特定技能の外国人採用を成功させる!企業が知るべき受け入れの流れと費用、支援のすべて
日本の人手不足は年々深刻さを増し、地方の中小企業から大手企業まで幅広い業種で人材確保が大きな問題となっています。こうした背景の中、特定技能外国人の採用は国際的な人材確保の可能性を広げる制度として注目を集めています。
特にフィリピン人材は、勤勉さと高い日本語力を有し、多くの企業から高い評価を得ています。本記事では、特定技能制度の概要から採用の流れ、在留管理や必要な費用、さらには生活支援や定着化の工夫までを詳しく解説します。もちろん、実際に外国人を雇用する際の法的な条件や注意点もご案内しますので、ぜひ最後までご覧ください。
特定技能制度とは?在留資格と2つの号の解説

特定技能制度は、日本の産業分野で人材不足が深刻な状況を受けて、受入企業が即戦力となる外国人を雇用できるように定められた制度です。
特定技能1号 | 一定の技能と日本語能力を備えた外国人が、最長5年間就業できる在留資格(家族帯同は原則認められない)。 |
特定技能2号 | 熟練した技能を要する職種で、在留期間の更新制限がなく、家族帯同も可能。安定雇用に直結する。 |
特定技能制度で採用が可能な分野
厚生労働省の統計によると、2024年10月末時点で外国人労働者数は約2,302,587人となっており、前年比で増加。国籍別ではベトナムが最多、次いで中国、フィリピンの順です。これにより、特定技能だけでなく、様々な在留資格を持つ外国人材の受け入れが総合的に拡大している様子がうかがえます。
特定技能は現在16分野で受け入れが可能で、その主な業務内容は以下の通りです。
特定技能1号の対象分野とその業務内容
分野 | 主な業務内容 |
---|---|
介護 | 身体介護等の業務 |
ビルクリーニング | 建築物内部の清掃業務 |
建設 | 土木、建築等の業務 |
産業機械製造業 | 産業機械の製造等 |
電気電子情報関連産業 | 電子部品等の製造等 |
造船・舶用工業 | 溶接等の業務 |
自動車整備 | 自動車の日常点検等 |
航空 | 空港グランドハンドリング等 |
宿泊 | ホテル、旅館での接客等 |
農業 | 耕種農業、畜産農業 |
漁業 | 漁業、養殖業 |
飲食料品製造業 | 飲食料品の製造等 |
外食業 | レストラン等での飲食物提供等 |
自動車運送業 | バス・タクシー・トラックの運転業務など |
鉄道 | 運輸係員(運転士、車掌、駅係員)、軌道整備、電気設備整備、車両製造、車両整備の業務 |
林業 | 育林、素材生産、林業種苗育成などの業務 |
木材産業 | 製材業、合板製造業などの木材加工工程に関わる業務 |
これらの分野は総合的に見ても人手不足が深刻であり、今後も外国人材の活躍の場はいずれさらに広がっていくでしょう。
採用要件と試験:評価基準を満たすことが重要
多くの企業が特定技能外国人を採用する理由として、「人手不足の解消」が45%、「専門的スキルの獲得」が27%という調査結果があります。また、定着率については、「1年後の定着率が50〜69%」という企業が最も多く、「90%以上」を達成している企業も一定数あることがわかっています。
外国人本人が特定技能1号の在留資格を得るには、以下の2つを満たす必要があります。
- 技能試験に合格(技能実習2号修了者は一部免除)
- 日本語試験に合格(JLPT N4以上、またはJFT-Basic)
これは「即戦力」として働けることを示す証明書の役割を果たします。
採用の流れ:海外と国内で異なるプロセス
送り出し機関を通じ、求人策定から面接、契約、ビザの許可申請、入国までの流れを進めます。
- 採用計画の策定と求人
- 送り出し機関による人材の選定と紹介
- オンラインまたは現地での面接・面談
- 雇用契約の締結
- 在留資格認定証明書の申請(日本国内の出入国在留管理庁へ)
- 在留資格認定証明書の交付
- 外国人本人によるビザ申請(現地日本大使館等へ)
- 入国と受け入れ開始
すでに日本国内に在留している外国人(技能実習生からの移行や、他の在留資格からの変更を希望する人)を採用する場合です。
- 採用計画の策定と求人(人材紹介サービスの利用も可能)
- 面接と雇用契約の締結
- 在留資格変更許可申請(出入国在留管理庁へ)
- 在留資格変更許可の取得と就労開始
実際の採用例 ~技能実習から特定技能1号へ~
- ①株式会社小黒組の事例
技能実習生から特定技能1号へ移行した外国人材を雇い入れています。彼らの「仕事への意識や成長意欲が非常に高い」と会社側は感じているとのこと。また、日本人社員と比べて、「学びたい・成長したい」という態度が目立つという声が挙がっているようです。
- ②株式会社パラダイム・ラボ/株式会社TB(千葉県)の事例
技能実習生として来た「ニャンさん」は「もっと日本で住みたい、働きたい」と希望したため、企業がその希望に応じて受け入れを進めたというケースもあります。本人の意欲・希望が受け入れのきっかけになった実例です。
出典元:特定技能ビザ在留資格の専門情報/トクマド~特定技能の窓口~より
採用費用と企業の負担
それでは、採用にかかる費用にはどのような物があるのかを見てみましょう。費用は「直接費用」と「間接費用」に分かれます。
紹介料(紹介サービスや送り出し機関に支払う費用)、許可申請手数料(出入国在留管理庁への申請に係る費用。 行政書士に依頼する場合は、その報酬が加算される)、渡航費用(本人の日本への渡航費)など
住居の確保(外国人が日本での生活を開始するための住居の確保・整備に係る費用)、オリエンテーション(業務や日本での生活に慣れるためのオリエンテーションや研修に係る費用)、支援委託費用(特定技能外国人の生活支援を委託する場合の費用)など
こうした費用は企業の条件に応じて変動するため、事前に予算を立てることが重要です。
また、特定技能の離職率は約16.1%というデータがあります。これは技能実習制度の3年間の離職率(約30%)と比較すると低く、特定技能制度の方が制度として受け入れ・定着に成功しているケースが多い、という見方もできます。長期的視野で見て採用コストを測りましょう。


特定技能外国人の受け入れ企業の義務と支援体制

特定技能の所属機関には、以下の支援が義務付けられています。
- 入国時のオリエンテーション・ガイダンス
- 住居や生活環境の整備
- 各種契約や行政手続きのサポート
- 日本語学習機会の提供
- 定期的な相談窓口の設置
- 日本人との交流促進 など
これらは特定技能制度の運用要領で細かく定められています。自社対応が困難な場合、企業は出入国在留管理庁に認定された登録支援機関に委託できます。登録支援機関は、特定技能外国人の生活全般にわたるサポートを提供し、企業の負担を軽減します。フィリピン人材に特化した支援機関も多く、文化や言語を理解したきめ細やかな対応が期待できます。受け入れ企業の支援体制により外国人が安心して働く環境が整い、就業の安定につながるため、登録支援機関への委託も検討してみましょう。

特定技能外国人人材を定着させるための戦略

特定技能外国人の採用は、人手不足解消の効果的な方法ですが、定着させるためには適切な対応が必要です。
- 公正な評価基準を設ける
- キャリアアップの可能性を提示
- 日本人社員への異文化教育
- 外国人向け相談窓口の整備
- 技能実習からの移行者に対する経験や努力の評価
- <成功事例から学ぶ現場の工夫>
ある介護施設での特定技能外国人採用では、初めは「知識・経験不足」「日本語に不安」という声があったものの、実際に入職してみると「期待以上」「マニュアルを忠実に守る」「現場全体に活気が出た」という現場の評価がありました。
また別の調査では、日本語学習・社内コミュニケーションの改善が、定着率向上に極めて重要であるという企業の回答が多く出ており、「日本語学習支援」が最も多くの定着促進策として挙げられています。
これらの現場の様子からも、企業と外国人双方に良い関係を築き、長期的な雇用関係の構築につなげていくための工夫が必要なことが分かります。
特定技能制度関連の法改正と最新情報への注意

特定技能制度は創設から間がない制度であり、法務省や出入国在留管理庁から随時、最新の情報や要領が更新されています。企業は常にこれらの情報を確認し、適正な運用を行う必要があります。

まとめ

特定技能制度は、日本の深刻な人手不足を解決するための強力な制度です。
会社の将来を支える外国人材を受け入れるために、本記事で紹介した流れや体制を整え、策定したプランに基づいて進めてください。
まずは実績や得意な国籍(例:フィリピン)を考慮し、企業のニーズに合致した人材紹介会社や登録支援機関、送り出し機関を選ぶことが大切です。無料相談や資料ダウンロード、セミナーなどを利用して、複数のサービスを比較検討しましょう。
弊社では、特定技能外国人の採用を検討する企業向けに無料の説明会や相談を受付けています。採用フローの説明や資料のご案内、オンライン相談にも対応しています。お気軽にお問い合わせください。
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