外国人社員の日本語学習支援ガイド!企業が活用できる教材と学習方法を紹介

外国人 日本語学習

外国人材を雇用する企業にとって、日本語によるコミュニケーションは課題の一つとなっています。業務上の指示が正確に伝わらない、職場での意思疎通がうまくいかないといった問題は、業務効率や職場環境に影響を与える可能性があるためです。

本記事では、企業の人事担当者向けに、外国人社員の日本語学習を効果的に支援する方法を解説します。無料で利用できる教材やオンラインサービスの紹介も含め、すぐに活用できる役立つ情報をお届けします。

目次

外国人の日本語学習が重要な理由とは

日本語のノートと鉛筆、参考書を使った学習風景の写真|外国人材の日本語学習・試験対策イメージ用

企業が外国人社員の日本語学習を支援することは、単なる福利厚生ではありません。日本語力の向上は、業務効率や職場環境、さらには人材の定着率にも影響を与える可能性があるとされています。

厚生労働省の「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」でも、日本語教育の支援が推奨されている状況です。ここでは、企業にとって日本語学習支援が必要な理由を3つの観点から整理します。

業務効率と生産性への影響

日本語でのコミュニケーションが円滑になると、業務上の指示や報告が正確に伝わりやすくなります。国際交流基金が定めるJF日本語教育スタンダードでは、日本語力をA1(入門)からC2(熟達)までの6段階で分類しており、レベルに応じて「できること」が異なります。

レベル概要
A1・A2(入門・初級)基本的な表現や簡単なやり取りが可能
B1・B2(中級)日常的・職業的な場面での対応が可能
C1・C2(上級・熟達)複雑な文章の理解や流暢な表現が可能
※上記は国際交流基金JF日本語教育スタンダードに基づく概要です。

言葉の壁による確認作業や誤解の修正が減少すれば、チーム全体の生産性向上につながる可能性があります。

参考:独立行政法人国際交流基金 日本語国際センター JFスタンダードとは

職場コミュニケーションの円滑化

外国人社員が日本語を話せるようになると、同僚との日常会話や相談がスムーズになります。言語の壁があると、業務連絡は可能でも雑談や相談には参加しにくい状況が生まれがちです。

職場での人間関係構築には、やさしい日本語での会話機会が有効です。コミュニケーションが活発になることで、チームワークの向上や情報共有の促進にもつながる可能性があります。

参考:出入国在留管理庁 在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン

外国人社員の定着率向上との関係

日本語学習の支援は、外国人社員の職場適応を助ける施策の一つです。厚生労働省の指針では、外国人労働者の雇用管理改善の一環として、日本語教育の機会提供が推奨されています。

日本での生活や文化への適応を支援する姿勢は、企業への信頼感を高める要因となり得ます。長期的な人材確保の観点からも、日本語教育への取り組みは検討に値する施策といえるでしょう。

参考:厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」

外国人向け日本語学習の種類と特徴

外国人社員がオンラインで日本語学習を進める様子。ヘッドホンをつけてパソコンで教材に取り組む女性学習者の姿。

外国人社員の日本語学習には、複数の方法があります。それぞれの特徴を理解し、社員の状況や企業のリソースに合わせて選択することが大切です。ここでは、主な学習方法を4つに分類し、その特徴を解説します。

独学・自己学習の特徴

独学は、教材やアプリを使って自分のペースで勉強を進める方法です。通勤時間や休憩時間を活用できるため、忙しい社員にも取り組みやすい選択肢となります。ひらがなやカタカナの習得、基礎的な文法の学習から始めやすい特徴があります

ただし、会話練習の機会が限られるため、コミュニケーション力の向上には別の支援が必要です。企業としては、学習教材の情報提供や学習時間の確保で支援できます。

オンライン学習サービスの特徴

オンライン学習は、インターネットを通じて日本語を学ぶ方法です。

項目内容
学習形式eラーニング
ビデオ通話によるレッスン
利用時間24時間いつでもアクセス可能なサービスもある
費用無料から有料まで幅広く存在
対応レベル初級から上級まで段階的に学習可能なサービスもある

場所を選ばず受講できるため、シフト勤務の社員や地方勤務者にも利用しやすい特徴があります

対面式日本語教室の特徴

地域の国際センターやボランティア団体が運営する日本語教室は、対面で学べる機会を提供しています。講師と直接会話できるため、発音や表現の細かな指導を受けることが可能です。同じ立場の外国人と交流できる機会もあります。

一方で、開催場所や時間が限定されるため、勤務スケジュールとの調整が必要となる点には注意が必要です。企業は近隣の教室情報を一覧化して社員に紹介することで支援できます。

参考:文化庁「地域日本語教育の総合的な体制づくり推進事業」

企業向け日本語研修の特徴

企業が主催する日本語研修は、業務に直結した内容を学べる点が強みです

項目内容
カリキュラム業種・職種に合わせた専門用語や表現を学習
実施形式社内研修
外部講師派遣
オンライン研修
費用負担企業が全額または一部を負担するケースがある
効果測定業務でのコミュニケーション状況を確認可能

初期投資は必要ですが、業務効率の改善につながる可能性があります。

外国人におすすめの無料日本語教材を紹介

スマートフォンを手に持ち日本語学習をする男性の手元。

日本語学習の第一歩として、まずは無料で利用できる教材の活用がおすすめです。公的機関や民間企業が提供する教材が存在するため、費用をかけずに学習をスタートすることが可能です。

ここでは、人事担当者が外国人社員に紹介できる無料教材を整理して紹介します。

無料アプリ・Webサービスの紹介

スマートフォンやパソコンで手軽に学習できるアプリやWebサービスがあります。

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サービス名特徴対応レベル
JFにほんごeラーニング みなと国際交流基金が運営
体系的なコース設計
入門〜上級
いろどり生活場面に即した実践的な内容
ダウンロード可能
入門〜初中級
NHK WORLD-JAPAN動画やポッドキャストで学習可能初級者向けコンテンツあり

多言語対応のサービスも多く、母語で説明を確認しながら学習を進められます。

参考:
国際交流基金関西国際センター JFにほんごeラーニング みなと
独立行政法人国際交流基金日本語国際センター いろどり生活の日本語
NHK WORLD JAPAN やさしい日本語Easy Japanese

公的機関が提供する無料教材

国や自治体、国際センターが作成した教材は、信頼性が高く体系的に学べる点が特徴です

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提供元教材名・内容利用方法
文化庁つながるひろがる にほんごでのくらしWebサイトで無料公開
東京都つながり創生財団東京都内の日本語教室情報Webサイトで検索・閲覧可能
各地域の国際センター地域に密着した生活情報を含む教材窓口で配布または検索で探すことができます

やさしい日本語で書かれた教材も多く、初級者でも取り組みやすい内容となっています。

参考:
文化庁 つながるひろがる にほんごでのくらし
公益財団法人東京都つながり創生財団 東京日本語教室サイト

無料教材を効果的に活用するコツ

無料教材を最大限に活用するには、いくつかのポイントを押さえることが役立ちます。

効果的な活用のポイント
  • 学習者のレベルに合った教材を選ぶ
  • 複数の教材を組み合わせて飽きを防ぐ
  • 学習の進捗を定期的に確認する機会を設ける
  • 実際の業務や生活場面で使う練習を取り入れる

企業としては、おすすめ教材の一覧を作成して社員に共有したり、学習相談の窓口を設けたりすることで支援できます。継続的な学習を促すフォロー体制が、教材の効果を高める可能性があります。

日本語カフェを活用した学習支援

日本語学習システム 日本語カフェのロゴ

オンラインで効率的に日本語を学べるサービスとして、日本語カフェがあります。企業が外国人社員に紹介できる日本語学習・試験対策支援の選択肢として、その特徴と活用方法を解説します。

\ 日本語学習システム/

日本語カフェとは

日本語カフェは、外国人向けにオンラインで日本語学習の機会を提供するサービスです。eラーニング形式で、日本語能力試験(JLPT)や特定技能試験、介護福祉士試験などの合格を目指したコースを中心に展開している点が特徴です。会話トレーニング用のコースも用意されており、日本での生活や仕事に必要な言葉や知識を、オンライン講座を通じて身につけられる環境を提供しています。

日本語カフェのサービス内容と特徴

日本語カフェが提供する主なサービスの概要は以下のとおりです。

項目内容
学習形式オンラインでのeラーニング講座やトレーニング
対応レベル初級者から上級者まで、目的に応じたコースを用意
レッスン内容JLPT対策、日本語試験対策、特定技能試験対策、介護福祉士試験対策、会話トレーニングなど
利用方法Webサイトから申し込み、オンラインで受講

試験対策コースや会話トレーニングコースを通じて、教材ベースの学習だけでなく、実際の試験合格や業務に役立つ日本語力を養うことができます

企業が日本語カフェを活用するメリット

企業が日本語カフェを外国人社員に紹介することで、複数のメリットが期待できます。

活用のメリット
オンライン完結のため勤務地や勤務形態を問わず利用可能
試験対策コースや会話トレーニングを通じて、実務や資格取得に直結するスキルが身につく
学習者のペースに合わせて受講しやすい仕組み
日本で働くうえで必要な日本語能力や知識を体系的に学べる

独学や社内研修、他の教材学習と組み合わせることで、より効果的な日本語学習支援が実現します。企業としては、日本語レベルや受験予定の試験に応じて、適したコースを案内することがポイントになります。

\ 無料体験はこちらから/

まとめ|外国人社員の日本語学習支援を成功させるために

スマホ画面を指差して紹介する女性。明るい黄色背景でアプリ利用をイメージ。

外国人社員の日本語学習支援は、業務効率の向上、職場コミュニケーションの円滑化、定着率の改善に寄与する可能性がある取り組みです。本記事では、学習方法の種類や無料教材の紹介、日本語カフェの活用まで、人事担当者が知っておくべき情報を整理しました。

まずは無料で利用できる教材やオンラインサービスの情報を社員に共有することから始めてみてください。学習者のレベルや状況に合わせて複数の方法を組み合わせることで、より効果的な支援が実現する可能性があります。外国人材の活躍を後押しする日本語学習支援に、ぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

三木 雅史(Masafumi Miki) 株式会社E-MAN会長
1973年兵庫県生まれ / 慶応義塾大学法学部法学科卒
・25歳で起業 / デジタルガレージ / 電通の孫請でシステム開発
・web通販事業を手掛ける
・2006年にオンライン英会話を日本で初めて事業化
・2019年外国人の日本語教育を簡単、安価にするため
 日本語eラーニングシステムを開発、1万人超の外国人が日々学習中

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