日本社会における深刻な人材不足の状況は、多くの企業経営者にとって喫緊の課題となっています。そうした中で、外国人労働者の確保は事業の安定的な継続に不可欠な戦略となっています。とりわけフィリピン人材は、その高い英語能力やホスピタリティ精神から、日本の様々な産業・業界で活躍しています。
一方で、外国人雇用を担当する企業の多くは、複雑な法制度や手続きに対して不安を感じています。とくに、在留資格の申請や届出、雇用管理体制の整備には、出入国在留管理庁および厚生労働省への正確な対応と専門的な知識が求められます。これは日本人労働者の採用とは異なり、より制度的・法的な理解を伴うプロセスです。
本記事は、フィリピン人材の採用を検討している企業担当者向けに、こうした課題を整理し、不安を解消するための道標を示します。不法就労リスクを回避し、適切な労働環境を整備しながら、安心して採用を進めるための基礎知識と実務手順を体系的に解説。
外国人雇用、フィリピン人採用を成功させるために、ぜひ参考になさってください。
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外国人雇用を取り巻く現状とフィリピン人材採用のメリット

日本国内の外国人労働者の状況は、年々大きく変化しています。厚生労働省の資料によると、日本で働く外国人労働者数は過去最高の230万人に達しており、企業における外国人雇用の取り組みも拡大傾向にあります。帝国データバンクの調査では、企業の約24%が外国人を雇用しており、そのうち16%強の企業が今後も採用を拡大する意向を示しています。
特に個人向けサービス業では採用拡大の動きが顕著で、介護、建設、医療などの人手不足が深刻な特定分野では、外国人材の活用が喫緊の課題となっています。外国人労働者は、日本の経済活動を支える上で欠かせない存在となっています。
なぜフィリピン人材の確保が注目されるのか
アジア各国の中でも、フィリピンはベトナム、インドネシア、ミャンマーに次ぐ主要な外国人労働者供給国の一つです。フィリピン人材の確保が注目される最大の理由は、国際的な能力と言語的な背景にあります。
国際的な業務に関連する高い言語能力
フィリピンでは英語が広く利用されており、国際業務に関連する活動において、高い言語能力を持った人材を確保できます。多角的な事業展開や海外支社との連携が必要な企業にとって、大きな利点となるでしょう。
国内の高い教育水準に関連する専門知識人材の雇用
フィリピンは教育水準が高く、専門知識を持つ人材も多いため、技術や人文知識を要する分野での採用事例も増えています。企業は、専門知識を持った外国人材の採用により、技術力向上や研究分野での人材確保に繋げることが可能です。
ホスピタリティと明るい国民性が生む職場への貢献
フィリピンの人材は、明るくホスピタリティにあふれる国民性で知られています。特に介護や接客業などの対人サービス分野で活躍が期待でき、チーム内のコミュニケーション円滑化や職場の雰囲気改善にも貢献します。
高い責任感と勤勉さ
多くのフィリピン人労働者は、家族を養うという強い責任感を持ち、熱心に業務に取り組む傾向があります。海外での就労に対する意識も高く、与えられた業務を忠実に遂行するため、企業にとって長期的に信頼できる人材となります。真面目な働きぶりは、生産性向上や定着率改善にもつながるでしょう。
外国人を雇用する企業が直面する主要な課題
外国人材の採用は多くのメリットをもたらす一方、日本人を雇用する場合とは異なる複雑な課題が伴います。調査では、教育・コミュニケーション面の問題が最も大きく、次いで手続き負担や費用面での苦労が挙げられています。
外国人労働者の採用には、在留資格申請や行政への届出など、日本人の採用よりも複雑な手続きが必要です。さらに文化や言語の違いから、現場でさまざまな問題が生じる可能性があります。
重要なのは、手続き負担の大きさと外国人労働者の定着率に相関関係がある点です。採用担当者が煩雑な手続きに過剰な時間を費やすと、本来必要な教育訓練や相談体制の整備がおろそかになり、優秀な人材を確保しても早期離職のリスクが増加します。そのため、在留資格申請や行政手続きを効率化し負担を軽減することが、外国人労働者の定着を実現する前提条件となります。採用前の知識準備と適切な管理システム整備は不可欠です。
参考:外国人労働者の雇用・採用に対する企業の動向調査(2025年8月)|帝国データバンク


就労に必要な在留資格の種類と手続き

外国人が日本国内で合法的に働くためには、業務内容に応じた在留資格(ビザ)を取得する必要があります。どの在留資格が該当するかは業務の性質で判断されるため、採用前に該当資格の要件と手続きの流れを確認することが重要です。
以下は、企業が現場で頻繁に扱う主要な在留資格と、手続き上のポイントです。
技術・人文知識・国際業務(技人国)
この在留資格は、理工系・人文系など専門知識や技術を要する業務に用いられます。典型的な業務例は、技術系エンジニア、システム開発者、通訳・翻訳、デザイナー、マーケティング業務などです。ただし、単純労働のみを行う業務は対象になりません。
申請にあたっては、通常「大学等の卒業証明」や、場合によっては該当分野での実務経験を裏付ける証明書類(在職証明、職務経歴書)が求められます。留学生を採用して在留資格を「留学」から「技人国」へ変更する場合は、出入国在留管理庁へ在留資格変更許可申請を行います。企業側は雇用契約書や労働条件通知書、職務内容を具体的に示す資料を準備してください。
特定技能制度
特定技能制度は人手不足分野の即戦力確保を目的としており、主に技能試験と日本語能力要件を満たした者を受け入れます。制度は「特定技能1号」と「特定技能2号」に分かれます。1号は通算で最長5年の在留が想定され、雇用側には生活・業務面の支援(支援計画の実施)が求められます。2号は要件を満たせば在留更新が可能で、中長期の受入れに適しています。
受け入れ企業は、報酬が日本人と同等以上であることや、過去の出入国・労働法令上の重大な違反がないことなど、一定の要件を満たす必要があります。特定技能1号の支援は自社で実施するか、登録支援機関へ委託することが可能です。採用前に該当分野(職種)と試験要件を確認してください。
技能実習制度
技能実習は、国際貢献を主な目的とし、日本の技能、技術、知識を発展途上地域等に移転することを目的として運用されている制度です。
労働力確保を直接の目的とはしていないため、原則として転職は認められておらず、企業が受け入れられる人数枠も常勤職員数に応じて制限があります。実習生は最長5年間、日本で技能を学びながら就労が可能です。
技能実習2号を良好に修了した者は、分野や条件により特定技能1号への移行が認められるケースがありますが、移行要件は分野ごとに異なるため都度確認が必要となります。
新制度:育成就労制度
育成就労制度は、技能実習制度に代わって新たに導入が決定された新たな在留資格です。この制度は「人材育成」と「人手不足の解消」を両立させることを目的としており、特定技能等への円滑な移行を視野に入れたキャリア支援を重視します。
転籍の柔軟化や監理・支援機関の役割に関するルールが設けられる見込みで、企業側は新しい枠組みに対応した受入計画の作成が求められます。導入時期や運用細目は法令・政令で定められるため、最新の公表情報を必ず確認してください。
雇用にあたっての実務的な手順
在留カード、在留資格の種類と在留期間(期限切れでないか)、資格外活動の可否を必ず確認します。
雇用契約書・労働条件通知書・職務記述書・学歴証明・在職証明などを揃え、申請書類に漏れがないか確認します。
- 海外からの新規採用:在留資格認定証明書(COE)交付申請 → 在外公館でのビザ取得 → 入国・在留カードの取得。
- 国内での在留資格変更:在留資格変更許可申請を出入国在留管理庁へ提出。
- 特定技能:技能試験・日本語要件の確認、支援計画の策定(または登録支援機関との連携)。
在留期限の把握(期限切れ防止)、外国人雇用状況の届出(ハローワーク等)、在留カード情報の定期確認、生活支援や苦情対応窓口の整備。
賃金、労働時間、労働安全衛生など日本法令を日本人と同等に遵守すること。違反があると在留資格の受入停止等の重大なリスクが生じます。
| 在留資格 | 主な対象 | 在留期間の目安 | 企業側の主要対応 |
|---|---|---|---|
| 技術・人文知識・国際業務(技人国) | 大学等卒業または同等の専門知識を要する業務 | 個別に付与(更新可) | 学歴・業務内容の裏付け 在留資格変更申請の支援 |
| 特定技能1号 | 指定分野での実務・技能を持つ者 | 通算最長5年 | 技能試験・日本語要件 支援計画の実施・委託 |
| 特定技能2号 | 高度な技能を有する分野 | 更新により長期 | 長期雇用の設計 賃金の確保 |
| 技能実習 | 技能育成を前提とした就労 | 通算最長5年 | 監理団体との契約・技能実習計画の提出 労働・住居の適正管理 |
| 育成就労(導入予定) | 技能育成を前提とした就労 | 法令で定める | 受入計画の策定 監理支援機関との連携 |
採用を前に、まずは自社の募集職務がどの在留資格に該当するかを明確にしてください。必要書類の準備や、在留資格に関する基本的な審査基準(学歴、技能、日本語能力、報酬水準等)を把握することで、申請の失敗リスクを下げられます。
加えて、在留期限管理や生活支援体制、苦情対応など採用後の受入体制を整えておくことが、定着と生産性向上には不可欠です。


雇用契約と労働条件の注意点

外国人労働者を雇用する際、企業は日本の労働関係法規を日本人と同一に適用し、契約内容を明確にする義務があります。つまり、賃金・労働時間・労働安全衛生といった基本的ルールはすべて適用対象であり、差別的な条件設定は許されません。さらに、特定技能など制度ごとの受入要件がある点も念頭に置いてください。
報酬・労働条件の適正性
報酬は重要なコンプライアンス項目です。特定技能を含む受入制度では、「日本人と同等以上の報酬」を求められる場合があり、不適切な低賃金は制度上の要件違反につながります。
したがって、募集段階から賃金水準を社内で検証し、就業規則や雇用契約書に明確に記載してください。
在留カードの確認と不法就労対策
在留カード等で必ず確認すべきは、在留資格の種類、在留期間(有効期限)、資格外活動の許可の有無です。仮放免者は原則として就労できないため、仮放免の確認は採用判断に直結します。
加えて、カードの真正性(券面のホログラム等)や番号の有効性にも目を配り、疑義がある場合は速やかに出入国在留管理局に相談してください。確認義務を怠ると、企業側が罰則や行政処分の対象になる可能性がある点を重く受け止めましょう。
雇用契約書の作成と説明
雇用契約は書面で作成し、業務内容・賃金・労働時間・休暇・解雇事由等を明確に記載することが原則です。リンクする手続き(在留資格変更やビザ申請)で労働条件通知書や契約書が提出されることがあるため、内容に齟齬がないか社内で必ず確認してください。
さらに、誤解を防ぐために契約書は相手の理解する言語でも説明するか、要点を母国語で訳した補助文書を用意することを推奨します。
個人情報と在留情報の取り扱い
在留カードの氏名・在留資格・在留期間などは個人情報に該当します。取得目的の明示、安全管理、不要時の速やかな廃棄など、個人情報保護法に基づく取り扱いルールを整備してください。
ICチップなどから情報を読み取る行為や、在留カード画像の保存には制約があります。人事・総務は保存方法とアクセス権限を明確にし、取り扱い責任者を決めておきましょう。
就業規則・文化配慮・相談体制の整備
就業規則は外国人にも適用されるため、就業規則の翻訳版や説明会の実施を検討してください。宗教上の配慮(礼拝時間、祝祭日の扱いなど)が業務に影響する場合は、就業規則の運用ルールに折り込んでおくとトラブルを防げます。
加えて、生活面や労務面の相談窓口を整備し、相談対応のフローを周知することが定着促進につながります。
リスクと罰則
在留資格を確認せずに就労させた場合、事業主は行政処分や刑事責任に問われる可能性があります。たとえば、不法就労助長に関する責任は重大であり、罰則の対象となるケースがあります。こうしたリスクは企業の信用失墜や事業継続に深刻な影響を及ぼすため、必ず事前確認と社内手続きの運用整備を行ってください。
| 採用前・採用後の実務チェックリスト | |
|---|---|
| 在留カードの在留資格・在留期間を確認したか。 | |
| 資格外活動許可が必要な勤務形態かを確認したか。 | |
| 仮放免者ではないことを確認したか。 | |
| 雇用契約書と労働条件通知書を作成し、本人に説明したか(可能なら母国語訳を添付)。 | |
| 在留カード情報の保存方法とアクセス管理を定めたか。 | |
| 外国人雇用状況届出(ハローワーク)や必要な行政届出を期限内に実施したか。 | |
| 相談窓口・生活支援・苦情対応フローを明示しているか。 | |
まずは在留資格と在留期間の確認を最優先に行い、次に賃金・労働条件の整備と書面化を進めてください。さらに個人情報保護と相談体制の整備を行うことで、法令リスクを低減し、定着に向けた受け入れ体制を構築できます。最後に、制度変更や運用の最新情報を定期的にチェックする習慣を組織に根付かせてください。
採用後に必要な行政手続き

外国人労働者の雇用開始後も、企業には継続的な行政手続きの実施が求められます。適切に対応することで、法律上のリスクを回避し、円滑な人材活用につながります。
外国人雇用状況の届出
企業は、外国人労働者を雇用した場合や離職した場合、ハローワーク(厚生労働省)に「外国人雇用状況届出書」を提出する義務があります。
| 提出期限 | 雇用・離職した月の翌月10日まで |
| 届出内容 | 氏名、国籍、在留資格、雇用期間、業務内容、賃金など |
| ポイント | 電子申請(e-文書)を活用すれば、手続きの効率化が可能です。 |
在留資格の更新・変更申請
外国人労働者が日本で引き続き就労する場合、在留資格の期限前に出入国在留管理庁へ更新または変更申請を行う必要があります。
| 重要事項 | 在留期限を切らさないことが不可欠。期限切れになると、不法滞在となり就労が停止する可能性があります。 |
| 提出資料 | 労働条件通知書(雇用契約書)や企業の適格性を証明する書類(会社案内・登記簿謄本等)が求められる場合があります。 |
日常的な事務運用の仕組み化
届出や更新申請は、単発の作業ではなく継続的な管理が必要です。企業は以下のような運用体制を整えることが推奨されます。
- 在留期間や届出期限の一覧管理
- 電子申請システムの活用による効率化
- 手続きミスを防ぐ内部チェック体制の整備
これらを組織的に運用することで、手続きにかかる時間を削減し、法令遵守と企業の安心につなげることができます。
主要手続き一覧
| 手続き | 所管機関 | 提出時期・期限(目安) | 実務ポイント |
|---|---|---|---|
| 外国人雇用状況届出 (雇用・離職) | 厚生労働省 (ハローワーク) | 雇用・離職した日の属する月の翌月10日まで(雇用保険適用の有無で様式・扱いが異なる) | 電子申請の利用で負担軽減。 様式選択を間違えないこと。 |
| 在留期間更新申請 | 出入国在留管理庁 | 在留期限が切れる前に申請(目安:満了の概ね3か月前から準備) | 契約書や職務記述の整合性を事前に確認。 余裕を持って申請。 |
| 在留資格変更(国内) | 出入国在留管理庁 | 在留資格に変更が生じた時点で申請 | 学歴・職歴等の裏付け書類の準備を忘れずに。 |
| 在留資格認定証明書(COE)申請(海外採用) | 出入国在留管理庁 | 雇用開始前(渡航・ビザ取得前に必要) | 事業主側資料の提示が求められる場合あり。 早めに準備。 |
採用後の行政手続きは、「一度やれば終わり」ではありません。届出期限の厳守と在留期限の継続管理を組織的に運用することが、コンプライアンス上も、非常に重要になります。

外国人労働者の受入れ体制整備と注意点

外国人材を採用することは、企業に大きなメリットをもたらします。しかし、日本人を雇用する場合とは異なり、文化や言語の違い、手続きの複雑さなど、さまざまな課題が伴います。調査によると、企業が外国人を雇用する際に最も懸念するのは教育・コミュニケーション面であり、次いで手続き負担や費用に関する課題が挙げられています。
採用担当者が煩雑な手続きに過剰な時間を費やすと、教育訓練や日常的な相談体制の整備が十分に行えず、優秀な人材を確保しても早期離職のリスクが高まります。そのため、在留資格申請や行政手続きを効率化し、負担を軽減することは、外国人労働者の定着率向上の前提条件となります。
外国人労働者の定着を促す環境の改善と教育
外国人労働者が能力を十分に発揮できるよう、企業は入社後の教育訓練や相談体制の整備に注力する必要があります。特に、母国語での導入研修や、日本人従業員への基礎的な異文化理解教育は、職場内の相互理解を促進し、安心して働ける環境づくりに寄与します。
特定技能外国人の支援計画
特定技能1号の外国人を受け入れる企業には、入管法に基づき、生活オリエンテーションや公的手続きの支援、相談対応などを含む「支援計画」の作成・実施義務があります。この支援を専門の登録支援機関に委託することで、手続き負担を大幅に軽減し、法令遵守の体制を確実に整えることが可能です。
生活オリエンテーションでは、次の情報を伝えることが求められます。
- 日本での生活一般に関する基礎知識
- 公的機関での手続き方法
- 医療機関の利用方法
- 防災・防犯・緊急時対応
- 法令違反時の相談窓口(入管・労働基準監督署など)
登録支援機関の活用
受入れ機関は、この支援の実施を「登録支援機関」に全部委託することが可能です。登録支援機関は、出入国在留管理庁に登録された専門機関であり、彼らのサービスを利用することで、企業は煩雑な手続き負担を大幅に軽減し、法令遵守を伴った適切な受入れを安心して行うことができます。
とはいえ、受入企業に監督責任があることに変わりはありません。支援機関に委託したとしても、支援計画が着実に実行されているかを見届ける必要があります。
助成金制度の利用
外国人雇用にかかる費用を軽減するため、国や地方自治体が提供する助成金制度の活用も検討できるでしょう。教育訓練や職場環境整備に対する助成金を活用することで、採用コストの削減と定着率向上の両立が可能となります。
ハローワークや関連機関が提供する無料相談サービスで、助成金申請の具体的手順や必要書類の情報を入手すると効率的です。
参考:1号特定技能外国人支援・登録支援機関について | 出入国在留管理庁

事例から学ぶ!フィリピン人雇用を成功させる秘訣

外国人雇用の成功は、法令遵守と現場での適切な対応が両輪となって実現します。ここでは、特にフィリピン人材の強みを活かし、企業が長期的な定着を勝ち取るための具体的な教訓を、実際の事例から考察します。
うきま幸朋苑の事例
社会福祉法人こうほうえんが運営する「うきま幸朋苑」は、高齢者介護と保育園を併設した複合施設で、2019年からフィリピン人技能実習生の受入れを開始しました。施設側は、採用したフィリピン人に対し「物静かで優しく、一生懸命に働く」と高く評価しています。
採用の成果として、まず現場の雰囲気が明るくなり、利用者との温かい交流が生まれたことが報告されています。お年寄りの方々からも「外国で大変ね」「勉強頑張ってね」と声をかけてもらうなど、温かな雰囲気が作り出されています。また、新人の受入れを通じて日本人職員が指導方法を見直す機会が増え、組織全体の質の向上にもつながるという相乗効果も生まれています。
企業側の支援策としては、宗教的な習慣を尊重した勤務調整を行うことで、実習生が負担なく勤務できる環境を整えました。さらに、複数回の受入れ経験から、先輩実習生が新人をサポートする自然な体制が生まれ、教育課題の解決がスムーズに進むようになっています。現在、就労中の実習生は介護福祉士を目指しており、キャリアプランに沿った支援も実施されています。
教訓:フィリピン人雇用成功の秘訣
フィリピン人材の雇用を成功させ、定着率を向上させるための教訓は以下の通りです。
- 外国人受入れを教育機会として活用
-
外国人労働者の指導を通じて、日本人職員自身の業務スキルや指導方法を見直す学びの場として活用します。
- 周囲との良好な関係の構築
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外国人労働者と同僚や社内外の関係者との交流を促し、職場全体の協力体制やチームワークを高めることで、働きやすさと定着率の向上につながります。
- 宗教・文化的習慣の尊重
-
勤務環境や業務調整を通じて、個々の文化や宗教習慣に配慮し、負担なく安心して働ける環境を提供します。
- 先輩実習生による相互サポートの活用
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新人の指導や生活支援を先輩が行う体制を整えることで、教育課題の解決をスムーズにし、定着を促進します。
- キャリアプランニングの明確化
-
介護福祉士などの資格取得支援やキャリア形成をサポートし、長期的な雇用継続を可能にします。
参考: 【外国人労働者インタビュー】 フィリピン人介護技能実習生インタビュー | トランスナショナルダイバーシファイドグループ東京
フィリピン人受入れに必須のDMW申請と送り出し機関

フィリピン人材を採用するには、日本側の手続きだけではなく、フィリピン政府側の組織(DMW/旧POEA)と、現地の送り出し機関についての理解が不可欠です。
DMWと送り出しルールの要点
フィリピンは国民の多くが海外で働いているという現状があり、労働者を保護するため、DMW(海外労働者省)という行政機関が海外への送出を厳格に管理・監督しています。そのDMWの窓口として各国に設置されているのが、MWO(移住労働者事務所)です。
MWOは企業が作成した雇用契約や求人票がフィリピンの労働基準に合致しているかを認証(Verification)します。MWOの認証を経ることで、フィリピン政府から正式に採用計画が承認されます。
フィリピンではエージェントを介さない企業による直接雇用は原則禁止されており、DMW認定の送り出し機関を通じた手続きが必要となります。
そのため日本の企業がフィリピンから人材を雇用する場合、まずはDMW認定の送り出し機関と人材募集・雇用に関する取り決めを締結し、その上でMWOへの申請手続きを行い、認証を得なければなりません。
また送り出し機関に関してDMWは不当な手数料徴収を禁じる通達を出しており、紹介料や手数料の取り扱いには法的なルールが適用されます。とはいえ、実務上は運用に差が出ており、企業側が想定外の費用負担や説明不足に直面するケースが散見されます。企業側は送り出し機関との契約時に費用負担の明細を契約書で明確化してください。
海外雇用許可証の取得
海外雇用許可証(OEC :Overseas Employment Certificate)は、フィリピン人が就労目的で日本へ渡航するために必須の証明書であり、フィリピンを出国する際の空港で提出が求められます。
このOECの申請には、日本側で取得した在留資格認定証明書(COE)や、正式な雇用契約書、技能証明書等の書類が必要となり、DMW/MWOによる厳格な審査を経て発行されます。
ここで重要な点は、日本のビザが発行された後であっても、フィリピン側でOECが取得されていなければ、フィリピン人は出国できないということです。これは、日本側の手続きが完了した後に、渡航直前で採用予定が頓挫する最大のリスク要因となり得ます。企業担当者は、日本の入国管理手続きに注力する中で、送り出し機関やフィリピン人本人に対してOEC取得の進捗情報を常に確認し、管理名簿を作成しておく必要があります。
送り出し機関選定の重要性
フィリピン人採用における最大の実務リスクの一つは、送り出し機関の選択です。なぜなら、一部には不当な費用請求や書類偽造、質の低い日本語教育といった悪質な運営を行う機関が存在するからです。
そうした事案は、労働者本人に深刻な被害をもたらすだけでなく、受け入れ企業にも失踪・不法就労・労務トラブルといった重大な負担を引き起こします。
したがって、送り出し機関の選定は「人が来るかどうか」だけで判断してはいけません。倫理性・透明性・法令順守を含めた総合的な適性評価が不可欠です。
採用ステップ
DMWに認定された現地の送り出し機関を通じて契約を締結します。
送り出し機関を通じて、求人票(Job Order)および雇用契約案をMWOに提出し、フィリピン側の基準に沿うか確認を受けます。必要があれば契約内容の修正や追加書類の提出を求められます。
MWOの認証で必要条件が満たされたことを確認したうえで、候補者と正式な雇用契約を最終確定(署名)します。実務上はこの確定をもって日本側の在留手続きを進めるのが安全です。
日本側での在留資格申請に必要な書類を揃え、出入国在留管理庁に申請します。COE の有効期限に注意し、フィリピン側手続きを完了させた上で申請することが望ましいです。
OECはフィリピン出国時に提示が求められる証明書です。これを取得することで、合法的に出国・入国が可能となります。日本在住者でも、場合によっては OEC 取得が必要になることがあります。
日本在住のフィリピン人材を雇用する場合の注意点
すでに日本国内に在留しているフィリピン人材を雇用する場合でも、フィリピン政府の規定に基づき、MWOによる認証手続きが原則として必要となります。
これは、たとえ日本国内で在留資格の変更を行うケースでも、フィリピン政府の視点からは「海外就労扱い」となるためです。MWOを通じた認証手続きを取得を怠り、外国人が一時的にフィリピンへ帰国した場合、出国時にOECの提示を求められて提示できなければ、日本への再入国が不可能になるという深刻な事態が発生する可能性があります。
受入れ企業は、この重大なリスクを理解し、日本在住者であっても、DMW認定の人材紹介会社を経由した認証手続きを確実に行う必要があります。
参考:DMW

送り出しカフェの活用

DMWへの申請、送り出し機関の選定などの手続きが必要なフィリピン人材の採用を成功させるには、専門のサポート機関を利用するのが最も効率的かつ効果的です。
送り出しカフェは、フィリピン人労働者の採用を検討している日本企業を対象に、フィリピン現地の送り出し機関の紹介・仲介を行っています。
フィリピン政府のライセンスを持つ正規の送り出し機関と提携しており、年間2,000人を海外に送り出す実績を有するパートナーなど、実績豊富な機関と連携しているのが大きな特徴です。
送り出しカフェ活用のメリット
- 信頼性のある送り出し機関の紹介
-
フィリピン政府公認のライセンスを持つ送り出し機関と提携しているため、違法・不透明な業者を避けられる。
- 人材の母集団が大きい
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提携大学・職業訓練校から約7,000人規模の候補者がいるため、必要な職種に合った人材を探しやすい。
- 特定技能16分野に対応
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介護・外食・建設など幅広い業種の求人に対応できる。
- 安心の日本語対応
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日本人スタッフが窓口となるため、言語や文化の違いによる誤解・トラブルを減らせる。
- 採用から入国後までワンストップ支援
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求人票作成、面接調整、ビザ・MWO申請、入国後の定着支援までトータルサポート。
- 手続きの負担軽減
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フィリピン側で必要な複雑な申請書類や手続きを代行・支援してくれる。
- 日本語教育サポート
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採用前から就労後まで継続的に日本語教育を行う体制があり、現場でのミスや離職リスクを軽減できる。
- 費用や採用リスクの低減
-
信頼性の低い送り出し機関を選んで失敗するリスクを減らし、スムーズな採用につながる。
送り出しカフェを活用することによって、DMWのルール確認、信頼できる送り出し機関の選定、明確な契約とスケジュール管理などを円滑に行うことができるでしょう。
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まとめ:外国人雇用の成功の鍵は知識と準備

本記事で解説した通り、外国人雇用、特にフィリピン人材の戦略的採用は、日本の企業にとっても単なる人手不足解消にとどまらない、大きなメリットをもたらします。とはいえ外国人の雇用には在留資格の種類、雇用契約、行政手続きの届出など、専門的な法律知識と適切な管理体制が必須となります。
さらにフィリピン人採用の際にはDMWへの申請や送り出し機関の活用など、さらなるハードルが待ち構えています。そのため、特に中小企業においては専門家の支援を得ることが、採用を成功させるための一番の近道と言えるでしょう。
私たち「送り出しカフェ」は、フィリピン人材採用のために、信頼できる送り出し機関との連携体制を構築し、採用・在留資格手続き、日本語教育、生活支援までを一貫してサポートしています。
フィリピン人材の採用を具体的に検討されている企業様は、まずはお気軽にご相談ください。
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