林業の人手不足を解消!特定技能フィリピン人採用と定着の完全ガイド

特定技能 林業

日本の林業産業では、近年、労働力の確保がますます難しくなっています。高齢化の進行や新規就業者の減少により、森林の整備や素材生産を担う人材の不足が深刻化しており、持続的な森林資源の活用に支障をきたす状況です。

このような課題を背景に作られた在留制度が、「特定技能」です。制度の導入により、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が、育林や伐採、搬出などの現場作業に従事することが可能になりました。

本記事はフィリピン人材の採用を計画する企業の担当者様向けに、特定技能「林業分野」の制度の概要、必要な技能要件、受け入れフローの要点、そして人材の定着を促進する具体的な支援策をわかりやすく整理して説明します

特定技能制度を深く理解し、即戦力となる人材を確保・定着させて長期的に事業へ貢献してもらうための採用戦略立脚にお役立てください。

\ 送り出し機関紹介サービス /

目次

「林業分野」特定技能の制度概要と受け入れ要件

森林で調査を行う作業服姿の男性。ヘルメットと手袋を着用し、木を確認しながら記録する林業従事者の様子。

特定技能制度は、生産性向上や国内人材確保に取り組んでもなお人材が不足する産業分野において、一定の専門性や技能を有する外国人を受け入れることを目的としています。林業分野は、介護や建設、製造業などと並ぶ16の特定産業分野の一つとなっており、制度の運用に関しては、農林水産省の林野庁が主体となり方針を定めています。

在留資格には「特定技能1号」と「特定技能2号」があり、1号は一定の知識や経験を持つ外国人向け、2号は熟練技能者向けに区分されています。

現時点(2025年10月)において林業分野で受け入れ対象になっているのは、1号のみです。特定技能1号の在留期間は通算で5年間となっており、長期的な人材戦略を計画する企業にとって重要な基準となります。

採用時には技能水準、日本語能力、定着意欲などを徹底的に評価し、5年間での投資回収を見据えた計画が求められます。

業務範囲

林野庁の定める運用方針に基づき、林業分野で特定技能外国人が従事できる業務は、「森林において樹木を育てて丸太を生産し、苗木を植える等の作業」と定められています。

想定されている主な業務と、関連する業務は以下の通りです。

主な業務苗木を植え、樹木を育てる作業
丸太を生産する作業 等
関連業務生産した丸太を使用して行う加工等の作業
丸太の生産に伴う副産物(樹皮、つる等)を使用して行う製造等の作業
機器・装置・工具等の保守管理
資材の管理・運搬
事業所等の清掃作業

林業に関連するこうした業務に外国人材を従事させることは構いませんが、関連業務「のみ」を主に行わせることはできません。

参考:特定技能1号の各分野の仕事内容(Job Description) | 出入国在留管理庁

林業特定技能協議会の役割と加入義務

特定技能制度の適正運用を確保するため、外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、「林業特定技能協議会」への加入が受け入れ要件となります

この協議会は林野庁が事務局を担い、特定技能外国人の適正な受入れの推進、人権上の問題や不正行為の再発防止、優良事例の周知や法令遵守の啓発などを行う重要な機関です。

協議会はまた、大都市圏への人材集中を回避するための対応策の検討・調整も担います。林業事業体の多くは地方に存在するため、地域分散の方針を理解し、協議会からの運用情報を受け取ることが適正な受け入れの第一歩です。

林業特定技能協議会への加入は、在留資格申請前に済ませておかなければなりません(加入は林野庁のオンライン申請等で行います)。

参考:林業特定技能協議会|林野庁

特定技能1号を最大限に活用するための戦略

採用した特定技能外国人を即戦力として活用するには、入社後に業務関連技能や安全作業方法を習得させるOJTを計画的に実施することが重要です。教育計画を策定し、能力向上を支援する必要があります。

さらに、5年間という期間内で定着と貢献度を維持するため、モチベーション管理も不可欠です。家族のために働くという強い動機付けを持つ特定技能外国人に対して、雇用契約の適切性や報酬の日本人同等以上の確保、評価や昇給の機会を透明性のある方法で提供することが求められます。

参考:林業分野における外国人材の受入れ|林野庁

定着を促進するための義務的支援

土台に乗った人型を支えている手

特定技能1号外国人を受け入れる企業には、入管法に基づき「支援計画」を作成し、計画に沿った支援を実施する義務があります。これは単に手続き上の要件ではなく、職業生活・日常生活・社会生活を支えることで外国人の定着を高め、事業の継続性を確保するための実務的な基盤です

支援は「義務的支援」と呼ばれ、10項目で構成されています。企業が自社で対応できない場合は、国の登録を受けた登録支援機関に全部または一部を委託できます。委託にあたっては、支援の質(外国人が理解できる言語で対応できるか等)を厳しく確認することが重要です。

義務的支援10項目一覧
1. 事前ガイダンス労働条件や活動内容、入国手続き等を理解できる言語で説明します。
雇用契約締結後から在留資格申請前に実施するのが実務上の流れです。
2. 出入国時の送迎入国時および帰国時に空港等から事業所または住居までの送り迎えを行います。
3. 住居確保・生活契約支援住居の手配、銀行口座開設やライフライン契約の補助等を行います。
居室の基準は運用上の原則があり、原則として居室は1人当たり7.5㎡以上を基準とします(技能実習から移行する等の例外規定が関係する場合があります)。
なお、社宅や住居に関して企業が不当に利益を得ることや、過度に高い家賃を設定することは避ける必要があります。
4. 生活オリエンテーションゴミ分別や公共マナー、交通ルールなど、日本での生活に必要な基礎情報を提供します。
5. 公的手続き等への同行住民票登録、健康保険・年金等の手続きへの同行や書類作成の支援を行います。
6. 日本語学習の機会提供日本語教室の案内や教材情報の提供など、日本語能力向上の支援を実施します。
7. 相談・苦情対応職場や生活上の相談・苦情を外国人が理解できる言語で受け、解決に向けて対応します。
8. 地域交流の促進地域行事や自治会参加の支援等を通じ、孤立防止と地域社会への定着を図ります。
9. 転職支援(解雇等の場合)受入側の事情で雇用契約を解除する際は、求職活動のための有給休暇付与や必要な行政手続きの案内を行います。
10. 定期面談と通報支援責任者等が原則3か月に1回以上、外国人本人や上司と面談を行い、問題があれば適切に対応・必要時は関係行政機関へ通報します。
これらの面談や支援の実施記録は保存・届出の対象となります。

登録支援機関を活用するポイント

企業が自社で10項目すべての支援を行うことが困難な場合、国の登録を受けた登録支援機関に支援業務の全部または一部を委託できます

委託先を選ぶ際は、以下の点を重視してください。

  • 外国人が理解できる言語で対応できる能力があること
  • 公的手続きへの同行や医療機関との連携実績があること
  • 林業現場は地方が多いため、診療所や役所のサポートを現地で提供できること
  • 委託契約で業務範囲・成果指標・報告頻度を明確に定めること
  • 定期的に業務の実施状況をモニタリングすること

特に林業は地方現場が多く、診療所や役所のサポートが現地で必要になる場合が少なくありません。支援の質を担保するために、委託契約で業務範囲・成果指標・報告頻度を明確に定め、定期的にモニタリングすることをお勧めします。

実務上の留意点

  • 支援計画は形式だけで終わらせないこと。現場で実行し、記録を残すことが法令遵守上も重要です。
  • 登録支援機関に委託する際は、言語対応力・公的手続きの伴走経験・医療機関との連携実績を確認してください。
  • 住居については「適正な居住環境の確保」と「家賃設定の適正化」を徹底してください。社宅提供や連帯保証人となる場合の責務も事前に明確にしましょう。
  • 定期面談の結果は四半期ごとの届出等と連動する場合があります。担当者を決め、3か月ごとの面談を運用フローに組み込んでください。
  • 義務を怠ると行政的な指導や認定への影響が生じ得ます。とはいえ、実務的な疑問点は早めに専門機関に相談することを推奨します。

特定技能人材の定着は、雇用条件の適正化と生活面の安心提供の両輪で成立します。制度上の義務を満たすだけでなく、現場の実情に即した「手厚い支援計画」を作り、実行することが、長期的な人材定着と事業成長につながります。

参考:特定技能外国人を受け入れる際のポイント|出入国在留管理庁

特定技能「林業」で求められる技能水準と試験

伐採作業で使用されるチェーンソーの刃先。切り倒された木の幹にあてられた状態を写した林業現場の写真。

特定技能1号の在留資格を取得するには、技能水準と日本語能力の双方で定められた基準を満たす必要があります。林業分野では「林業技能測定試験(学科+実技)」と「日本語能力の証明」が要件となります

技能水準:林業技能測定試験

特定技能1号(林業)の在留資格を得るためには、一般社団法人林業技能向上センターなどが実施主体を務める林業技能測定試験に合格することが必須となります

受験資格原則18歳以上であること
現場の安全確保のための「チェーンソーによる伐木等特別教育」など所定の安全教育を受講済みであること
試験内容学科試験:コンピュータ・ベースド・テスティング(CBT)方式、またはペーパーテスト方式で行われます。
実技試験:林業分野における作業試験(チェーンソーを使用した伐木作業など)により、業務上必要となる技能水準に達しているか否かを判断します。
試験水準林業職種の技能検定3級と同程度。
林業についての基本的な知識・技能を有し、現場の状況に応じて作業手順を自ら考え、育林や素材生産等の作業に即戦力として従事するために必要な能力を有しているかが問われる。

林業作業は危険度が高いため、安全確保の観点から、受験資格として18歳以上であることに加え、労働安全衛生法令に基づくチェーンソーによる伐木等特別教育の要件を満たす講習を受講していることが求められます。

日本語能力水準の要件:国際交流基金日本語基礎テストまたはN4

特定技能1号では、生活や業務に必要な基礎的な日本語能力を有することが求められています。この水準を満たす証明として、以下の要件が求められます。

日本語能力水準
  • 日本語能力試験(JLPT):N4以上
  • または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic):A2以上

これらは、基礎的な日本語を理解し、一定の日常生活会話が可能な水準とされています。これは複雑な指示の理解や、日本人社員との円滑な意思疎通を担保するには十分ではない可能性があります。

特に、林業現場で安全に関わる指示を正確に理解するためには、N4以上のより高水準な能力が必要です。企業は、N4合格を通過点として捉え、業務に関連する専門用語や安全指導に関する日本語の追加指導を計画的に実施し、能力向上をサポートする方針が求められます。

技能実習2号からの移行:試験免除の特例

林業分野では、技能実習2号(林業職種)を良好に修了した外国人が、特定技能1号への移行を希望する場合、林業技能測定試験が免除される特例が設けられています。
この措置は、技能実習制度で一定期間(最長5年間)にわたり林業作業に従事し、安全・品質管理を含む基本的な技能を習得した人材を、即戦力として活用できるようにするためのものです

技能実習から特定技能へ移行することで、同一の受け入れ企業または同一地域内の事業体で継続的な雇用が可能になります。これは、現場の作業効率や安全意識を高い水準で維持できるという点で大きな利点です。

また、技能実習を通じて既に日本の生活様式や職場文化に適応している人材であるため、

  • 生活オリエンテーションの負担が軽減される
  • 日本語での指示理解度が高く、安全教育が行いやすい
  • 事業所や地域社会への定着率が比較的高い

といったメリットがあります。

一方で、林業分野は地方の現場が多いため、在留資格変更後の住居確保や行政手続き支援がスムーズに行えるよう、登録支援機関や自治体との連携が不可欠です。受け入れ企業は、移行者の在留資格変更の時期と雇用契約期間を慎重に調整する必要があります。

参考:林業分野における特定技能外国人材受入れの手引き|林野庁

林業分野における特定技能人材の採用フロー

青い背景の上に並べられた木製キューブに人のアイコンが描かれ、手が一つのブロックを選んでいる採用や人材選考のイメージ。

特定技能外国人を採用する流れは、主に以下の2つのルートが存在します。

  1. 海外からの採用(試験合格者)
  2. 国内在住者の採用(主に技能実習からの移行)

それぞれのルートでは企業に求められる対応も異なるため、それぞれに応じた申請フローと社内体制を整備しておきましょう。

海外からの採用

技能試験に合格した人材を海外から採用する場合の主な流れは、以下の通りです。

STEP
採用計画策定と募集

適切な採用計画を作成し、募集要項を作成する。

STEP
協議会への加入

林業特定技能協議会に加入し、適正な受入れ体制を確保する。

STEP
海外募集・選考(企業 ⇄ 送り出し機関)

送り出し機関と求人票(Job Order)をすり合わせ、候補者面接・技能確認を実施する。

STEP
内定・雇用契約締結(企業 ⇄ 候補者)

賃金は日本人同等以上を明記。費用負担の所在を明確にする。

STEP
COE(在留資格認定証明書)申請

出入国在留管理庁へ申請。審査後、交付(または補正要求)。

STEP
ビザ手続・入国

COE交付後、候補者が在外公館でビザを取得し入国(国によりOEC等の追加手続あり)

STEP
入国〜入社前準備

空港出迎え、住居確保、銀行口座・保険手続のサポート、入社オリエンテーション準備

STEP
就業開始

社会保険加入、労働条件の再確認、安全教育、OJT開始

STEP
定着支援・届出

支援実施記録の保管、必要届出(入管への報告)を行う。問題発生時は速やかに対応する。

特に気をつけたいのは、COEです。これは、日本に滞在する外国人の活動が在留資格の条件に適合しているか、事前に審査し法務大臣が証明する書類です。この証明書があることによって、在外公館でのビザ申請や日本の空港での審査が円滑に進みます。

COE申請に必要となる主要書類

  • 雇用契約書(労働条件・賃金が明記されたもの)
  • 支援計画書(入国時〜定着までの支援内容を具体化した計画)
  • 受入れ機関の情報(会社登記・事業報告など)
  • 認証事業場の証明(自動車整備分野では地方運輸局長の認証が必要)
  • 技能評価試験合格証/日本語試験の証明(該当する場合)

※実際の提出様式や補足資料等の詳細は、出入国在留管理庁の運用要領を必ず参照してください。

参考:在留資格認定証明書交付申請 | 出入国在留管理庁

国内在住者の採用

林業分野において最も戦略的かつ即戦力の確保に有効なのが、既に日本国内で技能実習2号を良好に修了した外国人を特定技能1号へ移行させる経路です

技能実習生として3年間、林業分野で実務経験を積み、技能実習2号を修了した者は、特定技能1号の技能試験および日本語試験が免除されます。

この場合、候補者の実務能力が既に確認済みであり、日本の生活や職場文化へもすでに順応しているため、即戦力として期待できる大きなメリットがあるでしょう。

その場合の主な流れは、以下の通りです。

STEP
候補者の特定

社内に在留中の外国人(技能実習2号修了者等)を確認し、受入れ意向を確認する。

STEP
適格性確認

技能・日本語の免除適用可否(技能実習2号良好修了による免除など)と認証事業場での実務履歴の有無を確認する。

STEP
協議会への加入

林業特定技能協議会に加入し、適正な受入れ体制を確保する。

STEP
内定・雇用契約締結(企業 ⇄ 候補者)

賃金条件の確認(日本人同等以上)や支援内容の合意。

STEP
在留資格変更申請準備(企業)

必要書類を準備(雇用契約書、支援計画、技能実習修了証・在留カードコピー、認証事業場証明など)

STEP
在留資格変更申請(企業 → 入管)

出入国在留管理庁へ変更許可申請を提出。審査後、許可が下りれば在留カードの変更手続きを実施。

STEP
就業開始

許可を受けてから、就業と同時に支援計画に沿った初期支援を実施。社会保険等の手続きは速やかに行う。

STEP
定着支援・記録

支援履歴を保存し、必要な届出や報告を行う。将来の2号移行に備え実務記録を整備する。

技能実習生が特定技能(1号)に移行すると、在留資格も変更になります。そのため、出入国在留管理庁へ在留資格変更申請を行う必要があります。

参考:在留資格変更許可申請 | 出入国在留管理庁

林業現場でフィリピン人材が選ばれる理由

黄色いヘルメットと手袋を着用した作業員が、森林で木の幹を触って状態を確認している林業の現場。

フィリピン人材はその国民性や文化的背景から、特定技能の様々な分野で活躍しています。林業分野で採用する際にも、以下の特長はきっと参考になるでしょう。

豊富な若年・生産年齢人口という構造的優位性

フィリピンは生産年齢人口(15〜64歳)の割合が高く、人的リソースを量的に確保しやすい構造的な利点があります。慢性的な人手不足が続いている林業分野においても、この「年齢構成上の優位性」は採用戦略を立てる上で非常に重要なポイントでしょう。

明るく協調的な国民性とチーム作業への適性

フィリピン人は一般的に、明るく親しみやすい性格を持ち、日本の組織文化に馴染みやすい協調性を持っていると評価されています。また、目上の人を敬い、礼儀正しい文化も、日本企業における上司や先輩からの指導を受け入れる姿勢を円滑にします。

安全確保のために常にチームで連携し、情報共有を行うことが重要な林業の現場においても、フィリピン人材が持つ協調性は、日本人社員との連携や、作業チームの一員としての役割を果たす上で大きな強みとなるでしょう。

家族を大切にする文化と献身的な業務姿勢

フィリピンでは家族を大切にする文化が根付いており、家族を養うために多くのフィリピン人が海外で就労しています。

これが彼らの仕事に対する強いモチベーションになり、業務に対する勤勉さという形で表れています。一般的にキツイと思われがちな業務においても、彼らは一生懸命に働く傾向が強く、現場での指導や教育も素直に受け入れることで知られています。

ただ、気をつけるべき点は指導の仕方です。フィリピンでは人前で叱責することは仕事上でも絶対のタブーとされています。指導や注意をする際には個別にするなど、企業側にも丁寧な対応が求められます。

参考:Population ages 15-64 (% of total population) – Philippines

現場の声から学ぶ!外国人材採用のメリットと企業が行うべき取り組みとは

木目の背景に「MERIT」と刻まれたビンテージ風の文字ブロックが並ぶ。利点やメリットを表現するイメージ。

外国人材の採用を成功させるためには、実際に現場で受け入れを行っている企業から得られた教訓を活かすことが極めて重要です。

林業技能向上センターが公表している事例の中から、林業分野でフィリピン人材を雇用するメリットや、彼らを活かすために企業が行うべき取り組みなどについて考察しましょう。

実例から見えるフィリピン人材受け入れの成果と現場の工夫

林業産業の持続的な発展を図るためには、基本的な知識・技能を有する外国人材の受け入れが不可欠です。

事例集ではフィリピン人を含む技能実習生56人、特定技能等で37人の外国人材が林業分野で働いていると報告されています。彼らは育林、間伐、伐採補助、素材生産や製材加工の現場で作業に従事し、日本の人手不足を支えています。

林業作業の特性から、作業現場における安全を確保した作業指導の徹底が、定着と活躍のための最重要項目の一つとして認識されています。作業にあたっては多言語対応のマニュアル作成や通訳を活用しながら、安全衛生教育やチェーンソー特別教育などを受け、現場で安全に実務ができるよう支援してます。

さらに外国人材の定着を促すために、日本語教育や生活支援の充実、また地域住民との交流を促進し、彼らが孤立しないような環境作りが行われています。

企業が注意すべき点として、外国人材は地域のネットワークを通じて、林業以外の他産業(製造業や建設業等)の実習情報や雇用条件を比較しているようです。このため、企業は、報酬の適切性や支援内容など、自社の特定技能制度の優位性を明確に示す方針が必要です。

教訓:外国人材の定着・活躍のための重要課題

事例調査からは、特定技能外国人の定着の鍵は、技能指導以上に、日本での生活基盤に関する不安解消にあることが読み取れます。

十分な言語サポートと生活支援体制が、外国人労働者の職場定着に不可欠。
現場作業前の安全衛生教育や技能講習は必須で、通訳やマニュアルの多言語化が有効。
現場の日本人従業員とのコミュニケーション促進と信頼関係の構築を積極的に行うこと。
長期雇用を目指して労働者のキャリアアップを支援し、重要な工程での役割を担わせる工夫を行う。
労働環境の改善を継続し、安全で働きやすい職場づくりを企業が推進すること。
特定技能1号の最低要件であるN4は基礎的な能力。より高水準の日本語能力こそが、即戦力化と長期的なキャリア形成を支える基盤となるため、継続的な日本語教育サポートが重要。

企業は受入れ後の支援策もセットにした上で、フィリピン人材の受入れを検討なさってください。

参考:林業分野における外国人材受入れ優良事例|林業技能向上センター

フィリピン人材受入れに必要なDMWと送り出し機関

青・赤・白の三色と太陽のデザインが特徴のフィリピン国旗が、青空の下で風にはためいている様子。

特定技能フィリピン人材の採用には、日本側の要件・手続きだけではなく、フィリピン政府側の組織(DMW/旧POEA)と、現地の送り出し機関についての理解が不可欠です。

DMWと送り出しルールの要点

フィリピンは国民の多くが海外で働いているという現状があり、労働者を保護するため、DMW(海外労働者省)という行政機関が海外への送出を厳格に管理・監督しています。そのDMWの窓口として各国に設置されているのが、MWO(移住労働者事務所)です。MWOは企業が作成した雇用契約や求人票がフィリピンの労働基準に合致しているかを認証(Verification)します。MWOの認証を経ることで、フィリピン政府から正式に採用計画が承認されます。

フィリピンではエージェントを介さない企業による直接雇用は原則禁止されており、DMW認定の送り出し機関を通じた手続きが必要となります。

そのため日本の企業がフィリピンから特定技能人材を直接雇用しようとする場合、まずはDMW認定の送り出し機関と人材募集・雇用に関する取り決めを締結し、その上でMWOへの申請手続きを行い、認証を得る必要があります

またDMWは不当な手数料徴収を禁じる通達を出しており、紹介料や手数料の取り扱いには法的なルールが適用されます。とはいえ、実務上は運用に差が出ており、企業側が想定外の費用負担や説明不足に直面するケースが散見されます。企業側は契約時に費用負担の明細を契約書で明確化してください。

送り出し機関選定の重要性

フィリピン人採用における最大の実務リスクの一つは、送り出し機関の選択です。なぜなら、一部には不当な費用請求や書類偽造、質の低い日本語教育といった悪質な運営を行う機関が存在するからです。

そうした事案は、労働者本人に深刻な被害をもたらすだけでなく、受け入れ企業にも失踪・不法就労・労務トラブルといった重大な負担を引き起こします。

したがって、送り出し機関の選定は「人が来るかどうか」だけで判断してはいけません。倫理性・透明性・法令順守を含めた総合的な適性評価が不可欠です。

採用ステップ

STEP
送り出し機関と契約

DMWに認定された現地の送り出し機関を通じて契約を締結します。

STEP
MWO による認証(Verification)

送り出し機関を通じて、求人票(Job Order)および雇用契約案をMWOに提出し、フィリピン側の基準に沿うか確認を受けます。必要があれば契約内容の修正や追加書類の提出を求められます。

STEP
候補者との雇用契約締結

MWOの認証で必要条件が満たされたことを確認したうえで、候補者と正式な雇用契約を最終確定(署名)します。実務上はこの確定をもって日本側の在留手続きを進めるのが安全です。

STEP
COE(在留資格認定証明書)の申請

日本側での在留資格申請に必要な書類を揃え、出入国在留管理庁に申請します。COE の有効期限に注意し、フィリピン側手続きを完了させた上で申請することが望ましいです。

STEP
OEC(海外就労認定証)の取得

OECはフィリピン出国時に提示が求められる証明書です。これを取得することで、合法的に出国・入国が可能となります。日本在住者でも、場合によっては OEC 取得が必要になることがあります。

日本在住のフィリピン人材を雇用する場合の注意点

すでに日本国内に在留しているフィリピン人材を特定技能として雇用する場合でも、フィリピン政府の規定に基づき、MWOによる認証手続きが原則として必要となります

これは、たとえ日本国内で在留資格の変更を行うケースでも、フィリピン政府の視点からは「海外就労扱い」となるためです。MWOを通じた認証手続きとOECの取得を怠り、外国人が一時的にフィリピンへ帰国した場合、出国時にOECの提示を求められて提示できなければ、日本への再入国が不可能になるという深刻な事態が発生する可能性があります。

受入れ企業は、この重大なリスクを理解し、日本在住者であっても、DMW認定の人材紹介会社を経由した認証手続きを確実に行う必要があります。

参考:DMW

送り出しカフェの活用

送り出しカフェ公式サイトトップ画面

DMWへの申請、送り出し機関の選定などの手続きが必要なフィリピン人材の採用を成功させるには、専門のサポート機関を利用するのが最も効率的かつ効果的です。

送り出しカフェは、フィリピン人労働者の採用を検討している日本企業を対象に、フィリピン現地の送り出し機関の紹介・仲介を行っています。

フィリピン政府のライセンスを持つ正規の送り出し機関と提携しており、年間2,000人を海外に送り出す実績を有するパートナーなど、実績豊富な機関と連携しているのが大きな特徴です

送り出しカフェ活用のメリット

メリット
信頼性のある送り出し機関の紹介

フィリピン政府公認のライセンスを持つ送り出し機関と提携しているため、違法・不透明な業者を避けられる。

人材の母集団が大きい

提携大学・職業訓練校から約7,000人規模の候補者がいるため、必要な職種に合った人材を探しやすい。

特定技能16分野に対応

介護・外食・建設など幅広い業種の求人に対応できる。

安心の日本語対応

日本人スタッフが窓口となるため、言語や文化の違いによる誤解・トラブルを減らせる。

採用から入国後までワンストップ支援

求人票作成、面接調整、ビザ・MWO申請、入国後の定着支援までトータルサポート。

手続きの負担軽減

フィリピン側で必要な複雑な申請書類や手続きを代行・支援してくれる。

日本語教育サポート

採用前から就労後まで継続的に日本語教育を行う体制があり、現場でのミスや離職リスクを軽減できる。

費用や採用リスクの低減

信頼性の低い送り出し機関を選んで失敗するリスクを減らし、スムーズな採用につながる。

送り出しカフェを活用することによって、DMWのルール確認、信頼できる送り出し機関の選定、明確な契約とスケジュール管理などを円滑に行うことができるでしょう。

\ これまでの実績はこちら /

まとめ:林業産業の持続可能性と未来のための特定技能フィリピン人採用

朝日が差し込む森林の風景。木々の間から柔らかな光が射し込み、林業の自然環境を感じさせる神秘的な森の様子。

特定技能制度は、深刻な人手不足に直面する林業産業にとって、生産の継続と技術伝承を支える重要な手段です。制度を活用することで、基礎知識や実務経験を持つ外国人材を確保し、森林資源の持続的な生産向上に寄与してもらうことが可能になります。

ただし、特定技能1号には最長5年という在留期間の制約があります。この期間を最大限に活かすには、採用時から「報酬水準」「教育計画」「定着支援」を一体で設計することが欠かせません。具体的には、日本人社員と同水準以上の報酬を確保すると同時に、業務に直結する専門教育や安全教育を計画的に実施し、短期間での戦力化を図る必要があります。

採用の成否と長期的な定着の鍵は、法令遵守と生活支援の両輪です。支援計画に基づく行政手続きへの同行、医療体制の確保、継続的な日本語教育は単なる義務ではなく、人材の労働意欲を高める投資と考えてください。また、住居や地域とのつながりを整備することで、離職リスクを下げる効果も期待できます。

特定技能人材を受け入れるための手続きは複雑で、特に中小企業にとっては自社だけで行うのは非常に困難でしょう。採用、ビザ手続き、そして定着支援の課題解決まで、専門家によるサポートが不可欠です。

私たち送り出しカフェは、特にフィリピン人材を採用するために不可欠な、信頼できる送り出し機関の紹介からビザ申請・入国手続き、日本語教育に至るまで、企業向けに一貫したサポートを提供しています

フィリピン人材の採用を検討しているのであれば、まずは一度、お気軽にご相談ください。

\ ご相談はこちらから /

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

三木 雅史(Masafumi Miki) 株式会社E-MAN会長
1973年兵庫県生まれ / 慶応義塾大学法学部法学科卒
・25歳で起業 / デジタルガレージ / 電通の孫請でシステム開発
・web通販事業を手掛ける
・2006年にオンライン英会話を日本で初めて事業化
・2019年外国人の日本語教育を簡単、安価にするため
 日本語eラーニングシステムを開発、1万人超の外国人が日々学習中

目次