フィリピン人採用の成功へ!高い英語力人材の特長とビジネス活用戦略

フィリピン人 英語

国際化の波があらゆる業界に及ぶ現在、日本企業がグローバル競争を生き抜くためには、海外人材の活用が避けて通れません。なかでも、高い英語力と順応性、そして温和で協調的な国民性を併せ持つフィリピン人材は、多くの企業から注目を集めています。

フィリピンは英語を公用語とし、英語教育の普及率も世界的に高い国です。そのため、ビジネス現場でも即戦力として活躍できるケースが多く、特にBPOや観光、教育、介護など幅広い分野で採用実績が増えています。

本記事では、こうしたフィリピン人材の英語力や文化的適応力に焦点を当て、採用を成功に導くために企業が理解すべきポイントを体系的に整理します。さらに、フィリピン人を採用するにあたって必須となるMWO申請についても、詳しく説明します。

フィリピン人採用を成功させるために、ぜひ参考になさってください。

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目次

企業がフィリピン人採用を検討するメリット

フィリピンの国旗とともに寝転んでいるフィリピン人男女

まず初めに、フィリピン人材を採用するメリットについて考えてみましょう。

フィリピン人材の採用は、単なる人手不足の解消にとどまらず、企業の国際化やサービス品質向上に寄与する戦略的な選択肢となりえます。

グローバル業務への即戦力化とサービス向上

フィリピンにはBPO(コールセンター等)産業で培われた顧客対応ノウハウが蓄積されています。英語でのオペレーション経験を持つ人材は、海外支社との連携、国際会議の運営、インバウンド対応や英語を使ったサポート業務で短期間に戦力化できることが多いでしょう

彼らは、オーストラリアやアメリカ、イギリスなど他国のネイティブと遜色なく会話を進めることが可能であり、これにより企業のグローバル対応のレベルが一気に引き上がります。

職場のダイナミクス向上と学習意欲

採用企業の多くは、フィリピン人材の高いホスピタリティや学習意欲を評価しています。彼らを採用することで、職場の雰囲気が明るく活発になったという報告も数多く寄せられています

また、日本語や専門知識を積極的に学ぶ姿勢が見られるため、研修投資に対するリターンが得やすい面があります。

社内教育リソースとしての活用

多くのフィリピン人はオンライン英会話やBPOでの指導経験があるため、社内での英語研修やカスタマー対応トレーニングの講師役を担えます。ネイティブ講師に比べてコスト面で優位なケースも多く、社内向けの実践的トレーニング資源としての価値があります。

コスト感と給与設計

フィリピン・マニラで働く人の平均月収は約11万円と、日本よりも低いのは事実です。とはいえ、日本国内でフィリピン人材を技人国や特定技能の在留資格で雇用する際には、日本人と同等以上の給与水準を提示することが義務付けられています。そのため、給与設計は必ず現行の法令や入管の運用を確認してください。

また、採用コストには渡航費、住居手当、研修費、在留手続きに係る費用などが含まれる点を見積もりに入れてください。

定着率とリスク対策

フィリピン人労働者は、後述するフィリピン政府による海外労働者保護制度(DMW)や、出稼ぎによって家族を養うという責任感の高さから、定着率が高いと報告されています。

日本企業にとって定着率が高いフィリピン人材は採用コストや教育コストの回収が見込めるため、長期的な視点で非常に的を得た投資となるでしょう

とはいえ、定着率を高めるには企業の支援体制にも大きく依存します。住居や生活サポート、日本語研修、キャリアパスの提示といった支援の整備が定着率向上に直結します。

参考:2030/40年の外国人との共生社会の実現に向けた取り組み調査・研究報告書|JICA緒方研究所

フィリピン人の英語力

手描きの人物イラストが並び、吹き出しに「We Speak English!」と書かれた英語対応を示すイメージ。

フィリピンは1898年から1946年の米国統治期に英語教育を導入し、独立後も英語を公用語の一つとして維持しています。この長期的な影響により、英語教育の基盤が整備され、現在でもビジネスレベルの英語力を持つ人材が多く育っています。

大学を中心とした高等教育では、授業や教材の多くが英語で提供され、若い世代は日常生活でも英語に触れる機会が多く、実践的な会話能力を身につけやすい環境です

国際的な英語能力指数(EF EPI)でも、フィリピンはアジア圏で上位に位置しており、特に18〜30歳の若年層はオンラインサービスや映画、アプリなどを通じて最新の英語表現や単語を習得している傾向があります。

ビジネス英語力とのギャップ

フィリピン全体の英語力は高水準ですが、企業が求めるビジネス英語力には個人差があります。教育レベルや地域によって発音や語彙、文法に差があるため、企業担当者は、TOEICや英検などの試験結果だけで判断せず、実際の会話やビジネス英語を使った体験を通じて、候補者が求めるレベルの英語力を持っているか慎重に見極めることが重要です。

参考:フィリピンEF英語能力指数 | EF日本

フィリピン人の英語力が活かせる職場の例

ヘッドセットを着けた女性オペレーターがパソコン画面を見ながら英語で顧客対応を行っている様子。

フィリピン人人材の高い英語力とホスピタリティは、グローバルなコミュニケーションや顧客対応が求められる領域で即戦力になります。ここでは、フィリピン人が即戦力として活躍が期待できる職場の具体的な例を紹介します。

IT・技術系職種

国際的な開発現場では英語が共通言語となることが多く、フィリピン人の英語力は大きな強みになります。

システム開発・運用(エンジニア、プログラマー)

ドキュメントの読み書きや海外チームとのオンライン会議、技術的な議論を英語で行える人材は、プロジェクトの効率化に貢献します。

多国籍企業の支社・ブリッジ業務

ブリッジSEやプロジェクトマネジャーとして、日本本社と海外拠点の間で言語・文化の橋渡しを担えます。文化理解を踏まえた調整力があるため、誤解の減少やスピード感の向上が期待できます。

グローバルサポート・BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)

フィリピンはBPO産業で高い実績があり、英語での顧客対応経験が豊富です。

国際コールセンター

海外の英語圏顧客(アメリカ、オーストラリア、英国など)への対応に強く、CS向上が見込めます。発音やフレーズの使い方に慣れているため、教育コストを抑えつつ高品質な対応が可能です。

バックオフィス業務チャット/メールサポート

多言語でのデータ入力、テクニカルサポートなど、英語での正確な文書作成やコミュニケーションが求められる企業でのバックオフィス業務でもその力を発揮できます。

英語教育・語学指導

フィリピン人はオンライン英会話での講師経験を持つ人が多く、教えるスキルにも長けています。

英語教育・語学指導

フィリピン人の英語教育の質とコスト効率の良さは、日本の英語学習市場で広く活用されています。オンライン英会話講師や教師として多数活躍しているのが現状で、明るい国民性と忍耐強い教え方が評価されています。また、ネイティブスピーカーと比べコスト効率が良い点も見逃せません。

企業内英語研修講師

企業は、フィリピン人社員を社内英語学習プログラムの講師として活用するプランも検討できます。日常会話やビジネスフレーズを学ぶための無料レッスンを提供することで、日本人社員の英語力底上げに貢献するでしょう。

観光・ホテル業界

インバウンド(訪日外国人客)の増加に伴い、英語による高品質な接客やサービスが求められています。

ホテル・旅館のフロント業務

チェックイン、館内案内、予約や問い合わせ対応など、外国人のお客様との会話を高いレベルで行う即戦力となります。

国際営業・インバウンド事業課

海外の旅行代理店との折衝や、外国人旅行客向けのツアー企画・営業活動など、ビジネスレベルの英語が必要な業務を任せることが可能です。

ただし、こうした職場でフィリピン人を雇い入れる場合には、それぞれの仕事に応じたビザ(在留資格)を取得しなければなりません。

参考:外国人の方を雇い入れる際には、就労が認められるかどうかを確認してください。|厚生労働省

ビジネスシーンで知るべきフィリピン英語の特長

英語のアルファベットが口から飛び出すように描かれた男性。英会話や発音スキルを象徴するイメージ。

フィリピン英語は、基本的にアメリカ英語(General American)の発音パターンを踏襲しており、r音を強く発音する傾向があります。しかし、タガログ語などの固有言語の影響が混ざることで、ビジネスの現場で誤解を招くこともあります。企業はこれらの特徴を理解しておくことで、フィリピン人社員との円滑なコミュニケーション環境を整えやすくなります。

アクセント・リズムの特長

フィリピン英語では、単語のアクセント(強勢)の位置がアメリカ英語やイギリス英語と異なることがあります。例えば「wedding」「married」「garlic」「ginger」などの単語では、標準英語では第一音節に強勢が置かれるところ、フィリピン英語では第二音節に置かれることがあります。また「yesterday」のように第三音節に第一強勢が置かれることもあります。

リズムの面では、ネイティブ英語話者が強勢の間隔を単位に話す「強勢拍」に対して、フィリピン英語は音節がほぼ等間隔に現れる「音節拍」のリズムで話されます。そのため、話が単調に聞こえ、強調したい単語の意図が日本人や他のネイティブに伝わりにくい場合があります。

発音の注意点

一部の非標準発音として、以下のような傾向が見られます。採用選考の際には、候補者がビジネス英語で十分なレベルにあるか慎重に確認する必要があります

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音声標準英語フィリピン英語での傾向実務上の留意点
/f/f破裂音の [p] に変化することがある
(例: Philippines → Pilipins)
専門用語や固有名詞では文脈で確認・復唱する
/z/z無声摩擦音 [s] に変化することがある
(例: Is → Issu)
否定の表現や重要な単語の聞き取りに注意
/th/θ / ð[t] や [d] の歯槽閉鎖音に変化
(例: That → Dat、Thanks → Tanks)
感謝や指示を出す際は簡潔な表現を検討
リズム強勢拍音節拍(等間隔)重要な指示はまとめて簡潔に伝える

フィリピン英語はアメリカ英語を基盤としつつ、独自の音声的特徴やリズムがあります。これらの特長は日本のビジネスシーンにおいては大きな問題とはならない一方で、英語教師としてレッスンを担当させる際には、アクセントなどを事前にチェックする必要があるでしょう。

参考:English Pronunciation for Filipino Speakers | BoldVoice

採用企業が理解すべきフィリピン人との円滑なコミュニケーション法

青い背景に、手が白い吹き出し型のボードを持ち上げている。英会話やコミュニケーションの象徴イメージ。

フィリピン人社員を受け入れる企業は、単に英語力だけでなく、異文化理解の絶対的な必要性を認識しなければなりません。フィリピン人は一般に明るく社交的で、高い学習意欲を持つ特長がありますが、日本の文化やビジネスの「やり方」をそのまま押し通すようなコミュニケーションでは、採用後の定着を実現させるのは難しいかもしれません

例えば文化的な違いとして、フィリピン人は「時間」に対する感覚が日本人と異なるということはよく知られています。もちろん、仕事の上では時間厳守がフィリピンでも一般的ですが、業務管理においては柔軟な対応策を講じる場面も出てくるでしょう。

また、対立を回避する文化的な特徴も強く見られます。フィリピンの文化では、面と向かって「No」や「できません」と言わない傾向が強いため、業務上の問題や懸念点が日本人上司に伝わりにくいことがあり得ます。企業は、フィリピン人社員が安心して意見を話せる環境を整える必要があるでしょう。そしてもちろんこうした取り組みはフィリピン人だけではなく、企業全体にとってもプラスとなるはずです。

また、フィリピンではビジネスシーンにおいても人前で叱責することは絶対のタブーとされています。そのため、助言や注意を与える際には必ず個別で対応するなどの配慮も求められます。

実務で使えるコミュニケーション対策

以下は採用担当者・現場管理者が即実行できる具体策です。

  • 重要会議などの際には事前にアジェンダを共有し、開始15分前にリマインドを送る。
  • コアタイム+フレックス制の導入で、通勤事情や家族都合に配慮する。
  • 問題指摘は原則として個別面談で行う(公開叱責は避ける)。
  • 指摘は具体例に基づき、改善アクションをセットで伝える。
  • フィリピン人材向けに日本語の基礎研修と業務用語集を用意する。
  • 日本人社員向けにフィリピン英語の特徴と文化マナーの研修を行う。
  • 入社初期はバディ制度やメンターを設定し、日常的な相談窓口を明確にする。

こうした対策はフィリピン人のみならず、日本人社員間のコミュニケーションを円滑にするのにも役立ちます。実際、フィリピン人の採用をきっかけに、社内の風通しがより良くなったと報告している企業も少なくありません。フィリピン人スタッフへのコミュニケーション対策は、企業全体にとってもメリットをもたらすということをぜひ覚えておいてください

参考:Filipino – Communication|Cultural Atlas

フィリピン人採用にまつわる日本国内の法規制と対策

日本の在留資格認定証明書の一部。外国人採用や就労ビザ申請に関する行政手続を示す書類イメージ。

フィリピン人を含む海外人材を日本で雇用する際、企業担当者は出入国在留管理庁および厚生労働省の定める在留資格制度を正確に理解し、遵守する必要があります。在留資格によって、その人が日本で働くことができる業務範囲や労働時間に制限があるため、採用活動の際に詳細な確認が不可欠です。

就労活動に制限がない在留資格

「永住者」「日本人の配偶者等」「定住者」「永住者の配偶者等」といった在留資格を持つフィリピン人は、日本国内での就労に制限がありません。職種や労働時間に縛られることなく働くことが可能で、日本人社員と同様の雇用形態で対応できます。

在留資格の範囲内で就労が認められる在留資格

多くのフィリピン人人材が取得する可能性が高いのが「技術・人文知識・国際業務(技人国)」や「特定技能」です。これらの資格は、専門的な知識や技能を必要とする業務に限定されます。企業は、採用するフィリピン人の業務内容が在留資格の活動範囲内であるかを事前に確認し、必要に応じて在留資格認定証明書(COE)の交付申請などを行う必要があります。

原則として就労が認められない在留資格

「留学」や「家族滞在」の在留資格を持つ人は、原則として就労が認められていません。しかし、地方出入国在留管理局で「資格外活動の許可」を受けることで、アルバイトなどの就労活動が可能です。

留学生の場合、資格外活動の許可を得れば、1週間に28時間まで、長期休業期間中は1日8時間まで働けます。企業は、採用時に資格外活動許可証や許可書を確認し、労働時間の制限を厳守する必要があります。これにより、不法就労助長罪に問われるリスクを防ぐことができます。

外国人採用における在留資格の確認チェックリスト

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在留資格の区分主な例就労制限企業が確認すべき事項
就労活動に制限なし永住者
日本人の配偶者等
定住者
なし
(職種不問)
在留カードの種別を確認
在留資格の範囲内で就労可技人国
特定技能
制限あり
(専門分野に限定)
職務内容が在留資格の活動範囲内か、大学での専攻や英語教育が関連するか確認
原則として就労不可留学
家族滞在
あり
(資格外活動許可と週28時間の制限)
資格外活動許可書の有無と労働時間の厳守

フィリピン人社員を受け入れる企業は、在留資格ごとの就労制限を正確に理解し、確認・管理することが採用成功の第一歩です。資格に応じた業務範囲を把握することで、不法就労のリスクを避けつつ、適切な働き方を提供できます。また、資格外活動の許可や労働時間制限など細かい規定にも配慮することが、円滑な雇用関係を築く上で不可欠です。

参考:外国人の雇用 |厚生労働省

フィリピン人の英語力を活用している企業の事例

スーツ姿のビジネスパーソンが「CASE」と書かれた検索ボックスに文字を書く。事例検索や調査を示すイメージ。

フィリピン人人材の採用は、様々な業界で進められています。彼らの卓越した英語力は、特にインバウンド対応やグローバルな連携が必要な業務において、日本企業に競争優位性をもたらしています。

実際にフィリピン人を雇用している企業の事例から、彼らを活かすための企業の取り組みなどについて考えてみましょう。

花巻温泉株式会社の事例

東北地方に位置する花巻温泉株式会社は、観光業界の深刻な人材不足を背景に、運営の危機回避と、約2割に達する外国人旅行客への対応強化を目的に、フィリピン人の採用に踏み切りました。

採用にあたって同社は、受け入れ後の生活基盤を早期に整えることに注力しています。具体的には、敷地内にあった社宅を大規模にリフォームし、水回りや内装を更新、家具・家電を備え付けることで入居直後の負担を軽減しました。現時点で離職者ゼロという実績を生み出しています。さらに企業は温泉の無料利用やレクリエーションなどの福利厚生も提供していますが、外国人社員が働き続ける真の要因は「異国の地で働く覚悟」や、どんな仕事にも積極的に取り組む真摯な姿勢に依る部分が大きいかもしれないと述べています。

2023年に入社したフィリピン人のカグラダ イライジャー アトゥパン氏は、日本語学校への留学を経て正社員となり、現在はインバウンド事業課で海外ツアー主催者との折衝業務を担当しています。高い英語力を駆使し、宿泊に関する問い合わせやイレギュラーな要望にチームで対応しています。

外国語対応力の強化に加え、英語が堪能なフィリピン人社員の在籍が、インバウンドツアーを扱う旅行会社にとって安心材料となり、結果としてツアーの申込が増加するという予想外の相乗効果が得られました。また、日本人社員の業務負担も軽減されたそうです。

同社は、外国人客対応の全てを外国籍社員に任せきりにしないよう注意を払いながら、今後も採用を継続し、外国籍社員自身が相談窓口となって働きやすい環境を構築していくことを目指しています。

企業が学べる教訓

花巻温泉株式会社の事例から、以下の教訓を学ぶことができます。

生活基盤の整備は最優先事項

地方や国外からの優秀な人材を確保・定着させるためには、社宅の提供やリフォームなど、初期の生活コスト(家賃など)の負担を軽減する施策が不可欠である。

言語以上のビジネス効果

高い英語力を持つ同国籍の社員は、直接的な言語対応だけでなく、海外の取引先(旅行会社など)からの信頼獲得につながり、ビジネス拡大という間接的な成果をもたらす。

定着は個人の覚悟に依存

企業の福利厚生や支援も重要だが、最終的な定着は、異文化の地でキャリアを築くという社員本人の強い意志や真摯な学習意欲(日本語習得への意欲など)に大きく支えられていることを理解すべきである。

業務分散の重要性

英語対応を外国籍社員に一任しすぎず、日本人社員との協働体制を築くことが、日本人社員の負担軽減と、外国人社員の孤立を防ぐために重要である。

参考:高度外国人活躍事例集|東北高度外国人材活躍推進コンソーシアム事業

フィリピン人受入れに必要なDMWと送り出し機関

青愛空にはためくフィリピンの国旗

フィリピン人材を採用するには、日本側の手続きだけではなく、フィリピン政府側の組織(DMW/旧POEA)と、現地の送り出し機関についての理解が不可欠です。

DMWと送り出しルールの要点

フィリピンは国民の多くが海外で働いているという現状があり、労働者を保護するため、DMW(海外労働者省)という行政機関が海外への送出を厳格に管理・監督しています。そのDMWの窓口として各国に設置されているのが、MWO(移住労働者事務所)です。

MWOは企業が作成した雇用契約や求人票がフィリピンの労働基準に合致しているかを認証(Verification)します。MWOの認証を経ることで、フィリピン政府から正式に採用計画が承認されます。

フィリピンではエージェントを介さない企業による直接雇用は原則禁止されており、DMW認定の送り出し機関を通じた手続きが必要となります。

そのため日本の企業がフィリピンから人材を雇用する場合、まずはDMW認定の送り出し機関と人材募集・雇用に関する取り決めを締結し、その上でMWOへの申請手続きを行い、認証を得なければなりません

また送り出し機関に関してDMWは不当な手数料徴収を禁じる通達を出しており、紹介料や手数料の取り扱いには法的なルールが適用されます。とはいえ、実務上は運用に差が出ており、企業側が想定外の費用負担や説明不足に直面するケースが散見されます。企業側は送り出し機関との契約時に費用負担の明細を契約書で明確化してください。

送り出し機関選定の重要性

フィリピン人採用における最大の実務リスクの一つは、送り出し機関の選択です。なぜなら、一部には不当な費用請求や書類偽造、質の低い日本語教育といった悪質な運営を行う機関が存在するからです

そうした事案は、労働者本人に深刻な被害をもたらすだけでなく、受け入れ企業にも失踪・不法就労・労務トラブルといった重大な負担を引き起こします。

したがって、送り出し機関の選定は「人が来るかどうか」だけで判断してはいけません。倫理性・透明性・法令順守を含めた総合的な適性評価が不可欠です。

採用ステップ

STEP
送り出し機関と契約

DMWに認定された現地の送り出し機関を通じて契約を締結します。

STEP
MWO による認証(Verification)

送り出し機関を通じて、求人票(Job Order)および雇用契約案をMWOに提出し、フィリピン側の基準に沿うか確認を受けます。必要があれば契約内容の修正や追加書類の提出を求められます。

STEP
候補者との雇用契約締結

MWOの認証で必要条件が満たされたことを確認したうえで、候補者と正式な雇用契約を最終確定(署名)します。実務上はこの確定をもって日本側の在留手続きを進めるのが安全です。

STEP
COE(在留資格認定証明書)の申請

日本側での在留資格申請に必要な書類を揃え、出入国在留管理庁に申請します。COE の有効期限に注意し、フィリピン側手続きを完了させた上で申請することが望ましいです。

STEP
OEC(海外就労認定証)の取得

OECはフィリピン出国時に提示が求められる証明書です。これを取得することで、合法的に出国・入国が可能となります。日本在住者でも、場合によっては OEC 取得が必要になることがあります。

日本在住のフィリピン人材を雇用する場合の注意点

すでに日本国内に在留しているフィリピン人材を雇用する場合でも、フィリピン政府の規定に基づき、MWOによる認証手続きが原則として必要となります

これは、たとえ日本国内で在留資格の変更を行うケースでも、フィリピン政府の視点からは「海外就労扱い」となるためです。MWOを通じた認証手続きとOECの取得を怠り、外国人が一時的にフィリピンへ帰国した場合、出国時にOECの提示を求められて提示できなければ、日本への再入国が不可能になるという深刻な事態が発生する可能性があります。

受入れ企業は、この重大なリスクを理解し、日本在住者であっても、DMW認定の人材紹介会社を経由した認証手続きを確実に行う必要があります。

参考:DMW

送り出しカフェの活用

送り出しカフェ公式サイトトップ画面

DMWへの申請、送り出し機関の選定などの手続きが必要なフィリピン人材の採用を成功させるには、専門のサポート機関を利用するのが最も効率的かつ効果的です。

送り出しカフェは、フィリピン人労働者の採用を検討している日本企業を対象に、フィリピン現地の送り出し機関の紹介・仲介を行っています。

フィリピン政府のライセンスを持つ正規の送り出し機関と提携しており、年間2,000人を海外に送り出す実績を有するパートナーなど、実績豊富な機関と連携しているのが大きな特徴です

送り出しカフェ活用のメリット

メリット
信頼性のある送り出し機関の紹介

フィリピン政府公認のライセンスを持つ送り出し機関と提携しているため、違法・不透明な業者を避けられる。

人材の母集団が大きい

提携大学・職業訓練校から約7,000人規模の候補者がいるため、必要な職種に合った人材を探しやすい。

特定技能16分野に対応

介護・外食・建設など幅広い業種の求人に対応できる。

安心の日本語対応

日本人スタッフが窓口となるため、言語や文化の違いによる誤解・トラブルを減らせる。

採用から入国後までワンストップ支援

求人票作成、面接調整、ビザ・MWO申請、入国後の定着支援までトータルサポート。

手続きの負担軽減

フィリピン側で必要な複雑な申請書類や手続きを代行・支援してくれる。

日本語教育サポート

採用前から就労後まで継続的に日本語教育を行う体制があり、現場でのミスや離職リスクを軽減できる。

費用や採用リスクの低減

信頼性の低い送り出し機関を選んで失敗するリスクを減らし、スムーズな採用につながる。

送り出しカフェを活用することによって、DMWのルール確認、信頼できる送り出し機関の選定、明確な契約とスケジュール管理などを円滑に行うことができるでしょう。

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まとめ:フィリピン人採用を成功させるために

オフィスの大きな窓際で3人のビジネスパーソンが会話する。国際ビジネスや商談の打ち合わせを表すイメージ。

フィリピン人材は英語力の高さ、学習意欲、そして職場の雰囲気を明るくする国民性などから、IT、国際業務、サービス業など、グローバルな英語会話能力が必要とされる分野において、心強い戦力となるでしょう。

一方で、フィリピン人材の採用にはMWOへの申請や送り出し機関の活用など、独特の手順を踏まなければなりません。これは特に中小事業者にとって、採用への大きなハードルとなるでしょう。

私たち「送り出しカフェ」は、フィリピン人材採用のために、信頼できる送り出し機関との連携体制を構築し、採用・在留資格手続き、日本語教育、生活支援までを一貫してサポートしています

フィリピン人材の採用を具体的に検討されている企業様は、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

三木 雅史(Masafumi Miki) 株式会社E-MAN会長
1973年兵庫県生まれ / 慶応義塾大学法学部法学科卒
・25歳で起業 / デジタルガレージ / 電通の孫請でシステム開発
・web通販事業を手掛ける
・2006年にオンライン英会話を日本で初めて事業化
・2019年外国人の日本語教育を簡単、安価にするため
 日本語eラーニングシステムを開発、1万人超の外国人が日々学習中

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