日本企業における人材不足が深刻化する中、外国人の新卒採用に注目が集まっています。特に留学生を対象とした採用活動は、優秀なグローバル人材を確保する重要な手段となっており、多くの株式会社や法人が実際に積極的に取り組み始めました。しかし、就労ビザとも呼ばれる在留資格の手続きや採用プロセスの違いなど、日本人学生の採用とは異なる知識が必要となります。
本記事では、外国人雇用を検討している企業の人事担当者様向けに、新卒外国人採用の基礎知識から実践的なポイントまで体系的に紹介し、課題解決の案内をしていきます。
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新卒外国人採用とは

新卒外国人採用は、日本の大学や専門学校を卒業予定の外国人留学生、または海外の大学を卒業する外国人学生を正社員として募集し、採用することを指します。2024年5月1日現在、日本には33万人以上の外国人留学生が在籍しており、その卒業後の進路として国内企業への就職が有力な選択肢となっています。 企業にとっては、語学力や国際的な視点を持ち、グローバルな感覚に優れた人材を確保できる貴重な機会となっており、特にIT業界や製造業、工場での仕事での採用が活発化している状況です。最新のデータによると、第二新卒の外国人採用も増加傾向にあります。
参考:独立行政法人日本学生支援機構(JASSO) 2024(令和6)年度外国人留学生在籍状況調査結果
新卒外国人採用の定義と対象
新卒外国人採用の対象者は、主に以下の3つのカテゴリーに分類されます。
| 対象者カテゴリー | 詳細内容 | 在留資格 |
|---|---|---|
| 日本の大学・大学院の留学生 | 4年制大学や大学院に在籍する外国人学生 (学歴不問の場合もあり) | 留学 |
| 専門学校の留学生 | 専門的な技術や知識を学ぶ外国人学生 | 留学 |
| 海外大学の卒業予定者 | 母国または第三国の大学を卒業する外国人 (インターンシップ経験者含む) | 短期滞在等 |
採用後は「技術・人文知識・国際業務」などの就労可能な在留資格への変更が必要となります。各種手続きについては、運営会社や専門機関への相談が推奨されます。
日本における外国人採用の現状
日本で就職する外国人留学生の数は年々増加しており、2024年には約4万人が日本企業に就職しました。
| 項目 | 数値・状況 | 備考 |
|---|---|---|
| 留学生の就職率 | 約38% | 日本での就職を希望する留学生の割合は約91% |
| 主な就職先業種 | 製造業 小売業 情報通信業 | 製造業全体13.6% 小売業10.2% 情報通信業9.3% |
| 採用企業の規模 | 大企業約17% 中小企業約83% | 中小企業での採用ニーズが高い |
| 平均初任給 | 月給20-25万円が中心 | 日本人新卒とほぼ同水準(経験により上乗せも) |
政府は2023年3月に「留学生30万人計画」の後継として、2033年までに外国人留学生40万人受入れを目標とする新たな施策を発表しました。これは教育未来創造会議で岸田首相により正式に表明された方針です。
企業は求人検索サイトに掲載する際、外国人応募OKと明記することが重要です。特に中小企業での採用ニーズが高く、全体の8割以上を占めています。
参考:
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO) 2023年度外国人留学生進路状況調査結果
株式会社キャリタス 外国人留学生の就職活動状況に関する調査(2024年)
出入国在留管理庁 令和6年における留学生の日本企業等への就職状況について
日本経済新聞 「留学生受け入れ40万人、海外派遣50万人 政府33年目標」(2023年3月17日)
新卒採用における外国人の位置づけ
外国人の新卒採用は、企業の多様性推進や海外展開の観点から重要な位置を占めています。
- グローバル事業の推進担当
- 海外取引先との架け橋
- 社内の国際化推進スタッフ
- 新規海外市場の開拓
- 多言語対応業務の中心(中国語、他言語対応)
- システム設計・開発プロジェクトへの参画
採用する企業側も、外国人社員の受入れ体制整備や研修制度の充実を図っています。特に日本語教育支援や生活サポートなど、長期的な定着を見据えた取り組みが重要視されるようになりました。

留学生採用の仕組みと特徴

留学生採用は、一般的な新卒採用とは異なる独自のプロセスと特徴を持っています。企業は留学生の在学状況や卒業時期、日本語能力などのスキルを考慮しながら、計画的な採用活動の展開が重要です。内定後から入社までの期間におけるビザ(在留資格)の変更手続きや、入社後の定着支援まで、包括的な対応が求められます。これらの仕組みを理解することで、効果的な留学生採用が可能となります。
留学生採用のプロセス
留学生採用の基本的なプロセスは以下の流れで進行します。
- 採用計画の策定(前年10月)
- 会社説明会の実施(12月-2月)
- 採用サイトへの登録・エントリー受付開始(3月)
- 書類選考・筆記試験(4月-5月)
- 面接選考(5月-6月)
- 内定通知(6月-7月)
- 在留資格変更手続き(10月-12月)
- 入社前研修(1月-3月)
特に重要なのは、在留資格の変更申請に2ヶ月から3ヶ月程度かかるため、早めの内定出しと手続き開始が必要な点です。100名規模の大量採用を行う企業では、より早期の準備が必要となります。
留学生の在学状況と採用時期
留学生の在学状況は多様であり、採用時期の柔軟な対応が求められます。
| 在学状況 | 卒業時期 | 採用時期の特徴 |
|---|---|---|
| 学部4年生(4月入学) | 3月卒業 | 日本人学生と同じ4月入社が一般的 |
| 学部4年生(9月入学) | 8月卒業 | 10月入社または翌年4月入社を選択 |
| 大学院修士2年 | 3月または9月卒業 | 研究の進捗により卒業時期が変動 |
| 研究生・聴講生 | 不定期 | 個別対応が必要 |
企業側は通年採用や秋採用の導入により、多様な卒業時期に対応する体制を整備することが重要です。採用管理システムにログインして応募状況を確認することも必見となっています。
留学生採用のメリットと注意点
留学生採用には多くのメリットがある一方、注意すべき点も存在します。
| メリット | 注意点 |
|---|---|
| 高い語学能力(母国語+日本語+英語) | 日本語レベルの個人差が大きい |
| 異文化理解力と適応力 | ビジネス日本語の追加教育が必要 |
| グローバルな人脈とネットワーク | 在留資格の管理と更新手続き |
| 新しい視点と提案アイデアの提供 | 文化的な違いへの配慮 |
| 海外展開時の即戦力(日本でのアルバイト経験者も多い) | 配偶者や家族の呼び寄せなど生活支援(補助制度の活用) |
採用後は定期的な面談を実施し、働く環境や生活面での課題を早期に把握することが大切です。
採用後の定着支援の仕組み
外国人社員の定着率向上には、体系的な支援制度の構築が不可欠です。
- 日本語研修(ビジネス日本語、敬語、メール文章)
- メンター制度の導入
- キャリアパスの明確化
- 定期的な個人面談(月1回程度)
- 生活支援(住居探し、行政手続きサポート)
- 社内交流イベントの開催
- 母国の文化を尊重した職場環境
特に入社後3年間は重点的なフォローが必要であり、上司や人事担当者による継続的なサポート体制を整えることで、長期的な活躍が期待できます。
在留資格の種類と手続き

新卒外国人を採用する際、最も重要な手続きの一つが在留資格の変更申請です。留学生は「留学」の在留資格で日本に滞在していますが、就労するためには「技術・人文知識・国際業務」などの就労可能な在留資格への変更が必要となります。申請から許可まで2ヶ月から3ヶ月程度の期間を要するため、企業の人事担当者は早めに準備を開始し、確実な手続きを行うことが求められます。
就労可能な在留資格の種類
新卒外国人が取得する主な就労系在留資格を以下に整理します。
| 在留資格 | 該当する職種・業務 | 必要な条件 |
|---|---|---|
| 技術・人文知識・国際業務 | エンジニア 営業 マーケティング 通訳・翻訳 | 大学卒業または専門学校卒業(専門士) |
| 高度専門職 | 研究者 技術者 経営管理者 | ポイント制で70点以上 |
| 特定技能 | 介護、建設、製造業など16分野 | 技能試験と日本語試験に合格 |
| 企業内転勤 | 海外支社からの転勤者 | 海外の関連会社で1年以上勤務 |
| 特定活動46号 | 日本の大学卒業者で高い日本語能力保有者 | N1レベルの日本語能力 |
最も一般的な「技術・人文知識・国際業務」は、幅広い職種に対応可能な在留資格となっています。
在留資格変更の手続き方法
在留資格変更の申請は、以下の手順で進めます。
- 必要書類の準備(企業側・本人側)
- 申請書類の作成
- 地方出入国在留管理局への申請
- 審査期間(約2-3ヶ月)
- 許可通知の受領
- 在留カードの交付
申請は原則として本人が行いますが、企業が取次申請の資格を持つ場合は代理申請も可能です。不許可となった場合は、理由を確認し、必要な修正を行った上で再申請することになります。
必要書類と申請期間
在留資格変更申請に必要な書類は、企業側と申請者側でそれぞれ準備が必要です。
| 提出者 | 必要書類 | 注意事項 |
|---|---|---|
| 企業側 | 雇用契約書 会社概要 登記事項証明書 決算報告書 | 3ヶ月以内に発行されたもの |
| 申請者側 | 申請書 写真 パスポート 在留カード 卒業見込証明書 | 卒業証明書は卒業後に追加提出 |
| 共通 | 申請理由書 職務内容説明書 | 業務と専攻の関連性を明記 |
申請期間は卒業の3ヶ月前から可能で、4月入社の場合は前年12月頃から申請を開始することが一般的です。
在留資格に関する注意事項
在留資格の管理には、以下の点に特に注意が必要です。
- 重要な管理ポイント
- 在留期限の確認(期限3ヶ月前から更新申請可能)
- 職務内容と在留資格の整合性
- 転職時の手続き(14日以内に届出)
- 資格外活動の制限
- 家族滞在資格への対応
また、在留資格によって就労可能な業務範囲が異なるため、配属部署や担当業務を決定する際は、必ず在留資格の活動範囲を確認する必要があります。行政書士などの専門家に相談することで、確実な手続きが可能となります。


外国人新卒採用の成功要因

外国人新卒採用を成功させるためには、採用準備から入社後の育成まで、一貫した戦略と体制整備が不可欠です。日本人学生とは異なるニーズや課題を理解し、それに対応した選考プロセスや支援体制を構築することが重要となります。また、外国人社員が能力を発揮できる組織文化の醸成も、長期的な成功には欠かせません。本セクションでは、実践的な成功要因を詳しく解説していきます。
採用成功のための準備事項
外国人新卒採用を開始する前に、以下の準備を整えることが成功の鍵となります。
- 採用目的と活用方針の明確化
- 受入れ部署との事前調整
- 社内規程の多言語化
- 外国人向け採用サイトの構築
- 日本語レベル要件の設定
- 給与・評価制度の確認
- 住居支援制度の整備
特に重要なのは、経営層から現場まで外国人採用の意義を共有し、全社的な受入れ体制を構築することです。
選考プロセスの工夫点
留学生の特性を考慮した選考プロセスの設計が、優秀な人材確保につながります。
| 選考段階 | 工夫すべきポイント | 具体的な対応例 |
|---|---|---|
| 書類選考 | 日本語能力だけでなく専門性も評価 | TOEIC、専門資格、研究内容を重視 |
| 筆記試験 | 言語ハンディキャップへの配慮 | 試験時間の延長 辞書持込許可 |
| 面接 | コミュニケーション能力の適切な評価 | 英語面接の実施 グループディスカッション |
| 最終選考 | 入社意欲と定着可能性の確認 | 職場見学 先輩社員との面談 |
選考では、日本語の流暢さよりも、業務遂行能力や成長可能性を重視することが大切です。
入社後の育成とキャリア支援
入社後の体系的な育成プログラムは、外国人社員の早期戦力化と定着に直結します。
- オンボーディング研修(1-2週間)
- OJTとメンター制度の併用
- 定期的なスキルアップ研修
- キャリア面談(3ヶ月ごと)
- 管理職登用への道筋明示
- 海外駐在機会の提供
日本企業特有の働き方や商習慣について、具体例を交えながら丁寧に説明することで、スムーズな適応を促進できます。また、5年後、10年後のキャリアパスを明確に示すことも重要です。
多様性を活かす組織づくり
外国人社員が活躍できる職場環境を整備することで、組織全体の競争力向上につながります。
| 取り組み分野 | 具体的な施策 | 期待される効果 |
|---|---|---|
| コミュニケーション | 英語公用語化 翻訳ツール導入 | 情報格差の解消 |
| 人事制度 | 成果主義評価 フレックスタイム | モチベーション向上 |
| 職場文化 | 多文化イベント ダイバーシティ研修 | 相互理解の促進 |
| キャリア開発 | グローバル人材育成プログラム | リーダー候補の育成 |
外国人社員の意見を積極的に取り入れ、組織の国際化を推進することで、イノベーション創出にもつながります。
新卒外国人採用の関連制度

政府や自治体は、企業の外国人採用を支援するため、様々な制度や助成金を用意しています。これらの制度を活用することで、採用コストの軽減や専門的なサポートを受けることが可能です。また、外国人雇用に関する法規制を正しく理解し、コンプライアンスを遵守することも企業の責務となります。本セクションでは、人事担当者が知っておくべき関連制度について、実務的な観点から解説します。
政府の外国人材受入れ支援
政府は外国人材の受入れ拡大に向けて、包括的な支援策を展開しています。
| 支援機関 | 主なサービス | 利用方法 |
|---|---|---|
| 外国人在留支援センター(FRESC) | 在留資格相談 生活支援情報提供 | 無料相談(予約制) |
| ハローワーク外国人雇用サービスセンター | 留学生と企業のマッチング | 求人登録 合同説明会参加 |
| 日本貿易振興機構(JETRO) | 高度外国人材活躍推進事業 | セミナー参加 個別相談 |
| 出入国在留管理庁 | 在留資格手続きの相談 | オンライン申請システム利用 |
2025年4月からは、デジタル化された在留管理システムが本格稼働し、申請手続きの効率化が期待されています。
参考:
出入国在留管理庁 外国人在留支援センター(FRESC)
厚生労働省 外国人雇用サービスセンター一覧
独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)
出入国在留管理庁
採用に活用できる助成金制度
外国人採用に関連する助成金を戦略的に活用することで、採用・育成コストを軽減できます。
- 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備コース)
- キャリアアップ助成金(正社員化コース)
- トライアル雇用助成金
- 地域雇用開発助成金
- 各自治体独自の支援金制度
助成金の申請には、就業規則の整備や研修計画の策定など、事前準備が必要です。社会保険労務士などの専門家に相談しながら、計画的に進めることが重要となります。
参考:
厚生労働省 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
厚生労働省 キャリアアップ助成金のご案内(令和7年度版)
厚生労働省 トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
厚生労働省 地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)

労働関連法規と注意点
外国人を雇用する際は、日本人と同等の労働条件を確保し、関連法規を遵守する必要があります。
| 法規・制度 | 主な内容 | 企業の対応事項 |
|---|---|---|
| 労働基準法 | 最低賃金 労働時間 休日 | 日本人と同等の待遇確保 |
| 外国人雇用状況届出 | 雇用・離職時の届出義務 | ハローワークへ14日以内に提出 |
| 社会保険加入 | 健康保険 厚生年金 雇用保険 | 加入手続きと説明の実施 |
| 所得税・住民税 | 源泉徴収 年末調整 | 租税条約の確認と適用 |
違反した場合は罰則が科される可能性があるため、定期的な法令改正情報の確認と社内体制の見直しが欠かせません。

まとめ|新卒外国人採用を成功に導くために

新卒外国人採用は、企業の国際競争力を高める重要な人材戦略です。本記事では、留学生採用の基本的な仕組みから在留資格の手続き、成功要因、関連制度まで体系的に解説しました。採用を成功させるには、早期の準備開始、適切な在留資格管理、充実した定着支援体制の構築が不可欠となります。政府の支援制度や助成金も積極的に活用しながら、外国人社員が長期的に活躍できる環境を整備することが重要です。グローバル人材の採用は、組織全体の多様性向上とイノベーション創出にもつながるため、戦略的な取り組みとして推進していくことが望まれます。
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