現在の日本における木材産業は、生産性の向上と労働力の確保という極めて深刻な問題に直面しています。地方の林業や製材工場では人手不足が常態化し、安定的な作業体制の維持が難しくなっているのが現状です。
こうした課題に対応するため、2024年に政府は即戦力となる外国人材の受入れを目的とした在留資格「特定技能」に木材産業分野が新たに加わりました。これにより、木材産業分野でも事業の継続性と発展性に寄与する外国人材を受け入れることができるようになりました。
本記事では、木材産業分野における特定技能人材受入れの具体的な要件、申請の流れ、そして人材の定着を促すための実践的な支援策までを、専門的な視点から詳細にかつ分かりやすく解説していきます。
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特定技能「木材産業」分野の制度概要と業務内容

特定技能制度は、深刻な人手不足に直面する産業分野において、即戦力となる技能と一定の日本語能力を有する外国人材の就労を認める在留資格制度です。木材産業分野は、出入国在留管理庁と農林水産省(林野庁)が定める要件に基づいて制度が運用されています。
特定技能1号と2号の違い
特定技能制度には1号と2号という、異なる在留資格が存在します。
| 特定技能1号 | 特定技能2号 | |
|---|---|---|
| 対象者 | 特定の産業における相当程度の知識または経験を必要とする技能を持つ外国人 | より高度な技能と専門性を有する人材 |
| 在留期間 | 通算5年が上限 | 上限なし |
| 家族帯同 | 原則不可 | 配偶者や子の帯同が可能 |
| 目的 | 即戦力として短期的な人材確保に適する | 長期的な就労・キャリア形成の選択肢を提供する |
しかし現時点では、木材産業分野は特定技能2号への移行対象外です。したがって、受入れ企業は特定技能1号の在留期間(通算5年)を前提とした人材確保・育成計画が必要です。
制度が対象とする木材産業の区分と作業内容
木材産業分野で特定技能人材が従事できる業務は、主に「製材業・合板製造業等に係る木材の加工(家具や建具などの装備品を除く)」と定められています。
具体的な業務内容は以下の通りです。
| 主な業務内容 | |
|---|---|
| 製材 | 原木の入荷、選別、木取り、乾燥、切削加工など |
| 単板(ベニヤ)製造 | 単板の切削、接着、組立、プレス作業など |
| 木材チップ製造業 | 木材の破砕、乾燥、チップの製造など |
| 合板製造業 | 単板の接着、組立、プレス作業など |
| 集成材製造業 | 木材の接着、組立、プレス作業など |
| プレカット加工業 | 部材の機械加工、寸法調整、仕口加工など |
| 銘木製造業 | 高級木材の加工、仕上げなど |
| 床板製造業 | 床材の切削、加工、仕上げなど |
- 原材料の運搬・受け入れ
- 検査業務
- 工場内の清掃
特定技能人材は主な業務のほかに、こうした関連業務にも従事させることが可能です。しかし、関連業務のみを行わせることは認められていません。木材産業分野における即戦力の人材として、業界の継続や発展に貢献することが期待されています。
特定技能外国人の受入れは、単に工場内の人手不足を解消する目的に留まりません。木材産業は、地方経済や林業とも密接に関連する基幹産業であるため、制度の活用によって国内林業・木材産業全体のサプライチェーンを維持し、日本の産業基盤を協力して支えることを目的としていることを受入れ企業は忘れてはなりません。
参考:特定技能1号の各分野の仕事内容(Job Description) | 出入国在留管理庁


企業が満たすべき特定技能人材受入れの要件

木材産業分野で特定技能外国人を受け入れる際、企業(特定技能所属機関)が満たすべき要件には、一般的な法令遵守や労働環境の確保に加え、この分野固有の条件が含まれます。
特に重要なのは、農林水産省(林野庁)が設置する「木材産業特定技能協議会」への所属と協力義務です。
受入れ機関に求められる基本要件
- 1. 労働条件の適正化
-
外国人材に支払う報酬額が、同等の業務に従事する日本人労働者の報酬額と同等以上でなければなりません。また雇用形態については、原則として特定技能所属機関との直接雇用となります。
- 2. 法令遵守
-
過去に出入国管理法規に関わる重大な違反がないことが、受入れの前提となります。
- 3. 支援体制の確立
-
特定技能1号外国人が日本で安定して生活・業務遂行できるよう、「特定技能1号外国人支援計画」を策定し、実施する義務があります。企業は自社で実施するか、登録支援機関に委託することも可能です。
- 4. 協議会への加入と協力
-
農林水産省が設置する「木材産業特定技能協議会」の構成員となることが必須です。加えて、農林水産省や協議会が実施する調査・要請に対して必要な協力を行うことも義務付けられています。
木材産業特定技能協議会の目的と役割
木材産業特定技能協議会は、農林水産省が設置を主導する分野横断の連絡・調整機関です。協議会の第一の目的は、木材産業分野における外国人材の適正な受入れと活用を実現することにあります。具体的には次のような役割を担います。
- 業界と行政の連携促進
- 行政(林野庁等)と事業者側が情報を共有し、運用方針やガイドラインの整備に協力します。
- 地域偏在の抑止
- 外国人材が大都市圏等に過度に集中しないよう、地域ごとの需給状況を把握し、必要な配分策や誘導方策を検討します。
- 安全・労働環境基準の統一と助言
- 現場の安全基準や労働環境改善に関する基準を取りまとめ、受入れ事業所への指導や助言を行います。
- 情報収集・調査と周知
- 受入れ実績・人材の動向・トラブル事例などを継続的に収集し、関係機関へ報告、また業界内へ周知します。
- 協議に基づく措置の実行支援
- 協議で決まった方策について、各受入れ事業所が実施すべき具体的措置や手順の提示、必要な支援の調整を行います。
協議会への所属は単なる名目ではなく、受入れ事業所が地域責任や安全管理責任を共有することを意味します。したがって、企業は協議会の方針や要請に協力する体制を事前に整えておく必要があります。入会手続きや協議会の決定事項を業務運用へ反映するための準備期間を、在留申請スケジュールに織り込んでください。
外国人が満たすべき特定技能試験と日本語能力の要件

木材産業分野特定技能1号の在留資格を申請するには、木材産業特定技能1号測定試験への合格と、JLPTまたはJFT-Basic等で定める日本語水準を満たさなければなりません。
木材産業特定技能1号測定試験の内容
特定技能評価試験は、木材産業分野において必要とされる「相当程度の技能」を測定するための試験です。この試験の内容は、木材加工や安全衛生等に関する基本的な知識を有し、各種作業において安全確保を図りつつ、一定の時間内に正しい手順で的確に遂行できるレベルであることの確認が中心となります。
| 実施主体 | 全国木材組合連合会等の試験実施機関が運営窓口となる運用です。 |
| 形式 | ペーパーテスト方式(学科+判断等の実技形式)、試験時間60分。 出題内容は安全・工程・材料等の基礎知識と作業判断が中心。 |
木材産業の作業は、大型機械を利用する場合が多く、安全管理が極めて重要です。したがって、試験では、単なる作業の方法だけでなく、安全手順の理解度が厳しく問われます。
この試験に合格することで、特定技能外国人は、日本の木材産業の現場で求められる基礎技能を備え、即戦力として業務に従事できる技能があることを法的に証明できます。
日本語能力
特定技能1号として日本で働く際には、日常生活や業務遂行に支障がない程度の基礎的な日本語能力が必要とされます。この日本語能力を測確認するための試験として、主に二種類が利用されます。
| JLPT (日本語能力試験) | N4以上。 年に2回(7月と12月)実施され、日本国内だけでなく、海外約90か国以上の国・地域で受験が可能。 |
| JFT-Basic (国際交流基金) | A2以上。 JLPTに比べて実施回数が比較的多く、プロメトリックの専用ウェブサイトで登録と予約を行うことで受験可能。 |
企業は、この日本語要件はあくまでも最低基準であることを銘記すべきです。安全確認が重要な木材産業においては、受入れ後も引き続き日本語習得を支援することが求められます。
技能実習2号からの移行要件
木材産業分野に関する技能実習(第2号)を修了した外国人材は、技能試験と日本語能力テストが免除される場合があります。
とはいえ、免除は自動的に適用されるわけではありません。以下の要件を満たしていなければなりません。
- 修了状況の証明があること
- 修了した職種・業務が木材産業分野の特定技能1号対象業務と関連していること
企業は対象者ごとに所管機関へ確認し、修了職種と特定技能1号対象業務の関連性を確実に確認する必要があります。
木材産業における特定技能人材の採用フロー

特定技能による外国人材の受入れは、採用対象者が国外在住か国内在留かで手続きの流れが変わります。企業担当者は、在留資格や支援計画、協議会への加入など一連の要件を事前に把握しておくことが不可欠です。
国外からの人材採用フロー
海外に在住する外国人を採用する場合、以下の流れで特定技能の在留資格申請を進めることが一般的です。
現地の送り出し機関を利用するか、直接現地で募集を行い、特定技能の技能水準と日本語能力水準の試験に合格した者を選定します。
受入れ企業と外国人材の間で、労働条件や給与などが記された雇用契約を締結します。
外国人材が自国の政府機関や認定エージェントの手続きを経て、出国の準備を進めます。
受入れ企業が、地方出入国在留管理局に対してCOEの交付を申請します。申請には所属機関側の各種書類や支援計画書、協議会加入の証明などが必要です。
COE交付後、候補者が在外公館で査証を申請し、入国します。入国後は事前に策定した支援計画に基づき生活支援・職場導入を実施します。
在留資格認定証明書交付申請とは
在留資格認定証明書(COE:Certificate of Eligibility)交付申請とは、外国にいる人材を日本国内の企業が雇用する際、その外国人が日本での活動内容が法的に定められた在留資格(この場合は特定技能1号)に合致していることを、上陸前に法務省(出入国在留管理庁)から証明してもらうための手続きです。
国内からの人材採用フロー
既に日本国内に在留している外国人を採用する場合、国外からの採用よりもプロセスを短縮できる可能性があります。
木材加工職種等の関連する職種で技能実習2号を良好に修了した外国人材をピックアップし、受入れ意向を確認する。
受入れ企業と外国人材の間で、労働条件や給与などが記された雇用契約を締結します。
必要書類(雇用契約書、支援計画、技能実習修了証・在留カードコピー、認証事業場証明など)を準備し、出入国在留管理庁へ在留資格変更を申請する。審査後、許可が下りれば在留カードの変更手続きを実施。
許可を受けてから、就業と同時に支援計画に沿った初期支援を実施。社会保険等の手続きは速やかに行う。
在留資格変更許可申請とは
日本に在留する外国人が現在の在留目的を変更して、別の在留資格に該当する活動を希望する場合に必要な手続きが、在留資格変更許可申請です。日本国内から出国することなく、新しい在留資格に変更することができます。
技能実習生が特定技能(1号)に移行するときにも在留資格が変更になるため、出入国在留管理庁へ在留資格変更申請を行う必要があります。

定着を促進するための義務的支援

特定技能1号外国人を受け入れる企業には、入管法に基づき「支援計画」を作成し、計画に沿った支援を実施する義務があります。これは単に手続き上の要件ではなく、職業生活・日常生活・社会生活を支えることで外国人の定着を高め、事業の継続性を確保するための実務的な戦略と言えるでしょう。
支援は「義務的支援」と呼ばれ、10項目で構成されています。企業が自社で対応できない場合は、国の登録を受けた登録支援機関に全部または一部を委託できます。委託にあたっては、支援の質(外国人が理解できる言語で対応できるか等)を厳しく確認することが重要です。
| 義務的支援10項目一覧 | |
|---|---|
| 1. 事前ガイダンス | 労働条件や活動内容、入国手続き等を理解できる言語で説明します。 雇用契約締結後から在留資格申請前に実施するのが実務上の流れです。 |
| 2. 出入国時の送迎 | 入国時および帰国時に空港等から事業所または住居までの送り迎えを行います。 |
| 3. 住居確保・生活契約支援 | 住居の手配、銀行口座開設やライフライン契約の補助等を行います。 居室の基準は運用上の原則があり、原則として居室は1人当たり7.5㎡以上を基準とします(技能実習から移行する等の例外規定が関係する場合があります)。 なお、社宅や住居に関して企業が不当に利益を得ることや、過度に高い家賃を設定することは避ける必要があります。 |
| 4. 生活オリエンテーション | ゴミ分別や公共マナー、交通ルールなど、日本での生活に必要な基礎情報を提供します。 |
| 5. 公的手続き等への同行 | 住民票登録、健康保険・年金等の手続きへの同行や書類作成の支援を行います。 |
| 6. 日本語学習の機会提供 | 日本語教室の案内や教材情報の提供など、日本語能力向上の支援を実施します。 |
| 7. 相談・苦情対応 | 職場や生活上の相談・苦情を外国人が理解できる言語で受け、解決に向けて対応します。 |
| 8. 地域交流の促進 | 地域行事や自治会参加の支援等を通じ、孤立防止と地域社会への定着を図ります。 |
| 9. 転職支援(解雇等の場合) | 受入側の事情で雇用契約を解除する際は、求職活動のための有給休暇付与や必要な行政手続きの案内を行います。 |
| 10. 定期面談と通報 | 支援責任者等が原則3か月に1回以上、外国人本人や上司と面談を行い、問題があれば適切に対応・必要時は関係行政機関へ通報します。 これらの面談や支援の実施記録は保存・届出の対象となります。 |
登録支援機関を活用するポイント
企業が自社で10項目すべての支援を行うことが困難な場合、国の登録を受けた登録支援機関に支援業務の全部または一部を委託できます。
10項目の義務的支援は、所属機関にとって言語対応や時間的なリソース確保という点で大きな問題となり得ます。登録支援機関に委託することで企業は本業に集中しつつ、コンプライアンスを遵守しながら採用計画を効率的に進めることが可能となります。これは費用対効果の高い戦略的な方法といえるでしょう。
また木材産業分野では、林野庁や木材産業特定技能協議会との連携が求められます。登録支援機関へ委託する場合は、委託先が協議会が求める報告や調査への対応実績があるかも確認すると良いでしょう。
委託先を選ぶ際は、以下の点を重視してください。
- 外国人が理解できる言語で対応できる能力があること
- 公的手続きへの同行や医療機関との連携実績があること
- 林業現場は地方が多いため、診療所や役所のサポートを現地で提供できること
- 委託契約で業務範囲・成果指標・報告頻度を明確に定めること
- 定期的に業務の実施状況をモニタリングすること
なお、支援を委託したとしても、外国人本人に対する適切な支援を確保する最終責任は所属機関に帰属します。そのため、所属機関は、委託機関からの資料等を基に、支援実施状況を定期的に確認しなければなりません。
日本の木材産業でフィリピン人を雇用するメリット

特定技能制度を通じて外国人材を受け入れる際、どの国の人材を選ぶかは定着率や業務効率に直結する戦略的判断です。
その点において、フィリピン人は国民性や働き方の特徴から木材産業が求める人材像と親和性が高いと考えられます。
高い協調性と仕事へのロイヤリティ
フィリピンでは大家族文化が根付いており、目上への敬意や組織への忠誠心が育まれる傾向にあります。そのため職場や地域社会への順応が速く、チームワークを要する作業でもその力を発揮するでしょう。
木材加工は細心の注意と集中力が求められる現場が多く、責任感や献身的な姿勢は安全管理や品質維持に直結します。したがって、適切な雇用条件と支援を提供できる企業では、長期的な戦力としての定着が期待できます。
勤勉さとコミュニケーション能力
海外就労しているフィリピン人の多くは、家族を支えるという強い責任感を持ち、仕事に対して高いモチベーションで取り組みます。
フィリピンでは英語が公用語の一つであるため、受け入れ初期に英語での研修やマニュアルを用いることで技術習得のスピードを上げられるでしょう。
さらにタガログ語や地域語を含む多言語環境で育っていることから、新しい言語を習得する適応力も高い傾向にあります。結果として日本語学習も進みやすく、実際に職場内で他の外国人材と日本人スタッフとの橋渡し役を担う例も見られます。
明るい国民性と日本文化への順応性の高さ
フィリピン人は一般に明るく親しみやすい性格で、礼儀正しさも備えています。こうした性格特性は、日本の職場文化にも馴染みやすく、既存の日本人社員との協力関係を築くうえで有利に働きます。
加えて、日本の治安や生活環境を評価して就労先に選ぶケースが多く、安全で安心できる住環境や通勤ルートを企業が提供すれば、業務に集中しやすくなるでしょう。
とはいえ、国籍だけで採用成果が決まるわけではありません。採用時には待遇の公平性、現場での受け入れ体制、日本語教育や生活支援の仕組みを整えることが必要です。
これらの投資が人材のロイヤリティを高め、定着と生産性向上につながります。木材業界の人手不足を解消する有力な選択肢として、フィリピン人材は十分に検討に値します。
現場の声から学ぶ!フィリピン人材のメリットと企業が行うべき取り組みとは

特定技能外国人を受け入れて成果を出すには、在留資格申請や要件遵守だけで完結しません。現場の運用、特に定着と活躍を促す具体策が不可欠です。
とはいえ、木材産業分野における特定技能人材の受け入れは始まったばかりであるため、企業としても手探りの状況です。
そこで、他産業の工場においてフィリピン人材を雇用している企業の事例や本人の声をもとに、木材産業におけるフィリピン人採用のメリットや、企業が取るべき対策等について考察します。
株式会社光真製作所の事例
株式会社光真製作所は、自社のフィリピン工場との連携強化と日本の技術移転を目的として、フィリピン人材の受入れを実施しました。同社は日本とフィリピンの拠点連携を強化する中で、外国人材が現場において主体的に学び、チームの一員として活躍できる環境づくりに力を入れています。
同社工場で勤務するフィリピン人のアポロス・ラスピニャスさんは、日本での生活の安全性や職場の秩序に安心感を持ち、日々の業務を通じて専門的な技術を学んでいます。彼女は、複雑で繊細な作業にも根気強く取り組み、ミスの少ない正確な作業を積み重ねることで上司から高い信頼を得ていると報告されています。また、周囲との協調性にも優れ、日本語でのやり取りにも積極的に取り組むことで、日本人社員と実習生の橋渡し役としても機能しています。
企業側からは彼女の勤勉さと向上心が職場全体の士気向上にもつながっており、「常に明るく前向きで、学ぶ姿勢が強い」「与えられた仕事を丁寧にやり遂げる」という評価の声が挙がっています。こうした姿勢は、単なる作業人員ではなく、現場の雰囲気やチームワークを支える存在として重要な意味を持っています。
特定技能人材の定着を促進するための教訓
光真製作所の事例から、特定技能 人材の定着と活躍を促進するために企業が行うべき具体的な取り組みとして、以下の教訓が導かれます。
- コミュニケーションの確保
- 上司・同僚との日常的な声かけが信頼関係を築き、定着を支えます。
- 学習支援
- 専門用語や作業工程を視覚化する教材を用いると、習熟が早まります。
- 生活サポートの大切さ
- 単に支援計画を実施するだけではなく、住居や通勤手段の確保、携帯電話の支給など、生活基盤を安定させることが定着に直結します。また生活習慣の違い(ゴミの出し方、騒音問題など)から生じる問題について、事前に丁寧に理解を促し、対応することが大切です。
- 社内交流の促進
- BBQや親睦会、レクリエーションなどを実施し、日本人社員と外国人 材の交流を深め、所属意識とチームビルディングを高める必要があります。
- ロールモデル化
- 前向きな姿勢や成果を他の従業員に共有し、成功体験として可視化します。
企業が学べる点は、特定技能制度を単なる人手不足の解消策としてではなく、必要な投資として経営戦略に位置づけることの重要性です。特定技能外国人への教育や支援を積極的に行うことで、業務の効率化や品質の向上といった高い成果を得ることができるでしょう。
参考:外国人材雇用お役立ちハンドブック|滋賀県外国人材受入サポートセンター
特定技能フィリピン人受入れに必要なDMWと送り出し機関

特定技能フィリピン人材の採用には、日本側の要件・手続きだけではなく、フィリピン政府側の組織(DMW/旧POEA)と、現地の送り出し機関についての理解が不可欠です。
DMWと送り出しルールの要点
フィリピンは国民の多くが海外で働いているという現状があり、労働者を保護するため、DMW(海外労働者省)という行政機関が海外への送出を厳格に管理・監督しています。そのDMWの窓口として各国に設置されているのが、MWO(移住労働者事務所)です。MWOは企業が作成した雇用契約や求人票がフィリピンの労働基準に合致しているかを認証(Verification)します。MWOの認証を経ることで、フィリピン政府から正式に採用計画が承認されます。
フィリピンではエージェントを介さない企業による直接雇用は原則禁止されており、DMW認定の送り出し機関を通じた手続きが必要となります。
そのため日本の企業がフィリピンから特定技能人材を直接雇用しようとする場合、まずはDMW認定の送り出し機関と人材募集・雇用に関する取り決めを締結し、その上でMWOへの申請手続きを行い、認証を得る必要があります。
またDMWは不当な手数料徴収を禁じる通達を出しており、紹介料や手数料の取り扱いには法的なルールが適用されます。とはいえ、実務上は運用に差が出ており、企業側が想定外の費用負担や説明不足に直面するケースが散見されます。企業側は契約時に費用負担の明細を契約書で明確化してください。
送り出し機関選定の重要性
フィリピン人採用における最大の実務リスクの一つは、送り出し機関の選択です。なぜなら、一部には不当な費用請求や書類偽造、質の低い日本語教育といった悪質な運営を行う機関が存在するからです。
そうした事案は、労働者本人に深刻な被害をもたらすだけでなく、受け入れ企業にも失踪・不法就労・労務トラブルといった重大な負担を引き起こします。
したがって、送り出し機関の選定は「人が来るかどうか」だけで判断してはいけません。倫理性・透明性・法令順守を含めた総合的な適性評価が不可欠です。
採用ステップ
DMWに認定された現地の送り出し機関を通じて契約を締結します。
送り出し機関を通じて、求人票(Job Order)および雇用契約案をMWOに提出し、フィリピン側の基準に沿うか確認を受けます。必要があれば契約内容の修正や追加書類の提出を求められます。
MWOの認証で必要条件が満たされたことを確認したうえで、候補者と正式な雇用契約を最終確定(署名)します。実務上はこの確定をもって日本側の在留手続きを進めるのが安全です。
日本側での在留資格申請に必要な書類を揃え、出入国在留管理庁に申請します。COE の有効期限に注意し、フィリピン側手続きを完了させた上で申請することが望ましいです。
OECはフィリピン出国時に提示が求められる証明書です。これを取得することで、合法的に出国・入国が可能となります。日本在住者でも、場合によっては OEC 取得が必要になることがあります。
日本在住のフィリピン人材を雇用する場合の注意点
すでに日本国内に在留しているフィリピン人材を特定技能として雇用する場合でも、フィリピン政府の規定に基づき、MWOによる認証手続きが原則として必要となります。
これは、たとえ日本国内で在留資格の変更を行うケースでも、フィリピン政府の視点からは「海外就労扱い」となるためです。MWOを通じた認証手続きとOECの取得を怠り、外国人が一時的にフィリピンへ帰国した場合、出国時にOECの提示を求められて提示できなければ、日本への再入国が不可能になるという深刻な事態が発生する可能性があります。
受入れ企業は、この重大なリスクを理解し、日本在住者であっても、DMW認定の人材紹介会社を経由した認証手続きを確実に行う必要があります。
参考:DMW


送り出しカフェの活用

DMWへの申請、送り出し機関の選定などの手続きが必要なフィリピン人材の採用を成功させるには、専門のサポート機関を利用するのが最も効率的かつ効果的です。
送り出しカフェは、フィリピン人労働者の採用を検討している日本企業を対象に、フィリピン現地の送り出し機関の紹介・仲介を行っています。
フィリピン政府のライセンスを持つ正規の送り出し機関と提携しており、年間2,000人を海外に送り出す実績を有するパートナーなど、実績豊富な機関と連携しているのが大きな特徴です。
送り出しカフェ活用のメリット
- 信頼性のある送り出し機関の紹介
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フィリピン政府公認のライセンスを持つ送り出し機関と提携しているため、違法・不透明な業者を避けられる。
- 人材の母集団が大きい
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提携大学・職業訓練校から約7,000人規模の候補者がいるため、必要な職種に合った人材を探しやすい。
- 特定技能16分野に対応
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介護・外食・建設など幅広い業種の求人に対応できる。
- 安心の日本語対応
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日本人スタッフが窓口となるため、言語や文化の違いによる誤解・トラブルを減らせる。
- 採用から入国後までワンストップ支援
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求人票作成、面接調整、ビザ・MWO申請、入国後の定着支援までトータルサポート。
- 手続きの負担軽減
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フィリピン側で必要な複雑な申請書類や手続きを代行・支援してくれる。
- 日本語教育サポート
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採用前から就労後まで継続的に日本語教育を行う体制があり、現場でのミスや離職リスクを軽減できる。
- 費用や採用リスクの低減
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信頼性の低い送り出し機関を選んで失敗するリスクを減らし、スムーズな採用につながる。
送り出しカフェを活用することによって、DMWのルール確認、信頼できる送り出し機関の選定、明確な契約とスケジュール管理などを円滑に行うことができるでしょう。
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まとめ:木材産業の未来を担うフィリピン人材の採用と定着のために

特定技能制度は、日本の木材産業が抱える人手不足という構造的課題に対応するため、政府が提供する重要な仕組みの一つです。
特にその献身的な姿勢や高いモチベーション、安全な日本での就労意欲といった点で、フィリピン人材は木材産業の現場でも高い親和性があります。彼らは企業の業務効率化や日本人社員のモチベーション向上にも寄与する、心強い戦力となるでしょう。
一方で、採用からビザ申請、教育、定着支援に至るまでの各プロセスは複雑であり、特に中小事業者が単独で対応するのは容易ではありません。さらにフィリピン人を受け入れるためのMWO関連の手続き、信頼できる送り出し機関の選定などにも、専門家の支援を受けることは必須と言えるでしょう。
私たち「送り出しカフェ」は、フィリピン人材採用のために、信頼できる送り出し機関との連携体制を構築し、採用・在留資格手続き、日本語教育、生活支援までを一貫してサポートしています。
フィリピン人材の採用を具体的に検討されている企業様は、まずはお気軽にご相談ください。
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