欠です

参考:DMW

送り出しカフェの活用

送り出しカフェのロゴ

DMWへの申請、送り出し機関の選定などの手続きが必要なフィリピン人材の採用を成功させるには、専門のサポート機関を利用するのが最も効率的かつ効果的です。

送り出しカフェは、フィリピン人労働者の採用を検討している日本企業を対象に、フィリピン現地の送り出し機関の紹介・仲介を行っています。

フィリピン政府のライセンスを持つ正規の送り出し機関と提携しており、年間2,000人を海外に送り出す実績を有するパートナーなど、実績豊富な機関と連携しているのが大きな特徴です

送り出しカフェ活用のメリット
信頼性のある送り出し機関の紹介

フィリピン政府公認のライセンスを持つ送り出し機関と提携しているため、違法・不透明な業者を避けられる。

人材の母集団が大きい

提携大学・職業訓練校から約7,000人規模の候補者がいるため、必要な職種に合った人材を探しやすい。

特定技能16分野に対応

介護・外食・建設など幅広い業種の求人に対応できる。

安心の日本語対応

日本人スタッフが窓口となるため、言語や文化の違いによる誤解・トラブルを減らせる。

採用から入国後までワンストップ支援

求人票作成、面接調整、ビザ・MWO申請、入国後の定着支援までトータルサポート。

手続きの負担軽減

フィリピン側で必要な複雑な申請書類や手続きを代行・支援してくれる。

日本語教育サポート

採用前から就労後まで継続的に日本語教育を行う体制があり、現場でのミスや離職リスクを軽減できる。

費用や採用リスクの低減

信頼性の低い送り出し機関を選んで失敗するリスクを減らし、スムーズな採用につながる。

送り出しカフェを活用することによって、DMWのルール確認、信頼できる送り出し機関の選定、明確な契約とスケジュール管理などを円滑に行うことができるでしょう。

\ これまでの実績はこちら /

まとめ:航空業界の未来を支える特定技能人材の確保と成功の鍵

夕暮れの空港に着陸する旅客機の写真。航空業界の人材不足対策、特定技能採用、整備・運航支援の記事に最適な画像。

航空業界が直面するグローバルな人手不足という課題に対し、特定技能制度は、即戦力人材を確保し、事業継続性を担保するための最も有効かつ戦略的な手段の一つです。

特定技能人材の受入れは、航空の安全管理体制を強化し、技術水準を維持・向上させるための戦略的な一歩です。この制度を最大限に活用し、日本の航空業界の未来を支える技術人材の確保に、経営的な視点から取り組むことが今、強く求められています。

特にフィリピンは、特定技能外国人の主要な送り出し国として、航空機整備やグランドハンドリングの評価試験が現地で定期的に実施されており、企業が即戦力を計画的に採用する上で高い優位性を提供します。

とはいえ、フィリピン人材を採用するには日本側での手続きに加え、フィリピンにおけるDMWや送り出し機関への理解も不可欠です。そのため、採用を成功させるためには、専門機関によるサポートが不可欠と言ってもいいでしょう。

私たち送り出しカフェは、信頼できる送り出し機関の紹介からビザ申請・入国手続き、日本語教育に至るまで、企業向けに一貫したサポートを提供しています

フィリピン人材の採用を検討しているのであれば、まずは一度、お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

三木 雅史(Masafumi Miki) 株式会社E-MAN会長
1973年兵庫県生まれ / 慶応義塾大学法学部法学科卒
・25歳で起業 / デジタルガレージ / 電通の孫請でシステム開発
・web通販事業を手掛ける
・2006年にオンライン英会話を日本で初めて事業化
・2019年外国人の日本語教育を簡単、安価にするため
 日本語eラーニングシステムを開発、1万人超の外国人が日々学習中

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