外国人雇用を検討する企業にとって、特定技能制度の活用は人材確保の有効な選択肢となっています。しかし、在留資格の取得や外国人材への支援内容など、制度の複雑さに直面する企業も少なくありません。登録支援機関は、1号特定技能外国人の受入れに必要な支援を企業に代表して実施する重要な存在です。
本記事では、登録支援機関の役割や支援内容、委託のメリット、選び方まで、外国人雇用を成功させるために必要な知っておくべき知識を体系的に解説します。適切な登録支援機関との連携により、コンプライアンスを確保しながら円滑な外国人材の受入れが可能となり、これからの人材戦略に大きく貢献するでしょう。
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登録支援機関とは

登録支援機関は、特定技能制度において1号特定技能外国人への支援計画の実施を受入れ企業から依頼される機関です。出入国在留管理庁への届出と登録を経て、法令に基づく支援業務を行っています。企業が自社で義務的支援を実施することが難しい場合、登録支援機関への委託により、適切な支援体制を確保できます。
参考:出入国在留管理庁 1号特定技能外国人支援・登録支援機関について
登録支援機関の定義と法的根拠
登録支援機関は、入管法に基づき出入国在留管理庁に登録された法人または個人を指します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 法的根拠 | 出入国管理及び難民認定法第19条の23 |
| 登録要件 | 支援責任者の選任、支援体制の整備 |
| 登録の有効期間 | 5年間(更新可能) |
| 主な役割 | 1号特定技能外国人への支援計画の実施 |
| 報告義務 | 四半期ごとの支援実施状況の報告書の提出 |
登録には一定の要件を満たす必要があって、違反があれば登録の取消しや罰則の対象となります。
登録支援機関の種類と分類
登録支援機関には、人材紹介会社、行政書士法人、協同組合など様々な事業所が存在します。
| 機関の種類 | 特徴 | 主なサービス |
|---|---|---|
| 人材紹介会社系 | 採用から支援まで一貫対応 | 人材紹介、ビザ申請、生活支援 |
| 行政書士法人系 | 在留資格手続きに強み | 申請書類作成、法令相談、定期報告 |
| 協同組合系 | 技能実習からの移行に対応 | 技能実習生の特定技能への移行支援 |
| 監理団体系 | 技能実習の経験を活用 | 実習生の転職支援、企業への助言 |
| 専門サービス系 | 特定分野に特化 | 業界別の専門的なサポート |
それぞれの機関は得意分野や対応可能な言語、サービス内容が異なるため、自社のニーズに応じた選択が重要となります。
登録支援機関になるための要件
登録支援機関として認められるには、以下の要件を全部満たす必要があります。
- 支援責任者と支援担当者の選任
- 外国人が理解できる言語での対応体制
- 1年以内に責任者等が退職していないこと
- 支援費用を外国人に負担させないこと
- 5年以内に労働法令違反がないこと
登録申請は外国人技能実習機構ではなく出入国在留管理庁に対して行われ、審査を経て登録証が交付されます。登録後も定期的な報告義務があり、適切な運用が求められています。
特定技能制度の仕組み

特定技能制度は、人材確保が困難な分野において外国人材を受け入れる制度として2019年に創設されました。在留資格「特定技能」には1号と2号があり、それぞれ異なる要件と特徴を有しています。登録支援機関は、この制度における1号特定技能外国人への支援実施において、企業側の重要な役割を担っています。
参考:出入国在留管理庁 外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組
特定技能制度の概要
特定技能制度は、国内人材の確保が困難な産業分野で即戦力となる外国人を受け入れる仕組みです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度開始 | 2019年4月 |
| 目的 | 人手不足分野での外国人労働者の受入れ |
| 対象者 | 一定の技能と日本語能力を有する外国人 |
| 受入れ方法 | 直接雇用(一部分野で派遣可能) |
| 転職 | 同一分野内での転職が可能 |
| 支援の義務 | 1号は義務的支援が必要、2号は不要 |
技能実習制度との大きな違いは、転職の自由度と支援体制にあります。また、日本人と同等の労働条件を確保することも重要な要件です。
1号特定技能と2号特定技能の違い
1号と2号では、在留期間や家族帯同の可否など、多くの点で違いがあります。
| 比較項目 | 1号特定技能 | 2号特定技能 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 通算5年まで | 更新回数制限なし |
| 技能水準 | 相当程度の知識・経験 | 熟練した技能 |
| 日本語能力 | 日常会話レベル(N4以上) | 要件なし |
| 家族帯同 | 不可 | 配偶者・子の帯同可能 |
| 支援計画 | 策定・実施が義務 | 不要 |
| 対象分野 | 16分野 | 11分野 |
| 報酬 | 日本人と同等以上 | 日本人と同等以上 |
登録支援機関による支援は1号のみが対象となり、2号では企業が独自にサポートを行います。

受入れ可能な16分野の特徴
特定技能1号で外国人を受け入れられる分野は、以下の16分野に限定されています。
| 分野 | 従事する業務例 | 2号移行可否 |
|---|---|---|
| 介護 | 身体介護、生活援助等 | 不可 |
| ビルクリーニング | 建築物内部の清掃 | 可能 |
| 工業製品製造業 | 製造、検査、保全等 | |
| 建設 | 型枠、左官、配管等 | |
| 造船・舶用工業 | 溶接、塗装、組立等 | |
| 自動車整備 | 点検、整備、検査等 | |
| 航空 | 空港グランドハンドリング、保安検査等 | |
| 宿泊 | フロント、企画、接客等 | |
| 農業 | 耕種農業、畜産農業 | |
| 漁業 | 漁労、養殖 | |
| 飲食料品製造業 | 製造、加工、安全衛生 | |
| 外食業 | 調理、接客、店舗管理 | |
| 自動車運送業 | トラック、バス、タクシー運転 | 不可 |
| 鉄道 | 運転、保守、駅業務等 | |
| 林業 | 造林、伐採、搬出等 | |
| 木材産業 | 製材、合板製造等 |
各分野で必要な試験や要件が異なるため、事前の確認が必要です。
制度における各機関の役割
特定技能制度では、複数の機関がそれぞれの役割を担っています。
| 機関名 | 主な役割 |
|---|---|
| 出入国在留管理庁 | 制度の運用、在留資格の審査・許可 |
| 登録支援機関 | 1号外国人への支援計画の実施 |
| 受入れ企業 | 雇用契約締結、労働条件の確保 |
| 送出し機関 | 現地での人材募集、事前教育 |
| 業所管省庁 | 分野別の基準策定、協議会運営 |
| 公的機関 | 制度の広報、相談対応 |
これらの機関が連携することで、外国人材の円滑な受入れと適切な就労環境が実現されています。

登録支援機関の支援内容

登録支援機関は、1号特定技能外国人が日本で安定的に就労できるよう、入国前から帰国まで一貫した支援を提供します。支援計画に基づく義務的支援の実施により、外国人材の職業生活と社会生活の両面をサポートします。企業は支援内容を理解し、適切な委託先を選定することが重要です。
事前ガイダンスと生活オリエンテーション
入国前の事前ガイダンスと入国後の生活オリエンテーションは、外国人材の円滑な生活開始に不可欠です。
| 支援項目 | 実施時期 | 内容 | 実施方法 |
|---|---|---|---|
| 事前ガイダンス | 入国前 | 労働条件 活動内容 入国手続きの説明 | 対面またはオンライン(3時間以上) |
| 生活オリエンテーション | 入国後すぐ | 日本のルール マナー 生活情報の提供 | 対面またはオンライン(8時間以上) |
両支援とも本人が理解できる言語で実施し、特に事前ガイダンスでは保証金徴収の有無や契約内容の理解を確認してもらう必要があります。これらの支援により、外国人材の不安を解消し、日本での生活をスムーズに開始できます。
住居確保と生活支援の詳細
住居の確保から日常生活に必要な各種手続きまで、幅広い生活支援を行います。
- 住居の確保(社宅の提供または物件探しの補助)
- 銀行口座開設の同行と手続き補助
- 携帯電話契約のサポート
- ライフライン(電気・ガス・水道)の契約支援
- 住民登録や社会保障(国民健康保険等)の加入手続き
- 空港や駅からの送迎サービス
連帯保証人が必要な場合は、登録支援機関が保証人となることも可能です。これらの支援により、外国人材は安心して日本での生活を始められます。
日本語学習と職業生活上の支援
日本語能力の向上と職場での円滑なコミュニケーションを支援する体制を整えています。
| 支援分野 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 日本語学習機会 | 日本語教室の案内 学習教材の提供 オンライン講座の紹介 |
| 職場での相談対応 | 上司や同僚とのトラブル相談 労働条件の確認 |
| 苦情・相談窓口 | 母国語での相談窓口設置 24時間対応体制 |
| 行政手続き支援 | 在留資格変更・更新 各種届出の補助 |
| 医療機関対応 | 通院時の同行 医療通訳の手配 |
| 有給休暇取得支援 | 取得方法の説明 申請サポート |
定期的な日本語レベルチェックを実施し、個々のニーズに応じた学習支援を提供しています。地域の行事への参加も促進し、地域住民との交流機会も創出します。
定期的な面談と相談対応
登録支援機関は、外国人材の状況を定期的に確認し、問題の早期発見と解決に努めます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施頻度 | 3か月に1回以上 |
| 面談方法 | 対面またはオンライン |
| 確認事項 | 労働条件、職場環境、生活状況、悩みの有無 |
| 使用言語 | 本人が十分理解できる言語 |
| 記録作成 | 面談内容の記録と保管 |
| 相談対応 | 気軽に相談できる体制の構築 |
面談で把握した問題については、企業と連絡を取り合い迅速に対応します。また、外国人材からの相談には都合に合わせて随時対応し、必要に応じて行政機関への通報も行います。
登録支援機関への委託メリット

企業が登録支援機関に支援業務を委託することで、専門的な知識と経験を活用した適切な外国人材の受入れが可能となります。法令遵守の確保から業務効率化まで、多岐にわたるメリットがあります。自社での支援実施と比較して、コスト面でも時間面でも大きな利点を得られるのが特徴です。
コンプライアンス面でのメリット
登録支援機関への委託により、複雑な法令要件を確実に満たし、違反リスクを最小化できます。
| コンプライアンス項目 | 具体的なメリット |
|---|---|
| 法令遵守の確保 | 入管法、労働法令等の最新情報に基づく対応 |
| 支援計画の適正実施 | 義務的支援の漏れなき実施と記録管理 |
| 定期報告の代行 | 四半期ごとの出入国在留管理庁への報告 |
| 監督官庁への対応 | 行政機関の監査時の資料準備と対応支援 |
| リスク管理 | 不法就労や人権侵害等のリスク回避 |
| 事由書の作成 | 各種申請に必要な理由書の作成支援 |
専門知識を持つ登録支援機関が法令改正にも迅速に対応し、企業の法的リスクを軽減します。

業務効率化と専門性の活用
登録支援機関の専門性により、企業は本来の事業活動に集中でき、業務効率が大幅に向上します。
- 在留資格申請書類の作成と提出
- 多言語での外国人材とのコミュニケーション
- 生活支援に関する各種手続きの代行
- トラブル発生時の迅速な対応
- 支援実施記録の作成と管理
- 求職活動時のサポート(転職希望者向け)
特に中小企業では、専任担当者の配置が困難な場合が多く、登録支援機関の利用により人的リソースの最適化が実現できます。今後の人材戦略を考える上でも重要な選択肢となります。
外国人材の定着率向上効果
適切な支援により外国人材の満足度が向上し、長期的な雇用関係の構築が可能となります。
| 定着率向上の要因 | 効果 |
|---|---|
| 母国語での相談対応 | ストレスの軽減、早期の問題解決 |
| 生活面の充実したサポート | 日本での生活への適応促進 |
| キャリア相談の実施 | モチベーション維持と成長支援 |
| 地域社会との交流促進 | 孤立感の解消と帰属意識の向上 |
| 定期的なフォローアップ | 問題の早期発見と予防 |
| 当該外国人のニーズ把握 | 個別対応による満足度向上 |
登録支援機関の専門的な支援により、外国人材の定着率は自社支援と比較して20%から30%向上するケースも報告されています。
自社支援との比較
自社で支援を実施する場合と登録支援機関に委託する場合の比較を整理します。
| 比較項目 | 自社支援 | 登録支援機関への委託 |
|---|---|---|
| 初期投資 | 体制構築に多額の費用 | 委託費のみ |
| 人員配置 | 専任担当者が必要 | 不要 |
| 多言語対応 | 通訳の確保が困難 | 複数言語に対応可能 |
| 専門知識 | 習得に時間がかかる | 即座に活用可能 |
| 24時間対応 | 実現困難 | 対応可能な機関多数 |
| 法令改正対応 | 都度学習が必要 | 自動的に対応 |
| FAQ対応 | マニュアル作成が必要 | 豊富な経験に基づく対応 |
中小企業や初めて外国人材を受け入れる企業にとって、登録支援機関への委託は合理的な選択となります。ほかの選択肢と比較しても、最も効率的な方法といえます。
登録支援機関の選び方

信頼できる登録支援機関を選定することは、特定技能外国人の受入れ成功の鍵となります。費用だけでなく、実績や専門性、サポート体制など多角的な視点から評価することが重要です。適切な選定により、長期的なパートナーシップを構築し、安定的な外国人材の活用が実現できます。
選定時の重要チェックポイント
登録支援機関を選ぶ際は、以下のポイントを必ず確認し、自社に最適な機関を見極めます。
| チェック項目 | 確認内容 | 重要度 |
|---|---|---|
| 登録番号と有効期限 | 出入国在留管理庁での登録状況 | 必須 |
| 対応可能言語 | ベトナム語、インドネシア語等の対応 | 高 |
| 支援実績 | 支援人数、定着率、トラブル対応事例 | 高 |
| 対応可能分野 | 自社の業種に対する専門知識 | 高 |
| 所在地 | 緊急時の対応や定期面談の利便性 | 中 |
| 担当者の専門性 | 在留資格や労働法令の知識レベル | 高 |
| 対応の良い評判 | 口コミや評価の確認 | 中 |
特に対応言語と業界知識は、外国人材への適切な支援を行う上で不可欠な要素となります。分かりやすく説明してくれる機関を選ぶことが重要です。
費用体系と料金相場の理解
登録支援機関の費用は、サービス内容や地域により大きく異なるため、詳細な確認が必要です。
| 費用項目 | 料金相場(月額) | 備考 |
|---|---|---|
| 基本支援費用 | 2万円~3万円/人 | 義務的支援の実施 |
| 初期費用 | 5万円~10万円/人 | 入国時の各種手続き |
| 通訳・翻訳費 | 5千円~1万円/回 | 必要時のみ発生 |
| 在留資格更新 | 3万円~5万円/回 | 年1回程度 |
| 緊急対応費 | 実費または定額 | 24時間対応の場合 |
| 追加支援費用 | 額は要相談 | 特別な請求がある場合 |
安価な機関は支援の質が低い可能性があるため、費用対効果を慎重に検討することが重要です。
実績と専門分野の確認方法
登録支援機関の実績と専門性を確認することで、質の高い支援を受けられます。
- 設立年数と登録からの経過期間
- 累計支援人数と現在の支援人数
- 主要取引先企業の業種と規模
- 外国人材の出身国別の支援実績
- 定着率や満足度調査の結果
- 支援実施の要領やマニュアルの整備状況
出入国在留管理庁のホームページで登録支援機関一覧を確認し、複数の機関を比較検討することが推奨されます。
参考:出入国在留管理庁 登録支援機関(Registered Support Organization)
契約時の注意事項
契約締結前に、契約内容を詳細に確認し、後のトラブルを防ぐことが重要です。契約書を閉じる前に必ず全項目を確認しましょう。
| 確認項目 | 注意点 |
|---|---|
| 支援範囲の明確化 | 義務的支援以外のサービス内容 |
| 責任の所在 | トラブル時の対応責任と補償 |
| 契約期間と更新 | 自動更新条項の有無、解約条件 |
| 追加費用の発生条件 | 想定外の費用が発生するケース |
| 情報管理体制 | 個人情報の取扱いとセキュリティ |
| 報告体制 | 定期報告の頻度と内容 |
| 入学支援 | 子女の学校入学手続き支援の有無 |
契約書の内容で不明な点があれば、必ず事前に確認し、必要に応じて弁護士等の専門家に相談することも検討します。

まとめ|特定技能の登録支援機関活用のポイント

本記事では、特定技能制度における登録支援機関の役割、支援内容、委託のメリット、選び方について詳しく解説しました。登録支援機関は、1号特定技能外国人の受入れにおいて、企業の法令遵守を確保しながら、外国人材の職業生活と日常生活を包括的にサポートする重要な存在です。適切な登録支援機関との連携により、企業は本来の事業活動に専念でき、外国人材は安心して日本で就労できる環境が整います。今後、外国人雇用を検討される際は、自社のニーズに合った信頼できる登録支援機関を選定し、長期的なパートナーシップを構築することが成功への第一歩となるでしょう。
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